4. 逆風を跳ね返した「野球界の結束」
そんな逆風を跳ね返したのは、MLB機構とベネズエラ代表チームの執念です。
MLBはベネズエラ代表の参加を死守するため、チャーター機の緊急手配や、選手の家族の安全確保に関する特別なバックアップを実施。主将であるサルバドール・ペレスは代表選手一人ひとりに電話をかけ、バラバラになりかけたチームを再度一つにまとめあげました。
実はWBC決勝トーナメントの舞台となったアメリカのマイアミは、混乱する母国を逃れたベネズエラ人がもっとも多く住む街でもあります。スタジアムでアウェイでもあるにも関わらず、地鳴りのような太鼓や声援が響いていたのは、地理的事情も大きく関係しています。
1月には出場が危ぶまれ、2月には戦力不足と評価されていたチームが、3月に因縁の相手でもあるアメリカを倒し、初優勝の栄冠をつかんだ―― この奇跡ともいえる物語が、苦境にあえぐ国民に大きな希望を与えることは想像に難くありません。
残念ながら準々決勝で日本は敗退してしまいましたが、進出できなかった準決勝や決勝も含め、大会を通じて各国の野球への情熱や背景に多くの人が関心を持ったことには、勝敗を超えた大きな意義があったのではないでしょうか。
参考資料
大蔵 大輔
著者
1990年生まれ。福岡県福岡市出身。明治大学文学部史学地理学科卒。2023年に株式会社モニクル傘下の株式会社モニクルリサーチに入社。モニクルリサーチ入社前は株式会社BCNで、デジタル生活を応援するランキング情報誌「BCNランキング」、流通業界特化の専門紙「BCN RETAIL REVIEW」、家電・グルメ・マネー・ヘルスケア・ライフスタイルの最新トレンドを発信するニュースサイト「BCN+R」、法人向けIT業界特化の専門紙「週刊BCN」などの媒体で編集・記者として10年間活動。業界のキーパーソンを数多く取材し、1000本以上の記事を執筆する。
専門領域は家電全般、テクノロジー、ポイ活。家電やテクノロジーの分野では、定量的なデータに基づく正確な市場分析とユーザー目線の忖度のないレビューを得意とする。ポイ活の分野では、関係者への取材と実践を通して得た知識をもとに、消費者に利便性を分かりやすく伝える記事を多数執筆。セミナーや座談会のモデレーターも務める。スポーツ競技に幅広い見識があり、特に野球は年間300試合以上を観戦するなど、熱烈な愛情を持っている。スポーツビジネスを経済的な観点で分析する記事の執筆にも力を入れている。
最終更新日:2026/03/27