8. まとめ:75歳からの家計を見通すために押さえておきたいポイント

ここまで見てきたように、後期高齢者夫婦の家計は、生活費・年金・貯蓄のバランスに大きなゆとりがあるとはいえず、多くの世帯で貯蓄を取り崩しながら生活を維持している実態がうかがえます。さらに、医療費や介護費が加わることで、将来の家計負担はより不透明になりがちです。

一方で、後期高齢者医療制度や高額療養費制度のように、医療費の負担を一定の範囲に抑えるための公的制度も整っています。こうした仕組みを理解しておくことで、「想定外の支出」に対する不安を過度に大きくせずに済むでしょう。

また、資産の内訳に目を向けると、預貯金の比率が高く安全性は確保されていますが、物価上昇が続く環境では実質的な価値が下がってしまう可能性も否定できません。

そこで重要になるのが、単に「いくら持っているか」ではなく、「その資産でどれくらいの期間、生活を支えられるか」という資産寿命の視点です。

「人生100年時代」といわれる今、長期化する老後に備えるためには、年金の受け取り方や医療制度も含めた総合的な家計設計が不可欠です。

現役時代からの準備はもちろんのこと、公的制度を上手に活用しながら、いかにして長く安定した生活基盤を築いていくか。それが、これからの老後生活における大きなテーマといえるでしょう。

※この記事は再編集記事です。

参考資料

吉沢 良子