1. 【70歳代前半】ふたり以上の無職世帯〈70歳~74歳〉ひと月の生活費って平均どのくらい?

では、70歳代の暮らしとは具体的にどんなものでしょうか。ここでは、毎月いくら不足し、どれくらいの貯蓄で補っているのかという具体的な数字を元に考えていきたいと思います。

まず、総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、70歳代前半(70歳~74歳)、無職二人以上世帯の生活費の実態を見ていきましょう。

平均世帯主年齢は72.1歳、持ち家率は94.8%です。

1.1 「70歳代前半のふたり以上世帯」支出・収入・家計収支

毎月の家計収支

  • 実収入: 28万7725円
    • うち社会保障給付(主に公的年金給付): 22万4980円
  • 実支出:32万4971円
    • 消費支出: 28万5844円(生活費全般)
    • 非消費支出: 3万9127円(直接税や社会保険料など)

家計収支(差額):▲3万7245円(赤字)

平均消費性向(※1):115.0%

調査によると、70歳〜74歳の無職世帯では収入を支出が上回り、毎月約3万7000円の赤字が出ています。

公的年金などの収入だけでは生活費を賄えず、不足分を貯蓄から毎月4万円弱のペースで補っている現状がうかがえます。 この「毎月の赤字をどう補填するか」が、老後の不安を解消するための大きな鍵となるでしょう。

1.2 特徴1:住居費の負担は軽いが、赤字は続く

この年代では持家の割合が非常に高く、持ち家率は94.8%にのぼります。シニア世代全般の傾向として、毎月の「住居費」自体はかなり低い水準に抑えられていると考えられます。

住宅費という固定支出が小さいことはこの世代の強みですが、それでもなお毎月3万7000円以上の赤字が生じているという点は、しっかり見据えておくべき現実です。

※1:平均消費性向……可処分所得(いわゆる「手取り収入」)に対する消費支出の割合
※2:エンゲル係数……消費支出に占める食料費の割合

1.3 特徴2:物価高の影響と、やがて訪れる「75歳の壁」

この統計データでは食費や光熱費といった細かい支出の内訳までは公表されていませんが、生活費全般にあたる「消費支出」の合計は毎月28万5000円を超えています。

昨今続く物価高騰は、こうした年金中心の家計にじわじわと影響を与えていると考えられます。

また、現在の生活費には、本格的な介護費用が含まれていないケースが多い点にも注意が必要です。

さらに、75歳以上になると後期高齢者医療制度に加入します。この制度では所得状況によって医療費の窓口負担割合が変わる可能性があり、医療費の負担がさらに増えるケースもあります。

このように、高齢期が進むにつれてインフレによる生活費の増加や、医療・介護の支出が増える可能性を踏まえ、将来を見据えた準備を進めておくことが重要になります。

そこで次に、リタイア後の生活を支える柱となる「年金」と「貯蓄」の状況について詳しく確認していきましょう。