3月も下旬となり、暖かな春の陽気と桜の開花が感じられる季節となりました。50代から70代の皆様の中にも、老後資金の準備として2024年1月の新NISA開始を機に積立投資を始めた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

2024年1月の新NISA制度開始をきっかけに、日本中で「積立投資」への関心が一気に高まりました。中でも、安定した成長が期待できるとして圧倒的な支持を集めた銘柄が「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」です。

多くの人からの支持を集め、資金が投じられた結果、2026年2月時点でその純資産総額は10兆円の大台を突破しています。

基準日(2026年3月11日)時点のオルカンのトータルリターン推移(分配金再投資)1/3

基準日(2026年3月11日)時点のオルカンのトータルリターン推移(分配金再投資)

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」をもとにLIMO編集部作成

では、実際にあの時からNISAでオルカンの積立を始めた人は、制度開始から2年が経過した今、どれだけの利益を手にしているのでしょうか。

本記事では、2026年2月末時点の最新データをもとに、積立投資のリアルな運用益をシミュレーションします。さらに、同じ時期にスタートしたにもかかわらず、なぜか「損をしてしまった」というケースにも着目し、その明暗を分けた原因を考えていきます。

ぜひ、今後の積立投資の参考にしてください。

1. 投資シミュレーション

まずは実際に、過去2年間の実績をもとにしたオルカン積立のシミュレーションを見ていきます。

2024年1月の新NISA開始と同時に積立設定を行い、その後は相場の変動に一喜一憂することなく、ただひたすらに「毎月5万円」を銀行引き落としで積み立て続けたケースです。

【シミュレーション条件】

  • 投資期間: 2024年1月 ~ 2026年2月(26ヶ月)
  • 毎月の積立額: 5万円
  • 投資銘柄: eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

【2026年2月末時点の実績】

  • 積立元本総額: 130万円(5万円 × 26ヶ月)
  • 評価額: 約168万1784円
  • 運用益: 約38万1784円

eMAXIS Slim 全世界株式「基準価額および純資産総額の推移」2/3

eMAXIS Slim 全世界株式「基準価額および純資産総額の推移」

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を元に筆者作成

毎月積み立てていた5万円が、2年2ヶ月という期間で、元本の130万円に加えて「約38万円」もの利益を生み出していることがわかります。

もちろん、これはこの2年間の世界経済が全体として右肩上がりで推移したことや、円安トレンドなどが複合的に作用した結果であり、将来も同じペースで増え続けることを保証するものではありません。

「たった2年で38万円か」と思う方もいるかもしれません。しかし、例えばこのお金を銀行預金として預け入れていたとしたらどうでしょう。130万円に対して得られた利息は、せいぜい数百円や数千円程度だったはずです。

そのように考えると、何もせずに、ただ「お金を置く場所を変えた」だけで得られる利益としては、2年間で38万円というのは非常に大きなものではないでしょうか。

2. 積立投資で「損」をした人とは?

先ほどのシミュレーションは、積立投資を「ほったらかし」にして継続した成功例です。 しかし、同じように2024年にNISA口座を開設し、オルカンを買ったにもかかわらず、「全然増えていない」「むしろ損をしてやめてしまった」という人も一定数存在します。

なぜこのような人たちが生まれてしまうのでしょうか。ここからは、利益を出せた人と出せなかった人を分けたNG行動について解説します。

2.1 基準価額が下がった時に売却してしまった

積立投資で最も注意すべきポイントであり、多くの人が陥る罠の1つが、基準価額が下がった時に売却をしてしまうことです。

新NISA制度の開始から約2年間、オルカンの相場はずっと一直線に上がり続けてきたわけではありません。数ヶ月に一度、あるいは年に一度くらいは、世界情勢や円高・円安の状況によって基準価額が落ち込む局面が存在します。

投資に慣れない人や初心者は、自分が購入した銘柄の評価額がマイナスになったり、前月より何万円も減ったりする画面を見ると、強烈な不安に襲われがちです。

  • 「このまま下がり続けてしまうのではないか」
  • 「少しでも傷が浅いうちに売却してしまおう」

などの恐怖心から、基準価額が下がったタイミングの「安値」で売却してしまうことがあります。

オルカンのような市場全体に連動するインデックスファンドは、15年、20年といった長い期間で世界経済の成長を取り込みやすい商品です。だからこそ、短期的に価格が下がったときは本来であれば「安く多く買えるタイミング」と捉えるのが基本です。しかし、ここで不安になって売ってしまうと、その時点で損が確定してしまい、その後の回復や成長の恩恵も受けられなくなります。

2.2 積立額を短期間で何度も変えてしまった

次に挙げられるパターンとしては、積立額の捻出ができずに積立を停止してしまう、または減額してしまうケースです。

積立投資は、基準価額が高い時も低い時も毎月一定額を積み立てることによって、平均取得単価を平準化する「ドル・コスト平均法」の効果を得ることができるため、価格変動のリスクを減らして安定的な資産形成を可能にします。

積立投資のポイント「ドルコスト平均法」3/3

積立投資のポイント「ドルコスト平均法」

出所:金融庁「NISA早わかりハンドブック」


最初に決めた金額から、毎月の投資額を何回も変えてしまうと、購入単価を平準化させるメリットを受けられず、高値の時に多く買ってしまったり、安値の時に少ししか買えなかったりと、上手に資産を育てられない可能性があるのです。

そのため、積立投資を開始するときは、自分で決めた期間を続けられるような金額設定をすることが非常に重要です。

3. おわりに

新NISA開始から約2年。毎月5万円をオルカンに「ほったらかし」で積み立てた人は確かな利益を手にしています。

これは、銘柄自体の成長に加え、積み立てによってお金が雪だるま式に増える複利の力が働き始めている証拠でもあります。しかし、複利の力が真価を発揮するのは、投資期間が10年、15年を超えてからです。

これから先、5年、10年という時間を味方につけ、淡々と投資を続けることで、資産が増えるスピードはさらに加速していくでしょう。

積立投資の最大のコツは、一度設定したらあれこれ考えず、その存在を忘れてしまうほど黙々と続けること。この「ほったらかし」こそが、価格変動リスクを抑え、安定的に資産を育てるための鍵となるのです。

参考資料