3月になると引っ越しシーズンが到来し、多くの人が新しい生活の準備をはじめます。そんな時、勧誘などを通じて「電気・ガスの契約トラブル」が起きるケースが多発しているそうです。
今回、独立行政法人国民生活センターは、「電気・ガスの契約トラブルにご注意!-ウォーターサーバーのレンタルなど、電気・ガス以外のサービスを勧誘されるケースも-」と題した注意喚起を実例とともに公開。事例を基に、トラブルにあわないようアドバイスしています。
トラブルに巻き込まれないように、過去に起きた事例を参考にしてください。
また記事中では、消費者庁による令和7年版「消費者白書」より、最新の「消費者被害の推計額」についてもご紹介します。
※投稿の画像は【写真】をご参照ください。
※今回ご紹介する内容は、独立行政法人国民生活センターの掲載許可を頂いております。
1. 電気・ガス以外の別のサービスを同時契約させられるトラブルが続出
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2016年4月1日より電力の小売全面自由化、2017年4月1日よりガスの小売全面自由化が行われました。
ライフラインである電気、ガスともにトラブルの相談件数は減少傾向ですが、依然として「集合住宅全体の供給契約が変わるかのような説明で勧誘された」「知らない事業者に検針票を見せてしまった」などの相談が国民生活センターに寄せられているようです。
経済産業省資源エネルギー庁によると、電気やガスの検針票には、その期間の使用量が記載されています。
そのため、事業者に検針票を見せた場合には、その家庭でのエネルギー使用について、事業者が傾向を把握することが可能になるのです。
また、電気・ガスの契約の勧誘を受けた際、ウォーターサーバーのレンタルなど、電気・ガス以外の別のサービスを同時に契約させられる相談もあるとしています。
相談事例として、20歳代の男性は一人暮らしのアパートに事業者が訪れ「このアパート全体の電力プランが変更になる。電気料金も安くなる」と説明され、申込書を出してきたので記入してしまったそうです。
後日、アパートの管理会社に問い合わせたところ、電力プランが変更になることは知らないと言われ、事業者の説明が事実ではなかったのでやめたいと相談しています。
同じく20歳代の男性は、「都道府県内の電気料金が下がるので、対象地区すべてを訪問している」と言われ、玄関先で話を聞いてしまったそうです。
相手は、電力会社の代理店を名乗り、契約中の検針票を提示したところ、写真を撮影されたとしています。
別の電力会社への切替を勧められ申し込んだが、その後も浄水型ウォーターサーバーのレンタルや害虫駆除などの相談ができるサービスを勧誘され、契約書にサインしたそうです。ただ、すべて不要なのでクーリング・オフしたいと相談しています。
その他には、訪問してきた事業者に「ガスの契約番号を教えてほしい。料金が安くなる」と言われ、検針票を見せてしまい心配するケースも。電気やウォーターサーバー、家電製品や健康に関するサービスの契約をしたが、内容がよくわからないまま契約してしまった人の相談などが紹介されました。
次のページでこれらの質問や報告に、独立行政法人国民生活センターが回答したアドバイスを紹介します。
2. 電気やガスの契約で、突然訪問してきて勧誘を受けた場合は注意が必要
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独立行政法人国民生活センターは、さまざまなトラブルに対して、以下のようなアドバイスをしています。
まず、突然の訪問で勧誘を受けた場合は、契約せず事業者名や連絡先、訪問の目的、契約条件などをしっかりと確認するようにアドバイスしています。
集合住宅全体の供給契約が変わるかのような説明をされるケースがありますが、その場合は管理人や管理会社に確認が必要です。そのうえで、料金プランや算定方法の説明を受け、メリット・デメリットを把握したうえで契約の要否を検討することが重要だとしています。
また、事業者は、検針票の記載情報(氏名、住所、顧客番号、供給地点特定番号等)により契約を行います。契約の意思がなければ、検針票の記載情報は見せないことが肝心です。
電気・ガス契約の際に、別のサービスをあわせて勧誘されるケースも注意が必要。そのサービスが本当に必要か、よく検討したうえで契約の要否を判断しましょう。
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事業者から訪問販売や電話で勧誘を受け、電気やガスの契約で承諾した際、特定商取引法における訪問販売や電話勧誘販売に該当する場合は、法定の契約書面(クーリング・オフに関する事項など、法律で定められた事項を記載した書面)を受け取った日から8日以内であれば、原則としてクーリング・オフできます。
あわせて勧誘された別のサービスについても同様なので、慌てずに対処するようアドバイスしています。
電気・ガスの契約やクーリング・オフで不明点や不審なことがあれば、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。電気・ガスの契約を結ぶ際のトラブルは、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口に相談を提案しています。
引っ越しシーズンにあわせて、さまざまな業者があなたを狙っています。特に電気やガスなど、ライフラインに関する契約を提案してきた際には注意が必要です。
3. 2024年の消費者トラブルによる被害額は9兆円という結果に
日々消費活動を行うみなさんにとって、決して遭いたくないトラブルが「消費者トラブル」。
しかし、2025年6月に公表された令和7年版「消費者白書」によると、2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9兆円にのぼることがわかりました。
なお、2020年からの推移は下記のとおりです。
3.1 消費者被害・トラブル額の推計結果(既支払額・信用供与を含む。)
- 2020年:約3.6兆円
- 2021年:約5.6兆円
- 2022年:約6.0兆円
- 2023年:約7.9兆円
- 2024年:約9.0兆円
2024年の金額が近年最高額となっていることがわかりました。
なお、既支払額(信用供与を含む)ベースでの消費者被害・トラブル額の推定額は約9.0兆円ですが、この数字には誤差が含まれており、同基準の消費者被害・トラブル額は95%の確率で8.5~9.6兆円の幅の中にあると推定されています。
また推計結果の推移をみると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費の落ち込みの影響が考えられる2020年の約3.6兆円を除いて、だいたい5兆円から6兆円で推移していました。しかし、近年は増加傾向にあることが見て取れます。
また、消費者被害・トラブル額の推計結果の算出方法には、新手法と旧手法の2種類があります。
同白書によると、「旧手法」では、消費者生活相談情報(PIO-NETデータ)に含まれる、1億円以上の極端に高額な案件も推計に含められていました。そのため、発生自体が稀な高額案件が、推計全体に実態以上に大きな影響を与える可能性がありました。
そこで「新手法」では、消費者被害・トラブル額の推計は、1億円未満のデータに基づき行うこととし、相談案件が1億円以上のトラブルについては、推計には含めず、件数と総額を推計値に併記する形を取っています。
この新しい手法により、ごく一部の極端なデータが推計全体に影響を与えることを防ぎ、また実態により即した推計となりました。
なお、旧手法による2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9.6兆円と、新手法よりも金額が多くなっていることがわかります。
いずれにしても、最新の数字で9兆円にのぼる莫大な金額が被害・トラブル額として推計されている現在、消費者庁は誇大広告や偽表示を行う通販業者への行政処分、SNS広告による詐欺的副業の注意喚起など、迅速な対応を取っています。
参考資料
- 独立行政法人国民生活センター「電気・ガスの契約トラブルにご注意!-ウォーターサーバーのレンタルなど、電気・ガス以外のサービスを勧誘されるケースも-」
- 経済産業省資源エネルギー庁「省エネって何?」知る省エネ「検針票」
- 消費者庁「消費者白書等」
LIMO編集部