ゴールデンウィークを迎え、少し一息つける時期になりました。
新年度がスタートして約1カ月が経ち、新しい環境での目標を再確認している方もいるかもしれません。
キャリアアップを目指す中で、「年収1000万円」という一つの大台を目標に設定する人も少なくないでしょう。
しかし、昨今は物価上昇が続いており、額面通りの収入で豊かな生活を送るのは簡単ではありません。
今回は、最新の公的調査データを基に、高年収層のリアルな「手取り額」を明らかにします。
また「年収1000万~1200万円」の単身世帯・二人以上世帯において「金融資産保有額の平均」と中央値はいくらなのか見ていきます。
1. 高年収層はどの業界に多い?年間の平均給与が500万円を超える業種とは
では、具体的にどのような業種で平均給与が高くなる傾向があるのでしょうか。
国税庁が2025年に公表した「令和6年分 民間給与実態統計調査」のデータから、年間の平均給与が500万円を上回る主な業種を見ていきましょう。
【平均給与が500万円を超える主な業種】
- 電気・ガス・熱供給・水道業:約832万円
- 金融業・保険業:約695万円
- 情報通信業:約680万円
- 製造業:約568万円
- 建設業:約565万円
- 学術研究・専門・技術サービス業・教育・学習支援業:約549万円
インフラ関連である「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も平均給与が高く、その後に「金融業・保険業」や「情報通信業」が続く結果となっています。
これらの業種は給与階級の分布を見ても、年収800万円を超える層の割合が他の業種よりも高い傾向にあります(例:電気・ガス業で44.2%)。
このことから、給与水準自体が高く設定されていると考えられます。
自身のキャリアを考える上で、こうした業種ごとの給与構造を把握しておくことは役立つかもしれません。
※統計データの注意点
この「令和6年分 民間給与実態統計調査(2025年公表)」は、事業所から支払われた給与を基に作成されています。
そのため、複数の勤務先から給与を受け取っている人は重複して集計されている可能性があります。
また、株式の配当金や不動産による収入など、給与以外の所得は含まれていない点に注意が必要です。
この調査は、あくまで民間企業から支払われる給与の実態を示したものです。
2. 年収1000万円と2000万円の手取り比較|額面が2倍でも可処分所得は2倍にならない理由
国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、1年間勤務した給与所得者5137万人のうち、年収が1000万円を超える人は全体の約6.2%です。
さらに、年収2000万円を超える人は全体の約0.6%と、ごく少数であることがわかります。
年収が上がるにつれて、所得税や住民税、社会保険料の負担も大きくなります。
ここでは、所得控除が比較的少ない「独身で扶養家族がいない」ケースを想定し、年収1000万円と2000万円の手取り額を比べてみます。
2.1 ケース1:年収1000万円(独身・扶養なし)の手取り目安
年間の手取り額の目安は約720万〜740万円となり、月額にすると約60万〜62万円です。
これは、額面の年収から所得税、住民税、社会保険料として年間約260万〜280万円が差し引かれた後の金額です。
2.2 ケース2:年収2000万円(独身・扶養なし)の手取り目安
年間の手取り額は約1300万円、月額では約108万円が目安となります。
年収2000万円クラスになると、日本の累進課税制度により高い所得税率が適用されるため、税金と社会保険料で額面から約700万円が差し引かれることになります。
この結果から、額面の年収が2倍になっても、実際に手元に残る金額は約1.7倍から1.8倍程度にとどまることがわかります。
これは、所得が増えるほど税率も高くなる日本の税制が影響しています。
【補足】扶養家族がいる場合の手取り額
配偶者や子どもなど扶養家族がいる場合は、配偶者控除や扶養控除が適用されるため、独身世帯よりも税金の負担が軽くなります。
一例として、年収1000万円で配偶者と子ども2人を扶養している場合、年間の手取り額は約740万〜770万円程度まで増えることが見込まれます。
3. 高年収でも貯蓄ゼロ?年収1000万~1200万円層のリアルな貯蓄事情
収入が高ければ資産形成も順調に進むと考えがちですが、実際のデータを見ると、必ずしもそうとは限りません。
ここでは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」を基に、年収1000万〜1200万円未満の世帯における金融資産の保有状況を見ていきましょう。
※ここでいう金融資産保有額には、預貯金のほか、株式、投資信託、生命保険などが含まれます。ただし、日常的に使う普通預金口座の残高は対象外です。
3.1 年収1000万~1200万円【単身世帯】の金融資産
この年収層の単身世帯を見ると、将来への備えとなる金融資産を保有していない世帯が一定数いることがわかります。
「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」による年収1000万〜1200万円未満の単身世帯の金融資産保有額の内訳は、以下のようになっています。
- 金融資産非保有:約22.2%
- 100万円未満:約11.1%
- 100万〜1000万円未満:約11.2%
- 1000万〜2000万円未満:約27.8%
- 2000万〜3000万円未満:約5.6%
- 3000万円以上:約22.2%
- 無回答:0%
- 金融資産保有額の平均額:2261万円/中央値1100万円
単身世帯の場合、「金融資産非保有」と「100万円未満」を合計すると約33.3%となり、およそ3分の1にのぼります。
高収入であっても、すぐに使える資産が少ない層が確実に存在することがデータからうかがえます。
3.2 年収1000万~1200万円【二人以上世帯】の金融資産
二人以上の世帯でも、金融資産を保有していない、あるいは保有額が少ない世帯が見られます。
「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」による年収1000万〜1200万円未満の二人以上世帯の内訳は、次の通りです。
- 金融資産非保有:約6.8%
- 100万円未満:約2.2%
- 100万〜1000万円未満:約23.6%
- 1000万〜2000万円未満:約23.5%
- 2000万〜3000万円未満:約12.4%
- 3000万円以上:約29.4%
- 無回答:約2.2%
- 金融資産保有額の平均額:2725万円/中央値1520万円
二人以上世帯では、3000万円以上の金融資産を持つ層が約29.4%と3割近くいる一方で、資産が100万円に満たない世帯も合計で約9%(非保有6.8%+100万円未満2.2%)存在しています。
4. 収入の額だけでなく「いくら資産を築けるか」が重要に
本記事では、最新の調査データを基に、年収1000万円や2000万円といった高年収層のリアルな手取り額と貯蓄の実態について解説しました。
「年収1000万円」と聞くと裕福なイメージを持つかもしれませんが、実際の手取り額や資産状況を見ると、計画性なしにお金を使えるわけではないことがわかります。
収入が増えたからといって安易に生活レベルを上げてしまうと、高年収であっても貯蓄が100万円未満となり、いざという時の出費に備えられない可能性があります。
ライフスタイルに変化が訪れやすいこの時期に、一度ご自身の家計状況を見直してみるのもよいでしょう。
最終的に重要になるのは、額面の収入額そのものよりも、「将来に向けて手元にどれだけのお金を残し、育てていけるか」という視点ではないでしょうか。
この機会に、ご自身の収入と資産形成のバランスについて考えてみることをおすすめします。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 国税庁長官官房企画課「平成30年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」
- 国税庁長官官房企画課「令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 日本年金機構「令和7年度厚生年金保険料率」
- 協会けんぽ「都道府県毎の保険料額表 東京令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- マネイロメディア「年収1000万円の手取りは月いくら?税金・保険料の内訳と手取りを増やす方法」
- マネイロメディア「年収2000万円の生活レベルは?手取り1300万円の実態と余裕がない理由」
- LIMO「「年収1000万円と2000万円」実際の手取り額は「2倍」にならない?高年収でも「貯金ゼロ」はいる。年収1000万~1200万円の人の貯蓄状況をのぞいてみる!」



