ゴールデンウィークの大型連休が明け、日常のペースを取り戻しつつある5月中旬。連休中の出費や新年度の慌ただしさを経て、ふとご自身の「家計」や「資産運用」について見直そうと考えている方も多いのではないでしょうか。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、二人以上世帯の金融資産保有額は平均1940万円(中央値720万円)と前年から増加しています。資産が増えた理由として「株式・債券評価額の増加」や「配当や金利収入」といった運用益に関する項目が上位に挙がっており、資産運用を家計にうまく取り入れている世帯の姿がうかがえます。

一方で、長引く物価高の影響からか、「日々の生活費を削ってまで無理にNISAを続けている」という、家計が圧迫されている世帯の存在も、最新の調査から見えてきました。

この記事では、「連休明けを機に新NISAを始めたい(見直したい)」と考えている人に向けて、新NISAの仕組みと活用のメリットを整理して解説します。 つみたて投資のシミュレーション結果や、最新のアンケート調査から見える「NISA活用のリアルな実態」も見ていきましょう。

※投資には元本割れのリスクがあり、シミュレーション結果のように必ずしも資産が増えるわけではない点にご注意ください。

1. 【新NISAのキホンを整理】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違いは?

2024年にスタートした新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用できる仕組みに変更されました。

NISA「つみたて投資枠と成長投資枠」1/4

NISA「つみたて投資枠と成長投資枠」

出所:金融庁「NISAを知る」

「つみたて投資枠」は、長期・積立・分散による資産形成を目的とした制度で、年間120万円までの投資が非課税対象となります。

対象商品は、金融庁の基準を満たした投資信託やETFなど、長期運用に適したものに限定されています。

一方、「成長投資枠」は投資対象の自由度が高く、個別株や投資信託などに年間240万円まで投資することが可能です。

これら2つの枠を活用することで、年間最大360万円まで非課税で投資を行うことができます。

また、非課税で保有できる期間に上限はなく、制度も恒久化されたことで、長期的な資産形成に取り組みやすくなっています。

加えて、生涯にわたって利用できる非課税投資枠は1800万円とされており、そのうち成長投資枠は最大1200万円まで利用可能です。

さらに、資産を売却して空いた枠については、翌年以降に再び活用できるのも大きな特徴です。

2. 【つみたて投資枠】15年間の積立+その後15年間の運用!資産額はどの程度増えるのか

「つみたて投資枠」は、年間120万円までの投資が非課税となる制度です。

ここでは、この枠を最大限活用し、毎月10万円を15年間積み立てた場合について、金融庁のつみたてシミュレーターを参考にしながら試算結果を見ていきます。

2.1 【試算結果】「毎月10万円・15年間・年利3%」で積立投資した場合の資産額

毎月10万円を15年間、想定利回り3%で「つみたて投資枠」を活用して積み立てた場合、元本は合計で1800万円となります。

この条件で運用を継続すると、15年後の資産額は2262万円となり、運用によって増えた金額は462万円になると試算されています。

シミュレーション結果2/4

シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

では、想定利回りを3%のまま、その後もさらに15年間運用を続けた場合の結果について見ていきましょう。

このシミュレーションも、金融庁が公表している新NISAの活用例を参考に確認していきます。

年間投資枠を有効活用パターン3/4

年間投資枠を有効活用パターン

出所:金融庁「NISAの活用事例」

試算では、最終的な資産額が約3525万円に達する可能性が示されています。

これは、投資元本1800万円の約2倍に近い水準です。

ただし、この結果は一定の前提条件にもとづくシミュレーションであり、あくまで目安として捉える必要があります。

それでも、積立と長期運用を30年間継続することで、3000万円を超える資産形成が期待できるケースがあることを示す一例として参考になるでしょう。

なお、投資には価格変動のリスクがあり、場合によっては元本を下回る可能性もあるため、必ずしもシミュレーション通りの結果になるとは限らない点には注意が必要です。

3. 【家計圧迫の実態】NISA利用者の10人に1人が「無理をして継続中」(オカネコ調べ)

将来の資産形成に向けてNISAを活用する人が増える一方で、足元の家計に歪みが生じている実態も浮き彫りになっています。

株式会社400Fが2026年4月に実施した「オカネコ NISAによる家計圧迫の実態調査」によると、新NISA利用者のうち28.2%が昨年度より「家計にゆとりがなくなった」と回答しており、その最大の要因として83.8%が「物価高騰」を挙げています。

 

こうした厳しい環境下でも約8割が積立投資を「計画通り継続中」とする一方、約10人に1人(10.4%)は生活費を削るなどして「多少無理をして継続中」と回答。

さらに、約4人に1人(24.9%)が、突発的な支出に備えるための生活防衛資金(すぐに使える現預金)が「3ヶ月分未満」という心許ない状態で投資を続けていることも明らかになっています。

4. 【つみたて系・成長投資系】みんな、どのくらいNISAを活用している?

続いて、J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、二人以上世帯におけるNISAの活用状況を見ていきましょう。

4.1 「成長投資枠系」の保有額は「つみたて系」の約1.6倍という結果に

新旧NISA制度を含めた保有額を比べると、一般・成長投資枠の合計は、つみたて枠の合計に対して約1.6倍となっています。

年間の投資上限額が大きい成長投資枠(旧一般NISAを含む)は、つみたて投資枠と比べて、より多くの資金を運用に充てやすい特徴があります。

その結果、毎月の積立による資産形成に加えて、余裕資金を活用して資産全体を押し上げる役割も果たしていることがうかがえます。

  • つみたて系 合計:235万円
    • 新NISA つみたて投資枠:112万円
    • 旧つみたてNISA:123万円
  • 一般・成長系 合計:377万円
    • 新NISA 成長投資枠:180万円
    • 旧一般NISA:197万円

少額を継続的に積み立てていく「つみたて投資枠」に対し、成長投資枠は余裕資金を投入することで、資産全体の残高を大きく引き上げる役割を果たしているといえます。

4.2 新NISA「つみたて投資枠」の世代別残高はどのくらい?

次に、新制度開始後の「つみたて投資枠」の残高を年代別に確認していきます。

  • 20歳代:69万円
  • 30歳代:98万円
  • 40歳代:107万円
  • 50歳代:119万円
  • 60歳代:123万円
  • 70歳代:135万円

20歳代から70歳代にかけて、年齢が上がるほど残高が増えていく傾向が見られます。

20歳代は69万円からスタートし、30歳代〜50歳代の現役世代では、おおむね100万円前後から120万円弱まで、年代とともに緩やかに増加しています。

この結果から、多くの世帯が昇給や支出の変化といったライフステージに応じながら、積立投資を継続している様子がうかがえます。

一方で、60歳代以降になると残高はさらに伸び、70歳代では135万円と全世代の中で最も高い水準となっています。

資金的な余裕があるリタイア層では、現役世代よりも毎月の積立額を高めに設定している、あるいは制度開始時から上限に近い金額で積極的に活用している世帯もあると考えられます。

5. まとめにかえて

最新の調査データからは、ライフステージによるNISA活用状況の違いが見えてきました。

退職金などで資金に余裕がある60歳代以上のリタイア世代がまとまった資金を運用に回す一方で、子育てや住宅ローンを抱える現役世代にとって、毎月の積立資金を捻出するのは決して簡単なことではありません。

「オカネコ」の調査データが示した通り、日々の生活防衛資金を削ってまで無理に投資を続けてしまっては、いざという時に家計が行き詰まってしまうリスクがあります。

ここで重要になるのが、先ほどのシミュレーション結果でも示された「投資期間(時間)」です。 つみたて投資の最大の味方は、長く運用を続けることで得られる「複利の力」です。

手元資金が少ない現役世代であっても、家計に支障のない「無理のない金額」から投資の種をまき、時間をかけて育てていくことが、将来の大きな安心へと繋がります。

大型連休が明け、日常のペースを取り戻しつつある今の時期。まずはご自身の家計の余力を正しく把握し、将来に向けた時間を味方につける資産づくりを見直してみてはいかがでしょうか。

参考資料