4. 逆風を跳ね返した「野球界の結束」

そんな逆風を跳ね返したのは、MLB機構とベネズエラ代表チームの執念です。

MLBはベネズエラ代表の参加を死守するため、チャーター機の緊急手配や、選手の家族の安全確保に関する特別なバックアップを実施。主将であるサルバドール・ペレスは代表選手一人ひとりに電話をかけ、バラバラになりかけたチームを再度一つにまとめあげました。

実はWBC決勝トーナメントの舞台となったアメリカのマイアミは、混乱する母国を逃れたベネズエラ人がもっとも多く住む街でもあります。スタジアムでアウェイでもあるにも関わらず、地鳴りのような太鼓や声援が響いていたのは、地理的事情も大きく関係しています。

1月には出場が危ぶまれ、2月には戦力不足と評価されていたチームが、3月に因縁の相手でもあるアメリカを倒し、初優勝の栄冠をつかんだ―― この奇跡ともいえる物語が、苦境にあえぐ国民に大きな希望を与えることは想像に難くありません。

残念ながら準々決勝で日本は敗退してしまいましたが、進出できなかった準決勝や決勝も含め、大会を通じて各国の野球への情熱や背景に多くの人が関心を持ったことには、勝敗を超えた大きな意義があったのではないでしょうか。

参考資料

大蔵 大輔