4月は新年度のスタートにあたり、年金や各種給付制度を見直すタイミングとして適した時期です
。特にシニア世代では、受け取れる可能性がある給付金を把握できていないケースも多く、「自分は対象なのか分からない」という声も少なくありません。
公的給付の中には、申請をしなければ受け取れない制度もあり、知らないまま見逃してしまう可能性もあります。
年金生活者支援給付金や高年齢雇用継続基本給付金など、対象者が多いにもかかわらず申請されていないケースが目立つ制度があります。
本記事では、見落とされやすい5つの公的給付金について、対象条件・支給額・手続きのポイントをわかりやすく解説します。
1. どんな給付がある?シニア向け公的給付金5つを整理
公的な給付金や支援制度は、知らなければ申請すること自体ができません。受け取れるはずのお金をそのまま見逃してしまうケースは、決して珍しくないのです。ここでは、対象者が多いにもかかわらず見落とされやすい5つの制度を紹介します。
1.1 年金生活者支援給付金
年金収入が一定水準を下回る方に、年金に上乗せして支給される給付金です。老齢年金受給者への支給額は月額最大5450円(2025年度)で、年金と同様に偶数月の2カ月ごとに振り込まれます。
対象者には日本年金機構からはがきで案内が届きますが、見落としや返送漏れのまま放置してしまうと給付を受けられません。受給資格があるか不安な方は、早めに年金事務所に問い合わせておくと安心です。
初回の請求手続きを済ませれば、要件を満たす限り翌年以降は自動的に継続されます。ただし、収入の増加など要件を外れた年度は支給が停止される点には注意が必要です。
1.2 高年齢雇用継続基本給付金
定年後も就労を続ける多くの方が直面するのが、再雇用に伴う賃金の大幅な低下です。
この給付金は、60歳時点の賃金と比べて75%未満に下がった場合に、その低下幅に応じて補填する雇用保険の制度です。雇用保険の加入期間が通算5年以上ある60〜64歳の方が対象となります。
手続きは通常、勤務先がハローワークへ代行して行いますが、担当者の確認漏れや認識不足により申請されていないケースもあります。給与明細を確認し、給付金が正しく反映されているかどうか、念のため人事担当者に確認しておきましょう。
1.3 高年齢求職者給付金
65歳以上で退職した方が受け取れる一時金です。65歳未満の失業給付(基本手当)のように毎月支給される仕組みとは異なり、一括での給付となる点が大きな特徴です。
受給には、離職前の1年間に雇用保険への加入期間が通算6カ月以上あること、そしてハローワークで求職の申し込みを行うことの2つが条件です。給付額は加入期間に応じて、基本手当日額の30日分または50日分となります。
自動的に支給される制度ではないため、退職後は早めにハローワークへ出向くことが重要です。
1.4 厚生年金の加給年金
厚生年金を受給している方に、一定の要件を満たす扶養家族がいる場合に加算される制度です。年額の加算額は配偶者・第1子・第2子がそれぞれ23万9300円、第3子以降は各7万9800円となっています。
申請は老齢厚生年金の請求手続きと同時に行います。65歳の誕生日の3カ月前に届く年金請求書に家族情報を記入し、戸籍謄本や所得証明書などを添えて提出します。
なお、配偶者が65歳になり自身の老齢基礎年金を受け取り始めると、加給年金の支給は終了します。その後は配偶者の年金に「振替加算」が加わりますが、金額は加給年金より少なくなるケースがほとんどです。支給終了のタイミングをあらかじめ把握し、家計計画に反映しておきましょう。
1.5 高齢者住宅改修費用助成制度
介護保険制度には、住宅のバリアフリー改修費用を助成する仕組みが設けられています。要支援・要介護の認定を受けていれば、認定区分を問わず上限20万円まで工事費用の補助を受けることができます。
対象となる工事は、手すりの設置・段差の解消・滑り止め床材への変更・引き戸への交換・洋式便器への取り換えなどです。重要なのは、必ず工事着工前に申請を済ませることです。
工事後の申請は原則として認められません。まずケアマネジャーに相談し、施工業者の選定と見積もりを取得したうえで申請手続きへと進みましょう。
2. 自分は対象?給付金を確認する具体的な方法
受け取れる給付金を確認するには、まず住んでいる市区町村の窓口へ相談しましょう。自治体によっては独自の上乗せ給付や助成制度を設けているケースもあり、窓口で状況を伝えるだけで対象制度を案内してもらえることがあります。
年金に関する給付金については、最寄りの年金事務所や「ねんきんダイヤル」への問い合わせが確実です。また、厚生労働省や各省庁の公式サイトには制度の一覧や要件が掲載されており、自分で下調べするにも役立ちます。
「知らなかった」で損をしないよう、定期的に情報を確認する習慣をつけておきましょう。
3. 申請しないと受け取れない給付も|60歳・65歳以上が確認したい支援制度と手続きのポイント
シニア向けの公的給付金には、年金に上乗せされる制度や、働く高齢者を支える雇用保険、住宅改修の助成など、さまざまな種類があります。
公的給付金は、申請しなければ受け取れないものがほとんどです。はがきの見落としや手続きの遅れが、受給機会の損失に直結することも少なくありません。まずは市区町村の窓口や年金事務所に相談し、自分が対象となる制度を確認することが大切です。
「以前に手続きした」という方も、転居・家族構成の変化・就労状況の変化などがあれば、改めて受給資格を見直しておきましょう。
「知らなかった」で損をしないよう、定期的に情報を確認する習慣が老後の家計を守るうえで役立つはずです。まずは年金事務所やハローワーク、自治体の窓口などで情報を整理し、自分が利用できる給付を早めにチェックしておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金特設サイト」
- ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 厚生労働省「介護保険における住宅改修」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書」
柴田 充輝