「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を過ぎ、日本の超高齢社会は新たな段階に入りました。
物価高が続くなか、「老後資金はいつまで持つだろうか」と家計に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。2026年4月からの年金額はプラス改定となりますが、物価の上昇ペースには追い付いていないのが現状です。
特にシニア世帯の家計に影響するのが、年齢とともに増える医療費です。2025年9月末で後期高齢者医療制度の2割負担に関する「配慮措置」が終了したため、窓口での支払額が増えたと感じる世帯も少なくないでしょう。
また、公的年金は現役時代の給与とは異なり「偶数月に2カ月分」がまとめて支給されるため、家計管理の方法も変える必要があります。限られた収入で日々の赤字をどう防ぎ、「資産寿命」を延ばしていくかが重要です。
この記事では、公的な最新データに基づき、75歳以上のシニア夫婦の家計収支、平均的な年金額、貯蓄のリアルな状況を解説します。「人生100年時代」を自分らしく生き抜くための具体的な備えを一緒に考えていきましょう。
1. 年齢とともに増えるシニアの医療費負担、介護費用の平均額も解説
年齢を重ねるにつれて医療費の負担が増えることは、シニア世代にとって避けては通れない現実的な課題です。
厚生労働省の「年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)」によると、60歳以上の1人当たり医療費と、そのうち入院関連費用が占める割合は以下のようになっています。
- 60~64歳:38万円
- 入院関連費の割合:37%
- 65~69歳:48万1000円
- 入院関連費の割合:40%
- 70~74歳:61万6000円
- 入院関連費の割合:42%
- 75~79歳:77万3000円
- 入院関連費の割合:45%
- 80~84歳:92万2000円
- 入院関連費の割合:50%
- 85~89歳:107万1000円
- 入院関連費の割合:58%
- 90~94歳:117万9000円
- 入院関連費の割合:65%
- 95~99歳:125万8000円
- 入院関連費の割合:69%
- 100歳以上:123万2000円
- 入院関連費の割合:70%
60歳代前半で38万円だった年間医療費は、90歳代後半には125万8000円となり、約3.3倍にまで増加します。特に「入院+食事・生活療養」に関わる費用が、全体の医療費を大きく押し上げていることがわかります。
80歳代では医療費の半分以上、90歳代になると約7割をこれらの入院関連費用が占めるようになります。
公的な高額療養費制度を使えば、月々の医療費自己負担には上限が設けられます。しかし、入院時の食事代や差額ベッド代などは対象外で全額自己負担となるため注意が必要です。
1.1 介護費用への備えも重要に
医療費だけでなく、介護費用への準備も忘れてはなりません。
生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査(速報版)」によれば、将来自分が要介護状態になることについて「不安感あり」と回答した人は89.3%にもおよびます。
同調査では、介護費用を公的介護保険だけで「まかなえるとは思わない」と考える人が80.5%に達しており、多くの人が公的保障だけでは不十分だと感じている実態が明らかになりました。
実際に、介護資金を準備する方法として「公的介護保険」(78.5%)の次に多かったのが「預貯金」(66.4%)でした。
厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、日本の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。長寿が一般的となった現代において、入院や介護が長期化することを見据えた資金計画が不可欠といえるでしょう。
日々の着実な家計管理と、世帯全体での資産防衛が、老後の安心を築く鍵となります。次の章では、75歳以上の「無職シニア世帯」の家計簿のリアルな実態を見ていきます。
