3. 業績下方修正の背景にある「在庫リスク」

非常に儲かっているように見えるANYCOLORですが、直近の決算発表では株価が大きく下落する場面がありました。その要因となったのが、業績予想の「下方修正」です。

2026年3月の発表では、通期の売上高見通しを520〜540億円から547.3〜556.3億円へと上方修正した一方で、営業利益は210〜220億円から198.2〜203.6億円へと下方修正しました。

売上が伸びているのに利益が減るという、一見すると矛盾するような状況です。

泉田氏が資料を読み解くと、その原因は「棚卸資産(在庫)」の評価損にあることが分かりました。同社は第3四半期に9.7億円の評価損を計上し、さらに第4四半期にも約15億円の評価損を見込んでいると発表したのです。

これは、数年前に開催したイベントの関連商品など、相当期間前に製造されたVTuberグッズが売れ残り、資産としての価値がなくなったために損失として処理したことを意味します。

泉田氏は、グッズ販売を中心とする同社のビジネス構造について、次のように指摘します。

「VTuberのIPだけで収益を得ているのであれば在庫リスクはないものの、結局IPというかブランドをもとに商品でビジネスを回しているので、この在庫リスクを抱えたビジネスモデルってことにはなるよね。」

デジタルな存在であるVTuberのビジネスであっても、物理的なグッズを製造・販売している以上、売れ残れば損失を被るという「小売業」特有のリスクから逃れることはできません。

さらに、VTuberの人気には波があるため、トレンドを見誤れば大量の不良在庫を抱えることになります。

【動画で解説】ANYCOLOR、業績下方修正の背景にある「在庫リスク」

「小売業の究極の仕事って、お客さんが欲しいときに適切に商品を出せるかというのと、いかに在庫を少なくするか。こう考えると、そこを精緻にやれないと小売業としてもバリュエーション(企業価値評価)がつきにくくなるんだよね」

泉田氏は、同社が今後株式市場から高く評価されるためには、この在庫管理能力の向上が不可欠であると分析しています。

VTuberグッズ在庫の構造リスク2/4

VTuberグッズ在庫の構造リスク

出所:ANYCOLOR株式会社 各種IR資料を基にイズミダイズム作成