5. 働き方が変わる?「年収106万円の壁」撤廃に向けた制度改正
このような社会状況を背景に、近年では「働き方」と年金制度の関係性も見直されています。2025年に成立した年金制度改正法には、いわゆる「年収106万円の壁」の見直しが盛り込まれました。
5.1 パートの「働き控え」を生む「年収106万円の壁」の仕組み
これまで、短時間で働く労働者は収入が一定額を超えると社会保険料の負担が生じるため、意図的に労働時間を調整する「働き控え」が起こりやすい構造がありました。
社会保険の適用対象となる企業の規模は段階的に拡大され、2024年10月からは従業員数「51人以上」の事業所が対象となっています。
今回の改正では、働き控えの要因となっていた賃金要件や企業規模要件が段階的に撤廃されることになり、より柔軟な働き方が可能になる環境が整備されていきます。
5.2 短時間労働者の社会保険加入要件はどう変わる?
2025年7月時点において、パートタイムなどで働く短時間労働者が社会保険に加入するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 2カ月を超える雇用の見込みがあること
- 学生ではないこと
- 所定内賃金が月額8万8000円以上であること(賃金要件)
- 従業員数51人以上の企業で働いていること(企業規模要件)
今回の改正によって、このうち4番目の「賃金要件」と5番目の「企業規模要件」が撤廃される予定です。
これにより、今後は収入を抑制するのではなく、無理のない範囲で働きながら年金を補うという選択肢が、これまで以上に現実味を帯びてくると考えられます。

