2月は年に6回ある年金支給日があります。「もしも、病気やケガにより障がいがある状態になってしまったら」そんな時に暮らしを支える社会保険として「障害年金」があります。なかでも障害年金「3級」は、日常生活を送ることはできても、働く場面において支障や困難を抱える方が対象となる等級です。

今回は、2025年度の受給額や、病気やケガの種類(診断書)ごとの認定状況について、最新の公的資料をもとに解説します。

1. 【障害年金】3級の最低保障額「月額:約5.2万円」受給額は何で決まる?

まず前提として、3級の制度があるのは会社員や公務員の方が加入する「障害厚生年金」のみです。自営業やフリーランスの方が加入する障害基礎年金には3級がありません。

障害厚生年金「3級」の最低保障額(令和7年4月分から)2/5

障害厚生年金「3級」の最低保障額(令和7年4月分から)

出所:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」

2025年4月からの障害厚生年金3級には、以下の通り「最低保障額」が設定されています。

  • 昭和31年4月2日以降生まれの方:62万3800円(年額)
  • 昭和31年4月1日以前生まれの方:62万2000円(年額)

月額に換算すると約5万2000円です。本来、障害厚生年金は加入期間や過去の給与額(報酬)に応じて算出する「報酬比例」という仕組みで決まりますが、計算結果がこの額を下回っても、最低限この金額が保障されます。

2. 【障害年金】精神障害の55.9%が「3級」診断書別の支給件数

令和6年度の統計によると、障害厚生年金の受給が決まった方のうち、52.8%(3万460件)が「3級」として認定されています。

さらに詳しく診断書の種類別で見ると、等級ごとの認定傾向には大きな違いがあります

令和6年度 診断書種類別件数 ③新規裁定・障害厚生4/5

令和6年度 診断書種類別件数 ③新規裁定・障害厚生

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」

2.1 ①精神障害・知的障害

精神障害・知的障害の診断書では、2万8525件の決定のうち、実際に支給が決まったのは2万6680件(93.5%)です。

  • 1級:2.1%(596件)
  • 2級:35.5%(1万127件)
  • 3級:55.9%(1万5957件)
  • 手当金:0件
  • 非該当:6.5%(1845件)

精神障害・知的障害で支給が決まった方のうち、半数以上が3級として認定されています。

2.2 ②内部障害(心疾患・糖尿病など)

内部障害全体では1万3967件の決定のうち、1万2123件(86.8%)に支給が決まりました。

  • 呼吸器疾患:支給決定者のうち62.3%(413件)が3級
  • 循環器疾患(心疾患など):約9割近い87.4%(3381件)が3級で認定
  • 腎疾患・肝疾患・糖尿病:3級(17.1%)よりも2級(71.7%)での認定が圧倒的に多い

2.3 ③外部障害(眼・肢体など)

外部障害全体では1万7235件の決定のうち、1万6320件(94.7%)に支給が決まりました。

  • 眼:1級が55.4%と多く、3級は20.1%にとどまる
  • 聴覚等:2級(38.7%)と3級(22.1%)に分散しているが、手当金(9.0%)の割合も他より高め。
  • 肢体(手足など):48.0%(6800件)が3級として認定

2.4 【知っておきたい用語の補足】

「決定数」と「支給」の違い:

「決定数」とは、審査の結果(支給する・しない)が出た総件数のことです。そこから「非該当」となった件数を除いたものが、実際に年金が支払われる「支給」件数となります。

「非該当」とは:

提出された診断書などの書類を審査した結果、障害の状態が国が定める基準(3級以上、または手当金)に達していないと判断され、年金が支給されないことを指します。ここで一つ心に留めておきたいのは、障害年金は申請すれば必ず受給できるわけではない、という点です 。最新の統計でも、障害厚生年金の申請のうち7.6%(4366件)が、基準に達していないと判断される「非該当」となっています。

3. 【障害年金】「申請したら必ずもらえるわけではない」受給までの流れ

「自分も受給できる可能性があるのでは」と感じたら、まずは「ねんきんダイヤル」や年金事務所へ相談することから始まります。

  • 事前相談:保険料の納付要件などを確認
  • 請求書の提出:主治医に作成してもらった診断書などの書類を提出
  • 審査:日本年金機構にて約3か月かけて審査が行われる
  • 決定:認定されれば年金証書が届き、1〜2か月後に支払いが始まる

障害年金は、書類を提出すれば必ず受給できるわけではありません。実際、障害厚生年金の新規裁定においても、全体の7.6%(4366件)は不支給(非該当)となっています。

審査は提出された診断書などの書類に基づいて行われるため、現在の状況をいかに正確に伝えるかが非常に重要です。ご家族や社会保険労務士などの専門家を頼りながら、一歩ずつ準備を進めていくことをお勧めします。

参考資料

村岸 理美