2026年3月も下旬となり、年度末を迎えました。

新年度に向けて年金の改定や給付制度に関心が高まる時期ではないでしょうか。物価の上昇が続くなか、年金収入が生活の柱であるシニア世帯にとって、「年金だけでは心もとない」と感じる機会も少なくないかもしれません。

このような状況で、低所得の年金受給者を支援する制度として「年金生活者支援給付金」があります。

この制度は、所得が一定基準以下の方を対象に、年金に上乗せして支給される国の給付金です。老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金の受給者も対象になることがあります。

給付金は、原則として年金が支給される偶数月の15日にあわせて支給され、直近では4月15日の支給日に上乗せされる可能性があります。

ただし、受給には所得などの条件があり、申請状況によって支給されるかどうかが決まります。

この記事では、2026年度の給付額、対象となる方の条件、申請方法、そして支給日の仕組みについて、わかりやすく解説していきます。

1. 【2026年度版】年金生活者支援給付金の支給額はいくら?老齢・障害・遺族年金別に解説

「年金生活者支援給付金」とは、公的年金などの収入やその他の所得が、定められた基準額に満たない場合に受け取ることができる給付金制度です。

この給付金は老齢・障害・遺族年金のそれぞれに設定されており、2カ月に1回、公的年金に上乗せされる形で支給されます。給付額は公的年金と同じく、毎年度見直される仕組みです。

1.1 2026年度の年金生活者支援給付金、具体的な月額をチェック

年金生活者支援給付金の支給金額1/13

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2026年度における「年金生活者支援給付金」の給付額は、前年度から3.2%の引き上げが決定しました。この新しい増額率は、6月に支給される「4月・5月分」の給付金から適用が開始されます。

2026年度の各給付金の月額は以下の通りです。

  • 老齢年金生活者支援給付金:月額5620円(※こちらは基準額です)
  • 障害年金生活者支援給付金:月額1級7025円、2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

老齢年金生活者支援給付金に関しては、上記の金額はあくまで基準額です。実際の支給額は、個々の保険料納付済期間などに基づいて計算されることになります。

2. 年金生活者支援給付金の対象者とは?3つの種類別の支給条件を詳しく解説

年金生活者支援給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれに支給されるための要件が設けられています。ここでは、種類ごとに内容を確認していきましょう。

2.1 【老齢年金】年金生活者支援給付金の支給要件

老齢年金生活者支援給付金を受け取るためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得の合計額が、生年月日に応じて以下の金額以下であること(※2)

※1 障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 【障害年金】年金生活者支援給付金の支給要件

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 障害年金などの非課税収入は含まれません。

 

2.3 【遺族年金】年金生活者支援給付金の支給要件

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 遺族年金などの非課税収入は含まれません。

 

どの種類の年金生活者支援給付金においても、前年の所得額が支給の可否を判断する重要な要素となります。

また、注意点として、これらの給付金は支給要件を満たしていても自動的に支給されるわけではありません。受け取るためには、ご自身での「請求手続き」が不可欠です。

3. 申請は必須!年金生活者支援給付金を受け取るための手続き方法

年金生活者支援給付金の支給対象になると、日本年金機構から請求手続きの案内が郵送で届きます。

ただし、請求書が送られてくる時期や書類の形式は、現在の年金の受給状況によって変わります。ここでは、多くの方に当てはまる2つのケースをご紹介します。

3.1 パターン1:65歳で老齢基礎年金を初めて請求する場合

  • 65歳になる3カ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」と一緒に送られてきます。
  • 必要事項を記入した後、受給を開始する年齢の誕生日前日以降に、年金の請求書とあわせて年金事務所へ提出します。

3.2 パターン2:すでに基礎年金を受給中で、新たに対象となる場合

  • 毎年9月の最初の営業日から、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が対象者に順次郵送されます。
  • 2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構からこのはがき型の請求書が届いた方は、電子申請も利用可能です。
  • 郵送で手続きする場合は、必要事項を記入し、切手を貼ってポストへ投函します。

ちなみに、支給要件に該当するかどうかを日本年金機構が確認できない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得情報等を確認するための所得状況届」が送付されます。

3.3 給付金の支給日はいつ?年金と同じ偶数月15日

年金生活者支援給付金は、年に6回、偶数月の15日に支給されます。もし15日が土日や祝日にあたる場合は、その直前の金融機関営業日に支給日が早まります。

支給先は年金を受け取っているのと同じ口座で、年金とは別に同日に支給されます。通帳には、年金と給付金がそれぞれ別の項目として記録されます。

各支給月には、原則としてその前月までの2カ月分がまとめて支給される仕組みです。例えば、10月15日に支給されるのは、8月分と9月分の給付金ということになります。

4. 最新データで見る年金受給額の実態:厚生年金と国民年金の平均月額

ここで、現在のシニア世代が受け取っている年金の実情についても見ていきましょう。

厚生労働省が公表した『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』を参考に、60歳以上の受給権者における男女差や個人差について確認します。

4.1 厚生年金の平均受給月額

厚生年金の平均年金月額7/13

厚生年金の平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

全体の平均年金月額は15万289円です。

  • 男性の平均年金月額:16万9967円
  • 女性の平均年金月額:11万1413円

4.2 国民年金の平均受給月額

国民年金の平均年金月額8/13

国民年金の平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

全体の平均年金月額は5万9310円です。

  • 男性の平均年金月額:6万1595円
  • 女性の平均年金月額:5万7582円

厚生年金(国民年金部分を含む)の平均月額を見ると、男性が16万9967円である一方、女性は11万1413円となっており、男女間で約6万円の差が見られます。

この差が生まれる主な理由は、厚生年金の計算方法にあります。厚生年金の額は現役時代の給与額や加入期間によって決まるため、一般的に勤続年数が長く生涯賃金も高い傾向にある男性の受給額が多くなりがちです。

それに対して、国民年金は加入月数で受給額が算定されるため、男女間での受給額に大きな差は生じにくくなっています。

厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金の受給額は月額2万円未満の方から30万円を超える方まで分布しており、個人の働き方や加入期間がいかに年金額へ影響を与えるかがうかがえます。

5. 届いた封筒の色で手続きが変わる?申請書類の見分け方と注意点

年金生活者支援給付金を受給するには、請求手続きが欠かせません。支給要件を満たしていても、請求書を提出しなければ給付金を受け取ることはできないので注意が必要です。

毎年9月の最初の営業日(2025年の場合は9月1日)から、すでに年金を受給している方で新たに対象となった方へ、案内を兼ねた「年金生活者支援給付金(はがき型)」が順次発送されます。

ただし、送られてくる書類の形式や時期は、年金の受給状況によって異なります。ここでは3つのケースに分けて、届く封筒の種類や手続き方法について解説します。

5.1 ケース1:すでに年金を受給中の方(うす緑の封筒)

すでに基礎年金を受け取っており、今回新たに給付金の支給対象となった方には、2025年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

請求書に必要事項を記入し、同封されている目隠しシールを貼ります。そして、差出人欄にご自身の住所・氏名を書き、切手を貼ってからポストに投函してください。

※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。

5.2 ケース2:これから老齢年金の受給を開始する方(緑の封筒)

これから老齢年金の受給を開始する方には、65歳になる3カ月前に、年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」とあわせて「年金生活者支援給付金請求書」が送付されます。

書類に必要事項を記入したら、受給開始年齢の誕生日前日以降に、年金の請求書と一緒に年金事務所へ提出します。

5.3 ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給中の方(うすだいだい色の封筒)

老齢基礎年金を繰上げ受給している方で、給付金の受給権が発生すると見込まれる方には、65歳になる誕生月の初め(1日生まれの場合は前月の初め)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届きます。

はがきに必要事項を記入し、同封の目隠しシールを貼付します。差出人欄にご自身の住所と氏名を記入し、切手を貼ってから投函してください。

※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。

一度申請を済ませれば、支給要件を満たし続ける限り、2年目以降は基本的に手続き不要です。もし所得の増加などで要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は止まります。

2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付された方は、新たに「電子申請」での提出が可能になりました。

電子申請を行う際には、以下のものが必要になりますので、あらかじめ準備しておくとスムーズです。

  • スマートフォン
  • マイナンバーカード
  • マイナンバーカード受け取り時にご自身で設定したパスワード(数字4桁)
  • 署名用電子証明書パスワード(英数字6桁から16桁)

電子申請で手続きを完了した場合、郵送での提出は不要となります。

6. 4月15日の年金に上乗せされる人は?給付金の最終確認ポイント

年金生活者支援給付金は、所得が一定基準以下の年金受給者の生活を支えるため、年金に上乗せして支給される制度です。老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金を受け取っている方も対象となる可能性があります。

この給付金は、年金と同じく偶数月の支給日にあわせて支給される仕組みです。

しかし、対象者全員が自動で受け取れるわけではありません。申請手続きが必要であったり、所得などの条件を満たしていなかったりすると支給されないため、注意が必要です。

また、申請書類は届く封筒の色で種類が分けられており、ご自身の状況に合った方法で手続きを進める必要があります。

新年度を目前に控えたこの3月は、制度の内容を改めて確認するのに適した時期です。

ご自身が対象になるのか、申請は完了しているか、支給日はいつなのかを正しく把握し、受け取り漏れがないようにしましょう。早めに確認してみてはいかがでしょうか。

参考資料