2月に入り、暦の上では春が近づいていますが、まだ厳しい寒さが続いています。

4月からの新生活を控え、準備が本格化するこの時期は、お子さんの将来に向けた貯蓄計画を見直す絶好のタイミングと言えるかもしれません。

近年、教育資金を準備するための新しい方法として「こどもNISA」への関心が高まっています。

ファイナンシャルプランナー(FP)として多くの方からお金に関する相談を受ける中で、「いつから、いくらで始めるのが最適か」という悩みは、共通の課題だと感じています。

そこでこの記事では、金融庁の最新資料を基に、月々1000円から4万円の積立投資が将来の資産にどう影響するのか、3つの具体的なシミュレーションを交えて分かりやすく解説します。

1. 「こどもNISA」とは?制度の概要と仕組みをFPが解説

金融庁が2025年12月に公表した資料「令和8(2026)年度税制改正について」において、NISA制度拡充の一環として「こどもNISA」の創設が示されました。

2027年からの開始が予定されているこの制度は、0歳から17歳までを対象とし、子どもの将来に向けた資産形成を税制面で後押しするものです。

年間の投資上限額は60万円、非課税で保有できる総額は600万円と設定されており、対象商品は長期の積立や分散投資に適した投資信託です。

原則として運用期間中の引き出しは認められていませんが、12歳以降は本人の同意があり、かつ子どものための用途に限定して、親権者が資金を引き出すことが可能です。

なお、子どもが18歳になると、こどもNISAで運用していた資産は自動的に成人の「つみたて投資枠」へ移管され、そのまま非課税での運用を続けられます。

このように、早い段階から長期間にわたって資産を育てられる点が、こどもNISAの大きな特徴といえるでしょう。

2. こどもNISAのメリットは?早期開始で「複利効果」を最大化する仕組み

「こどもNISA」が持つ最大の魅力は、時間を味方につけた資産形成が可能になる点です。

投資の世界では、運用期間が長くなるほど「複利」の効果が働きやすくなり、同じ投資元本でも将来の成果に大きな差が生まれることがあります。

複利とは、運用で得た利益を元本に加え、その合計額を基にさらに運用を続けていく仕組みを指します。

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複利のイメージ

出所:LIMO編集部作成

利益が新たな利益を生み出す構造になるため、初めは変化が小さく見えても、年数が経過するにつれて資産の増加ペースが加速しやすいのが特徴です。

特に積立投資のように長期間運用する方法では、複利の効果が最大限に活かされ、安定した資産形成に繋がりやすいとされています。

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長期投資

出所:金融庁「NISAについて」

一例として、毎月1万円を年利3%で運用すると仮定します。

20歳から40年間積み立てた場合、元本480万円に対して将来の資産は約930万円になる可能性があります。

それに対して、40歳から20年間だけ積み立てるケースでは、元本240万円が約330万円になるにとどまります。

この差は、投資額そのものよりも「運用に費やした期間の長さ」が大きく影響している結果といえるでしょう。

3. 【積立投資シミュレーション3選】こどもNISAを年利3%・10年間運用すると?

こどもNISAは非課税で運用できる上限が600万円と定められているため、将来の使い道をあらかじめ想定した計画的な運用が重要です。

そこで、5歳から積立投資を開始した場合に、10年後どのような結果が見込まれるのかを確認してみましょう。

ここでは金融庁の「つみたてシミュレーター」を参考に、年利3%を想定し、積立期間を10年間とした3つのケースを紹介します。

3.1 ケース1:毎月1000円(お小遣いで投資体験)を積み立てる場合

ケース①:毎月1000円(お小遣いで投資体験)4/7

ケース①:毎月1000円(お小遣いで投資体験)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

例えば5歳から10年間、毎月1000円の少額を積み立てた場合、将来の資産は約14万円(元本12万円に対し収益2万円)となります。

金額は大きくありませんが、親子でお金や経済の仕組みを学ぶ実践的な教材として活用できるでしょう。

3.2 ケース2:毎月1万円(児童手当を活用)を積み立てる場合

ケース②:毎月1万円(児童手当をそのまま運用)5/7

ケース②:毎月1万円(児童手当をそのまま運用)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

児童手当を元手にして10年間運用した場合、資産額は約139万円(元本120万円に運用益19万円を加えた額)になる見込みです。

高校進学時の費用や塾代など、まとまった教育費を補う資金として心強い存在になるのではないでしょうか。

3.3 ケース3:毎月4万円(本格的な教育資金づくり)を積み立てる場合

ケース③:毎月4万円(本格的な教育資金づくり)6/7

ケース③毎月4万円(本格的な教育資金づくり)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

月4万円を10年間積み立てると、資産額は約558万円(元本480万円に対し収益78万円)と試算されます。

非課税限度額600万円に近づくこの水準は、大学進学など大きなライフイベントへの備えとしても十分な金額といえるでしょう。

なお、これらのシミュレーションは年齢条件の記載がない資料を基に、5歳から開始したと仮定した参考値です。

将来の運用成果を約束するものではなく、投資信託などの金融商品には元本割れを含む価格変動のリスクがある点も理解しておきましょう。

4. 【参考情報】成立した年金制度改正法の主なポイント

2025年6月13日に、年金制度改正法が成立しました。

この改正は、働き方や家族構成の多様化に合わせた年金制度の整備や、私的年金制度の拡充などを通じて、老後の暮らしの安定と所得保障機能の強化を目指すものです。

今回の改正における主な見直しポイントを整理します。

4.1 年金制度改正の全体像と主な変更点

年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》7/7

年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

社会保険の加入対象の拡大

  • 短時間労働者の加入要件(賃金・企業規模)が見直され、「年収106万円の壁」撤廃に向けた動きが進みます。

在職老齢年金の見直し

  • 支給停止の基準となる調整額が「月62万円」へ大幅に緩和されます(2025年度は月51万円)。

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金における男女差が解消されます。
  • 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくなるよう制度が変更されます。

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 標準報酬月額の上限が、月65万円から月75万円へ段階的に引き上げられます。

私的年金制度

  • iDeCoの加入年齢の上限が引き上げられます(3年以内に実施)。
  • 企業型DCの拠出限度額が拡充されます(3年以内に実施)。
  • 企業年金の運用の透明性が高められます(5年以内に実施)。

こうした内容からも、公的年金制度が現役世代の働き方やライフプランと深く関わっていることが分かります。

5. 「こどもNISA」で複利を活かした資産形成という選択肢も

この記事では、「こどもNISA」の概要と、関連情報として年金制度改正のポイントについて解説しました。

物価の高騰が続くなかでも、子どもの教育資金や、将来のためのお金を準備することは必要不可欠です。

ご家庭の家計や資産状況に応じて、もし活用できていない資金があれば、こどもNISAを資産形成の一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、投資には利益が期待できるだけでなく、運用商品に応じた様々なリスクがあり、元本割れの可能性も念頭に置く必要があります。

お子様のための大切な資金ですから、運用の仕組みやリスクなどをしっかりと理解したうえで検討することが大切です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料