2026年3月17日(日本時間18日)、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝が行われ、ベネズエラがアメリカを3-2の接戦で破り、大会史上初の優勝を飾りました。

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出所:MLB.com: World Baseball Classic

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日本に準々決勝で土を付けたこともあり、ベネズエラがどのような国なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では同国の基本情報や日本とのつながり、今大会の出場に至るまでの苦難と奇跡の逆転劇について、紹介します。

1. 実は国土は日本の約2.4倍。石油埋蔵量は世界最大

ベネズエラの正式名称は「ベネズエラ・ボリバル共和国」。南米大陸の北端に位置するカリブ海に面した国です。人口は約2860万人ながら、面積は約91.6万平方キロメートルで日本の約2.4倍の国土を誇ります。

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siaga tegar/shutterstock.com

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首都は北部のカラカスで、スペイン語が公用語です。19世紀初頭にシモン・ボリバルによってスペインから独立し、南米の自由を象徴する歴史を持っています。

資源が豊富な国で、資源産業が主要産業となっています。特に石油は埋蔵量世界最大とも言われています。このほか、高品質なカカオやコーヒーなども有名で、名産品となっています。

2. 南米唯一の野球大国。スター選手も数多く輩出

南米で親しまれているスポーツといえば、サッカーの印象が強いかと思いますが、ベネズエラでは圧倒的な人気で、野球が国民的スポーツとして君臨しています。

野球がベネズエラに伝わったのは1910年代。アメリカの石油会社が進出し、アメリカ人技術者が多く滞在していた影響で、彼らが余暇に楽しんでいた野球が一般の労働者や子どもたちに広まりました。

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migyeli lanz/shutterstock.com

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多くの伝説的選手も生み出しており、ベネズエラ唯一の殿堂入り選手であるルイス・アパリシオ、WBC代表チームの打撃コーチも務めた三冠王のミゲル・カブレラなどが有名です。

現役選手でも、MVP受賞経験もあるホセ・アルトゥーベや日本戦で先頭打者ホームランを放ったロナルド・アクーニャJr.、3年連続で首位打者を獲得したルイス・アラエスなど、個性が光る名選手が揃っています。

また、日本の野球界との縁も深く、多くのスター選手を輩出しています。ヤクルトや巨人で選手として活躍し、DeNAで監督も務めた「ラミちゃん」ことアレックス・ラミレスは、もっとも有名なベネズエラ出身者といえるかもしれません。

ホームランバッターとして球史に名を刻んでいるアレックス・カブレラとロベルト・ペタジーニも、ベネズエラから海を渡って、日本にやってきています。

今回のWBC代表チームのメンバーでも、アンドレス・マチャドがオリックスに所属しています。今大会では最多6試合に登板し、優勝に大きく貢献したことから、知名度はますます上がりそうです。

3. 政治的混乱で一時は大会辞退の可能性も

試合中継では南米らしい情熱的な応援スタイルが映し出され、底抜けの明るさが印象に残りましたが、ベネズエラは経済的にも政治的にも大きな危機に瀕しています。

1970年代まで、ベネズエラは石油収入により南米で最も1人当たりGDPが高く、民主主義が安定した国家でした。

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Arifwijanarko/shutterstock.com

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しかし、原油価格の下落による外貨収入の激減とその補填のための通貨増刷が招いたハイパーインフレにより、現在の経済規模は最盛期から約75%以上も縮小しています。

国民の約95%が貧困状態にあるとされ、食料や医薬品の不足から、全人口の4分の1にあたる約770万人以上が国外へ脱出するなど、危機的状況が断続的に続いています。

政治的混乱としては、2026年1月に発生した米国による軍事作戦と政権交代が記憶に新しいところです。

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Steve Travelguide/shutterstock.com

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長年独裁体制を維持してきたニコラス・マドゥロ氏がアメリカに拘束されるという異常事態に、一時はWBC出場も絶望的と報道されていました。

母国に残された家族の安全を優先して出場を辞退する主力選手が相次ぎ、さらには米連邦航空局(FAA)が安全上の理由からカリブ海周辺の飛行制限を強化した影響で、国内にいた選手やコーチ陣がキャンプ地の米国へ渡る手段が一時的に断たれるなどの問題も発生していました。

4. 逆風を跳ね返した「野球界の結束」

そんな逆風を跳ね返したのは、MLB機構とベネズエラ代表チームの執念です。

MLBはベネズエラ代表の参加を死守するため、チャーター機の緊急手配や、選手の家族の安全確保に関する特別なバックアップを実施。主将であるサルバドール・ペレスは代表選手一人ひとりに電話をかけ、バラバラになりかけたチームを再度一つにまとめあげました。

実はWBC決勝トーナメントの舞台となったアメリカのマイアミは、混乱する母国を逃れたベネズエラ人がもっとも多く住む街でもあります。スタジアムでアウェイでもあるにも関わらず、地鳴りのような太鼓や声援が響いていたのは、地理的事情も大きく関係しています。

1月には出場が危ぶまれ、2月には戦力不足と評価されていたチームが、3月に因縁の相手でもあるアメリカを倒し、初優勝の栄冠をつかんだ―― この奇跡ともいえる物語が、苦境にあえぐ国民に大きな希望を与えることは想像に難くありません。

残念ながら準々決勝で日本は敗退してしまいましたが、進出できなかった準決勝や決勝も含め、大会を通じて各国の野球への情熱や背景に多くの人が関心を持ったことには、勝敗を超えた大きな意義があったのではないでしょうか。

参考資料

大蔵 大輔