桜のつぼみもほころび、新年度の足音が聞こえる季節になりました。生活の支えとなる「障害年金」も、2026年4月分(6月15日支給)から新しい支給額が適用されます。

近年、ニュースなどで審査の動向が報じられることもありますが、これは国がより公平で適切な支給を目指して点検を行っている証でもあります。特に判定が難しいとされる精神疾患などの分野では、どのような点に注目すべきなのでしょうか。今回は、最新の支給額とともに、安心して制度を利用するために知っておきたい「更新」の仕組みについて詳しく紐解いていきます。

1. 【障害年金】認定状況はどう変わった?「精神障害」における審査の現状

障害年金の不支給等事案にかかる点検作業の進捗状況について、日本年金機構より最新の速報値が更新されました。点検済件数は1万4841件、うち支給となった件数は444件(約3.0%)と公表されています。

不支給等事案の点検1/3

不支給等事案の点検

出所:日本年金機構「障害年金の認定状況について」

こうした点検が行われている背景には、より適切な認定を目指す国の姿勢があります。特に精神障害の分野では、数値化しにくい「日常生活の困難さ」をどう客観的に評価するかが課題となっており、審査の目安と実際の判定の整合性を高める取り組みが続いています。

直近の調査では、精神障害の不支給割合が一時的に上昇する傾向も見られましたが、これは制度の公平性を保つための精査が進んでいる側面もあります。申請を検討する際は、最新の認定傾向を正しく把握しておくことが大切です。

2. 【障害年金】2026年度の改定額、1級と2級で「約1.7万円の差」

令和8年4月分からの改定額を確認しましょう。障害基礎年金の月額は、2級が7万608円、1級はその1.25倍となる8万8260円です。1級と2級では月額にして約1万7652円の差が生じます。

2026年度の障害年金「年金月額」

2026年度の障害年金「年金月額」

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

障害厚生年金はこの「2階部分」にあたり、1級・2級に該当する場合は、基礎年金に加えて厚生年金も受け取れるのが特徴です。

  • 1級: 基礎年金(8万8260円)+厚生年金(報酬比例部分の1.25倍)
  • 2級: 基礎年金(7万608円)+厚生年金(報酬比例部分)
  • 3級: 厚生年金のみ(最低保証額あり)

また、配偶者がいる場合には加給年金、子がいる場合には子の加算が上乗せされる仕組みです。厚生年金には独自に「3級」が設けられており、症状の程度に応じてより細やかな保障が行われています。

2.1 「申請前に知っておきたい」3つの要件とは?

障害年金は、病気やけがにより生活や仕事に制限が生じた場合に支給される公的制度です。対象となるのは肢体や内部疾患、精神障害など幅広く、障害者手帳の有無は問われません。受給には以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 初診日要件: 障がいの原因となった病気で初めて受診した日に、年金制度に加入していること。
  • 保険料納付要件: 初診日の「前日」時点で、一定以上の保険料納付(または免除)があること。
  • 障害認定日要件: 初診から1年6ヶ月経過した時点で、国が定める障害等級に該当していること。

3. 【障害年金】一生もらえるとは限らない!更新期間、新規裁定の約6割「3年以内」の仕組み

「障害年金は一生もらえる」とは限りません。日本年金機構の最新統計(令和5年度決定分)を見ると、更新手続きの頻度がわかります。

3.1 新規裁定「3年以内」の更新が多い

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数2/3

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」

初めて受給が決まった際、約6割の人が「1〜3年」という短い期間で次の診断書提出(更新)を求められています。

  • 更新期間2年・3年:合計で約58%
  • 永久固定(更新なし):わずか8.5%

つまり、初期段階では「状態が変化する可能性がある」と判断されることが一般的です。

3.2 再認定でも「3年」と「5年」更新が多い

令和5年度【再認定】更新期間別支給件数3/3

令和5年度【再認定】更新期間別支給件数

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」

数回の更新を経て状態が安定してくると期間は延びる傾向にありますが、それでも「永久固定」と認定される人は全体の約17.7%に留まります。

  • 更新期間3年・5年:合計で約73.4%

多くの受給者が、数年ごとに「今の状態」を医師に証明してもらい、再審査を受けることになります。

4. 【障害年金】制度の理解がこれからの安心につながる

2026年度の障害年金は、物価動向を反映した改定とともに、より適切な支給に向けた審査体制の再点検が進む大きな転換期を迎えています。1級と2級で月額に差があり、3級は厚生年金独自のものなど、複雑に見える仕組みですが、まずはご自身の状況が「3つの要件」に当てはまるか整理することが大切です。

参考資料

村岸 理美