2024年に新NISA制度が開始され、多くの方が資産形成の第一歩として積立投資をスタートさせました。積立投資先として代表的な「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」は、2026年4月時点で純資産額が10兆円を超える規模となっています。

制度開始から2年強が経過した現在、急速なインフレや為替変動の影響もあり、オルカンへの積立によって想像以上の利益を手にしているケースは少なくありません。

しかし、長期的な資産形成においては、直近の相場がそのまま続くと期待を持ちすぎず、将来に向けた現実的なシミュレーションを冷静に行うことが重要です。

本記事では、新NISA開始時から毎月5万円をオルカンに積み立てた場合の「現在のリアルな資産額」を算出するとともに、最新の相場状況を紐解きながら、ここから15年後を見据えた現実的な到達点について解説していきます。

1. 2年間のオルカン運用実績

まずは、新NISA開始から2年間、オルカンに毎月5万円の積立を行っていた場合の、現在の資産額をシミュレーションしていきます。

新NISA制度が開始された2024年1月から2年間(24ヶ月)、毎月月初にオルカンを積み立てていた場合の、現時点での保有資産を計算すると、およそ46.039単位(1万口単位)が保有数となります。

これを、現時点の基準価額で換金するとどうなるでしょうか。 4月10日時点での基準価額は3万4507円であるため、以下のような計算式となります。

46.039単位 × 3万4507円 = 158万8668円(約159万円)

2年間の投資元本である120万円(5万円×24ヶ月)に対して、約39万円もの運用益が生じていることになります。これは投資元本に対して約32%もの利益率にのぼり、通常の積立投資としては考えられないほどの急成長となっています。

2. 今後の成長は?

この2年間の大幅な利回りを見ると、今後の運用にも期待が膨らみますが、ここから十数年と同じような推移で成長をしていくことは考えにくいのが現実です。

例えば、2018年の設定来から2023年までの5年間の推移を見ると、基準価額の上昇幅は1万円程度でした。それと比べると、2024年からのわずか2年強で基準価額が1万円以上も上昇しており、直近の相場がいかに急速なペースで上昇しているかがわかります。

一般的に、全世界株式のような一定の経済指標と連動するインデックスファンドで長期的な予測を立てる場合には、世界の長期的な経済成長率をベースにした利回りとして「年利4%〜5%程度」で考えておくことで、期待を大きく裏切られることなく予測を立てられると考えられます。

3. 15年後の到達点シミュレーション

それでは、実際に今から15年後の到達点を考える場合、どのような考え方をすれば良いでしょうか。

今回は、直近2年間の年利回りの推移と、今後15年間では利回りが異なってくると想定して、2年間で積み立てた「159万円」と、今後積み立てる「月5万円」を分離して考えることとし、今後15年の利回りを現実的な数値である「年利4%」と想定してシミュレーションを行っていきます。

(1)既積立分(159万)の15年後
まず初めに、ここまで積み立てて成長した159万円を、追加投資はせずにそのまま15年間、年利回り4%で運用(保有)した分のシミュレーションを行います。

年利4%ということは、資産が毎年「1.04倍」となり、それを15年間繰り返すことになります。複利の効果により、結果としてこの部分の資産額は約286万円に成長します。

(2)現時点から15年間の積立分
次に、ここから15年間の月5万円の積立分の15年後の資産をシミュレーションします。 年利回り4%で推移した場合、元本900万円(5万円 × 180ヶ月)に対して、得られる利益が約323万円となり、最終的な資産額は約1223万円となります。

15年間の投資シミュレーション2/2

15年間の投資シミュレーション

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

上記(1)と(2)のシミュレーション結果を合計すると、ここから15年後の総資産額は1509万円です。元本の合計である1020万円(最初の120万円 + 追加の900万円)に対して、合計17年間で約489万円の利益が生じる結果となりました。新NISA制度下であれば、この利益に対して税金が引かれることなく、そのまま資産として手元に残すことが可能です。

4. 15年後の到達点の考え方

今回は、新NISA制度開始から2年間の投資と、ここから15年間の投資を切り分けて運用結果をシミュレーションしました。

今後の運用は年利回り4%として試算しましたが、実際の利回りは経済成長のペースや金利環境、為替の変動などによって大きく変わります。もちろん、ここ2年間のような好調な成長が続く可能性もゼロではありません。

ただ、積立投資でより重要なのは、将来の利益を大きく見積もりすぎないことです。

「将来はきっとこれくらいになるはず」と金額を過信してしまうと、想定外の暴落が起きたときや、想定より低い推移が続いたときに、積立終了後に必要な資金が不足し、生活設計そのものが苦しくなるリスクがあります。

そのため、新NISAでの積立投資は、景気や経済状況と連動しながら資産を育て、同時にインフレや為替変動による現金の目減りに備えるための手段として位置づけるのが現実的です。

「大きく儲けるためのもの」と決めつけないほうが、将来「こんなはずじゃなかった」という落胆を避けやすく、結果として冷静な資産運用を長く継続しやすくなります。

5. おわりに

今回は、新NISA開始から2年間の実績を踏まえ、毎月5万円をオルカンで積み立てた場合の現在地と、ここから15年後の現実的な到達点についてシミュレーションを行いました。

NISA口座を活用した資産形成は、一攫千金を狙うような博打ではなく、将来のインフレリスクや環境変化からご自身の生活を守るための堅実な手段です。

目先の値動きに一喜一憂せず、冷静な期待値に基づく積立投資を着実に継続していきましょう。

参考資料

斎藤 彩菜