3. スバルの主戦場は「日本」ではなく「アメリカ」
スバルと聞いて、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。インタビュアーは、熱狂的なファンである「スバリスト」の存在や、ラリーで活躍する四輪駆動車のイメージ、そして特定の層に深く刺さるニッチなメーカーという印象を語りました。
しかし、泉田氏はこの「日本人が抱くスバルのイメージ」が、実際のビジネスの姿とは大きく異なっていると指摘します。
「日本人も好きな人はいるけど、スバルの車に乗ってる人は海外の人が多いです。むしろ海外の方がファンがいる。しかも海外の中でもどこが一番多いかっていうとアメリカです」
事実、決算説明会資料に記載された第3四半期累計の販売台数データを見ると、その構造は一目瞭然です。
総販売台数67.6万台のうち、日本国内での販売はわずか7.8万台。残りの59.8万台はすべて海外で販売されています。スバルの主戦場は、日本ではなく圧倒的に海外、それも米国市場なのです。
では、なぜスバルの車はアメリカでこれほどまでに売れるのでしょうか。
泉田氏は、スバルが採用している「水平対向エンジン」という独自の技術に言及します。これはピストンが横に動く構造のエンジンで、高級スポーツカーのポルシェなどでも採用されている技術です。
縦に動く一般的なエンジンに比べて振動が少なく、高い技術力が求められます。
泉田氏はこの技術的特徴が、アメリカの消費者にどう映っているのかを分かりやすく解説します。
「車って言うとエンジンですよね。ガソリン車だとポルシェが高嶺の花でなかなか買えないけど」「同じ仕組みで動いてるのが日本車で、しかもポルシェよりも安い値段で買えるってなると、買いたくなるじゃない」
世界有数の投資家であるウォーレン・バフェット氏も、かつてスバルの「レガシィ」に乗っていたことで知られています。バフェット氏といえば、物の本来の価値と価格の差を見極める「バリュー投資」の神様です。
「アメリカ人の中でも燃費効率が良くて、そしてスペックが高いものを好きな人っているんですよ。逆にそういう人が一番多い国かもしれない」
泉田氏は、アメリカ人は大きな車ばかり乗るというステレオタイプとは異なり、高いスペックと手頃な価格のバランス、つまり「コストパフォーマンスの良さ」を合理的に評価する層がアメリカには多く存在し、そこにスバルの車が深く刺さっていると分析しています。
【動画で解説】スバル、利益激減の真犯人は「米国の追加関税」か
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日