5. 【75歳以上 後期高齢シニア夫婦】月2万円の赤字家計が資産寿命に与える影響
ここまで見てきた通り、75歳以上の後期高齢シニア夫婦世帯では、年金収入から税金や社会保険料が差し引かれることで、平均すると毎月およそ2万円の赤字が発生しています。
不足分については、実際には貯蓄を取り崩して補っている世帯が多い状況です。
5.1 毎月の赤字はどの程度続くのか
では、この赤字が長期間続いた場合、資産はどの程度持ちこたえられるのでしょうか。
月2万円の赤字は、年間に換算すると約24万円となります。単純計算では、平均貯蓄額とされる2362万円があれば、約98年分の赤字を補える計算になります。
しかし、この数字だけを見て安心するのは危険です。
5.2 平均貯蓄額だけでは見えない現実
家計調査で示される支出には、入院や手術による自己負担、介護サービス費用、施設入所時の負担など、老後に発生しやすい高額支出が十分に含まれていません。
こうした支出が重なれば、赤字額は一時的に月数万円から十数万円規模まで膨らむ可能性があります。
また、2362万円という貯蓄額はあくまで平均値です。実際には、それを大きく下回る世帯も少なくありません。
平均より貯蓄が少ない世帯では、赤字を補える期間は当然短くなります。「平均貯蓄額が高いから安心」と単純には言えないのが、後期高齢期の家計の実態です。
老後の生活設計では、毎月の収支を見るだけでなく、「現在の資産で何年間生活を支えられるのか」という時間軸の視点を持つことが重要になるでしょう。