以前、老後の生活費は2000万円が不足するという試算が話題になりましたが、現在のシニア世代のうち2000万円以上の貯蓄があるのはどのくらいなのか、気になる方もいるでしょう。

また、ほかの世帯と比べて、自身の世帯は平均よりも多いのか少ないのか知りたい方もいるのではないでしょうか。

本記事では、60歳代・70歳代二人以上世帯の貯蓄状況について、2000万円以上の貯蓄がある世帯の割合や、貯蓄額の平均値・中央値を解説していきます。

1. 【60歳代二人以上世帯】貯蓄2000万円以上はどのくらい?平均・中央値もチェック

60歳代二人以上世帯の貯蓄状況について、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに見ていきましょう。

※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

1.1 平均値は2683万円、中央値は1400万円

60歳代二人以上世帯の貯蓄額の平均値は2683万円、中央値は1400万円です。

平均値が2600万円強となっていることから、現在の60歳代二人以上世帯は十分な貯蓄額があるというイメージを持つかもしれません。

しかし、実際の感覚に近いとされる中央値が1400万円と、平均値よりも1200万円以上少なくなっていることに注意が必要です。

これほどの差が生じているのは、一部の高額な貯蓄を有する世帯が全体の平均を押し上げているためであり、実際の平均はもう少し少ない金額になると考えられます。

1.2 貯蓄2000万円以上の世帯は39.6%

60歳代二人以上世帯のうち、2000万円以上の貯蓄がある世帯割合は39.6%です。

そのうち、3000万円以上の世帯が27.2%を占めています。

では、貯蓄額ごとの世帯割合を詳しく見ていきましょう。

60歳代二人以上世帯の貯蓄額ごとの世帯割合1/3

60歳代二人以上世帯の貯蓄額ごとの世帯割合

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとに筆者作成

【金融資産保有額:世帯割合】

  • 金融資産なし:12.8%
  • 100万円未満:4.7%
  • 100~200万円未満:3.9%
  • 200~300万円未満:3.0%
  • 300~400万円未満:2.8%
  • 400~500万円未満:1.8%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:6.3%
  • 1000~1500万円未満:8.9%
  • 1500~2000万円未満:8.0%
  • 2000~3000万円未満:12.4%
  • 3000万円以上:27.2%

最も多いのは3000万円以上の貯蓄額を有している世帯で、27.2%です。

しかし、次いで多いのが金融資産なしの世帯で12.8%となっています。

高額な貯蓄を有する世帯と貯蓄のない世帯の二極化が見られます。

では、70歳代の二人以上世帯ではどのような状況なのか、次章で確認していきましょう。

2. 【70歳代二人以上世帯】貯蓄2000万円以上はどのくらい?平均・中央値もチェック

70歳代になると仕事も辞めて主な収入が年金のみになる世帯が多くなります。

70歳代二人以上世帯の貯蓄状況について、同じく「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに見ていきましょう。

2.1 平均値は2416万円、中央値は1178万円

70歳代二人以上世帯の貯蓄額の平均値は2416万円、中央値は1178万円です。

60歳代二人以上世帯と同様に、平均値と中央値に大きな差が生じており、実際の平均は2416万円よりも少額になると考えられます。

また、60歳代二人以上世帯よりも、平均値が約260万円、中央値が約220万円減少しています。

まとまった出費があるほか、年金だけでは生活費をカバーできず貯蓄の切り崩しが必要になることなどが理由と考えられるでしょう。

2.2 貯蓄2000万円以上の世帯は37.5%

70歳代二人以上世帯のうち、2000万円以上の貯蓄を有する世帯は37.5%です。

60歳代と比較して、わずかに減少しています。

では、貯蓄額ごとの世帯割合も確認しましょう。

70歳代二人以上世帯の貯蓄額ごとの世帯割合2/3

70歳代二人以上世帯の貯蓄額ごとの世帯割合

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとに筆者作成

【金融資産保有額:世帯割合】

  • 金融資産なし:10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:3.7%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.9%
  • 500~700万円未満:6.4%
  • 700~1000万円未満:6.7%
  • 1000~1500万円未満:11.1%
  • 1500~2000万円未満:6.7%
  • 2000~3000万円未満:12.3%
  • 3000万円以上:25.2%

最も多いのは3000万円以上の世帯で25.2%、次いで多いのが2000〜3000万円未満の世帯で12.3%となっています。

一方、金融資産なしの世帯は10.9%で60歳代よりは減少しているものの、10世帯に1世帯の割合で存在している状況です。

3. 現在のシニア世代は年金をいくらもらってる?

現在のシニア世代は、厚生年金や国民年金を月額どのくらい受給しているのでしょうか。

厚生労働省年金局が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに確認していきましょう。

厚生年金・国民年金の平均受給額3/3

厚生年金・国民年金の平均受給額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 をもとに筆者作成

3.1 【厚生年金】

  • 全体:15万289円
  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

3.2 【国民年金】

  • 全体:5万9310円
  • 男性:6万1595円
  • 女性:5万7582円

月額の平均受給額は厚生年金が15万289円、国民年金が5万9310円です。なお、厚生年金には国民年金も含まれています。

現役時代に自営業や個人事業主などだった方は、国民年金のみの受け取りになったり、厚生年金の受給分が少額になったりするケースがあり、老後の生活費をカバーできるだけの金額を受け取れない可能性があります。

付加年金制度や国民年金基金への加入のほか、NISAやiDeCoなどを活用して老後資金の準備を計画的に行う必要があるでしょう。

4. まとめ

60歳代・70歳代二人以上世帯のうち、2000万円以上の貯蓄がある世帯は、それぞれ40%弱の割合で存在しています。

しかし、金融資産のない世帯がそれぞれ10%ほど存在していることから、世帯により貯蓄額に大きな差が生じている状況です。

老後は医療費や介護費、バリアフリーのためのリフォーム代など、まとまった出費がかかることがあります。

また、生活費が不足した場合、切り崩せるだけの貯蓄を準備しておく必要もあります。

老後の経済的な不安を軽減できるよう、現役時代のうちから老後資金の準備を始めておくことをおすすめします。

参考資料