妊娠・出産・子育ての各ステージには、家計を支えるさまざまな公的給付制度が用意されています。
しかし、申請しなければ受け取れないものも多く、知らないまま損をしているケースも少なくありません。
出産育児一時金から高校の就学支援金、ひとり親向けの助成制度まで、対象者・支給額・手続き方法をわかりやすく解説します。
1. 出産育児一時金
健康保険に加入している方が出産した際、赤ちゃん1人につき50万円が支給される制度です(産科医療補償制度非加入施設での出産は48.8万円)。直接病院に支払われる「直接支払制度」を利用すれば、まとまった現金を用意しなくても出産費用に充てられます。
双子などの多胎妊娠の場合は人数分が支給されるため、事前に金額を確認しておくと安心です。
2. 出産手当金
会社員・公務員などが出産のために仕事を休んだ期間、健康保険から給与の約3分の2が支給される制度です。支給期間は出産予定日の42日前(多胎は98日前)から出産後56日間となっています。なお、実際の出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間についても支給対象となります。
自営業者やフリーランスは国民健康保険に加入しているため、原則として対象外です。ただし、退職前からの被保険者期間など「資格喪失後の継続給付」の条件を満たしている場合は受け取れるケースもあるので、加入先に確認してみましょう。
3. 育児休業等給付
雇用保険に加入している労働者が育児休業を取得した際に支給される給付金です。休業開始から180日間は給与の67%、以降は50%が支給されます。
2025年4月の制度改正により、出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金が新たに創設されました。両親ともに育休取得の要件を満たせば、最大で給与の実質10割相当の給付を受けられる仕組みが導入されています。
4. 児童手当
高校生年代までの子どもを養育する保護者に支給される手当です。3歳未満は第1子・第2子が月1.5万円、第3子以降は月3万円が支給されます。
3歳以上高校生年代までは、第1子・第2子が月1万円、第3子以降は月3万円です。2024年10月の制度改正により所得制限が撤廃され、高校生年代への拡充や第3子以降の増額(月3万円)も実施されました。
受給には市区町村への認定請求が必要ですので、出生後や転入後は早めに手続きを行いましょう。
5. 高等学校等就学支援金
高校などに通う生徒の授業料を国が支援する制度です。2026年度から所得制限が完全撤廃され、全世帯を対象に公立高校では授業料が実質無償化されます。また、私立高校についても所得制限なしで支援が行われ、最大で年間45万7200円が支給されます。
学校に直接支払われる仕組みで、入学時に学校から案内があるため、見落とさないよう注意しましょう。
ここからは、ひとり親家庭を経済的にサポートする特化型の支援制度を紹介します。
6. 児童扶養手当
ひとり親家庭などを対象に、子どもの生活安定と自立を支援する手当です。子ども1人の場合、全部支給で月額約4.7万円が受け取れます(所得に応じて一部支給あり)。令和元年(2019年)11月から支給回数が年3回から年6回へ変更され、より家計管理がしやすくなりました。
父子家庭も対象に含まれますので、「自分は対象外では」と思い込まずに、まずはお住まいの市区町村窓口へ相談してみてください。
7. ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親家庭の親と子どもの医療費を助成する制度です。自己負担分の全部または一部を都道府県・市区町村が補助してくれます。制度の内容(対象年齢・所得制限・自己負担額など)は自治体によって大きく異なりますので、必ず居住地の窓口へ確認することが大切です。
経済的な不安から医療を受けることをためらっている方も、この制度を活用することで安心して受診できるようになります。
8. おわりに
出産から子育て、高校進学まで、公的支援制度は家計のさまざまな場面で活用できます。ただし、多くの制度は「申請が必要」であり、手続きを怠ると受け取れない給付金もあります。
まずは自分や家族がどの制度に該当するかを確認し、出生・転入・入学などのタイミングを逃さず手続きを行うことが大切です。
不明な点は市区町村の窓口や加入している健康保険組合へ早めに相談することで、受け取れる給付を確実に活用できるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「出産育児一時金等について」
- 全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき」
- 厚生労働省「育児休業等給付について」
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金等」
- こども家庭庁「児童扶養手当について」
- 東京都福祉局「ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)」
柴田 充輝