不動産価格の高騰や住宅ローン金利の上昇により、マイホーム購入のハードルが上がっています。特に首都圏ではマンション価格が急騰するなど、「なかなか手が出せない」と感じている人も少なくありません。

そこで改めて押さえておきたいのが、住宅ローン控除の制度についてです。

ここでは、住宅ローン控除の仕組みや具体的な計算方法について紹介します。後半では今後予定されている改正内容についても解説しますので、これからマイホームを購入する際の参考にしてください。

1. 【住宅ローン控除】ローン残高4000万円の場合「税負担の軽減額は?」

住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高に応じて税額控除が受けられる制度です。控除率は一律0.7%で、10〜13年間控除を受けることができます。

住宅ローンは数千万円単位で借り入れることも多いため、こうした控除が受けられるのは家計にとって嬉しいポイントです。

1.1 住宅ローン残高4000万円だとどれくらいの税金が軽くなる?

税額控除=納税額から一定額を減らす1/1

税額控除=納税額から一定額を減らす

出所:国税庁「No.1200 税額控除タックスアンサー(よくある税の質問)」をもとにLIMO編集部作成

では、具体的にどれくらいの税負担が軽減されるのか計算してみましょう。

住宅ローン控除の対象となるのは年末時点での住宅ローン残高で、その0.7%の金額が税金から差し引かれる仕組みです。ここでは、住宅ローン残高4000万円のケースで試算してみましょう。

  • 4000万円×0.7%=28万円

この28万円が所得税から控除され、もし控除しきれない場合は一部住民税からも差し引かれます。初年度は確定申告が必要となりますが、会社員や公務員の方は2年目以降は年末調整で控除を受けることができます。

なお、この控除額は「最大額」です。仮にご自身が納める税金(所得税と住民税の控除枠)が20万円の場合、控除されるのは20万円までとなり、差額の8万円を受け取れるわけではない点に注意しましょう。

1.2 繰上げ返済とどちらがおトク?

前述の通り、住宅ローン控除では年末時点での住宅ローン残高が控除の対象となります。そのため、返済が進んで残高が減るにつれて、受けられる控除額も減少する仕組みとなっています。

つまり、借入残高が多い初期こそ「控除のメリットが大きくなる」ということです。

中には、「余裕ができたら繰り上げ返済したい」と考える方も少なくありません。しかし、繰り上げ返済を行って住宅ローン残高が減少すれば、その分受けられる控除額も減ってしまいます。

たとえば借入金利が0.5%の場合、「繰り上げ返済を行って0.5%の利息負担を減らす」のと、「住宅ローン残高の0.7%相当額が税額控除される」のとでは、どちらが有利かは、金利や所得税額、家計状況によって異なります。

もちろん「少しでも負債を減らしたい」と考えることは間違いではありません。大切なのは、制度のメリットを理解したうえで自分にとっての優先順位を決めることです。

2. 【住宅ローン控除】2026年の税制改正「中古住宅」支援の拡充と「床面積」要件の緩和

住宅ローン控除の制度は、これまで度々改正が行われてきました。「令和8年度税制改正の大綱」にもいくつかの改正点が盛り込まれていますので、ここで確認しておきましょう。

最も大きな変更点は、中古住宅に対する支援が拡充される点です。

中古住宅はこれまで借入限度額が3000万円とされていましたが、改正案では最大3500万円まで控除対象となり、省エネ機能が高いほどより控除を受けられる仕組みとなっています。

また、床面積の要件がこれまでの50㎡以上から40㎡以上へと緩和されており、これにより「単身世帯でマイホームを購入したい人」や「新築物件の価格高騰により中古物件を検討している人」もより幅広く控除を受けられるようになる見込みです。

3. 【住宅ローン控除】適用には条件が定められている点に注意

住宅ローン控除の借入限度額と控除期間

住宅ローン控除の借入限度額と控除期間

国税庁:「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」

住宅ローン控除の適用を受けるためには、いくつかの条件が定められています。

たとえば、所得に関しては「2000万円以下」という条件があったり、住宅の性能によって借入限度額が異なったりします。

先ほど、住宅ローン残高4000万円を例に控除額を計算しましたが、住宅の性能や世帯状況によっては限度額が4000万円を下回る場合もある点に注意が必要です。

マイホームを購入する際は、控除の対象となるか、借入限度額はいくらか、ということを必ず確認しましょう。

4. 【住宅ローン控除】制度を踏まえたマネープランを立てよう

今回は住宅ローン控除の仕組みや計算方法、2026年税制改正のポイントについて解説しました。住宅ローン控除は税負担を軽減できる大きなメリットがあります。

一方で控除額には上限があり、納税額によっては満額受けられない場合もあります。また、繰り上げ返済との優先順位も状況によって異なります。

制度の内容を正しく理解することが重要です。住宅価格や金利が上昇する中、資金計画の重要性は高まっています。
控除額を踏まえて総合的に判断することが大切です。

ぜひ今回の内容を参考に、自分に合った住宅購入計画を考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料