いよいよ8月に入り、本格的な夏が到来しました。
もうすぐお盆休みを迎え、ご家族や親戚と集まり、将来の暮らしやお金について話し合う機会が増える時期でもあります。
老後に受け取る年金について、「どれくらいもらえるのか」「本当に生活できる水準なのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
年金額は単純に年収だけで決まるものではなく、加入している制度や働き方によって大きく変わります。とくに、国民年金のみか、厚生年金にも加入しているかによって、受給額には大きな差が生じます。
本記事では、日本の公的年金制度の基本を整理したうえで、「平均年収400万円・38年間勤務」という条件をもとに、将来の年金額目安を試算していきます。
1. この記事の3つのポイント
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公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建てで、働き方により受給額が大きく変わる -
平均年収400万円・38年勤務の場合、月額約13万6000円の年金を受け取れる目安となる -
額面から税金や社会保険料が天引きされるため、実際の手取りは10〜15%程度少なくなる
2. 将来受け取るのは「国民年金」と「厚生年金」のどちら?
生涯の平均年収が400万円であっても、38年間の就業中に厚生年金へ加入していたかどうかで、将来受け取る年金額には違いが生じます。
そこで、まずは公的年金制度の基本的な仕組みを確認しておきましょう。
日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」を土台とし、その上に「厚生年金」が上乗せされる2階建ての構造となっています。
- 第1号被保険者:自営業、学生、無職など
- 第2号被保険者:会社員、公務員
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度で、保険料は一律のため、受給額には大きな差が生じにくい仕組みとなっています。
一方、厚生年金は会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入する制度です。
保険料は給与や賞与に応じて決まるため、受給額も現役時代の収入や加入期間によって異なります。
次章では、厚生年金と国民年金の両方を受給することを前提に、「平均年収400万円・勤続38年」のケースで受け取れる年金額を試算します。
3. 平均年収400万円・38年間勤務した場合の年金額を試算
ここでは、生涯平均年収400万円で民間企業に38年間勤務したケースを想定し、老後に受け取れる年金額の目安を計算します。
試算条件は次のとおりです。
- 2003年4月以降、厚生年金に38年間加入している
- 国民年金は20歳から60歳までの40年間のうち、学生期間の2年間は学生納付特例(追納なし)とし、実質納付期間は38年とする
- 配偶者および扶養家族はいない
3.1 「厚生年金」の受給額を試算
厚生年金は、次の計算式で算出されます。
年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
経過的加算は制度改正による差額を調整するための仕組みであり、加給年金額は一定条件を満たす配偶者や子どもがいる場合に支給されます。
今回は、受給額の中心となる報酬比例部分のみを対象として試算し、経過的加算と加給年金額は含めません。
報酬比例部分は、次の計算式で求められます。
報酬比例部分=A+B
- A(2003年3月までの加入期間):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
- B(2003年4月以降の加入期間):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
平均標準報酬月額は2003年3月以前の標準報酬月額を基に算出され、平均標準報酬額は2003年4月以降の標準報酬月額と標準賞与額を合計して求められます。
今回は2003年4月以降に38年間加入したケースを想定します。
生涯平均年収400万円の場合、平均標準報酬額は年間400万円を12で割った約33万3000円と仮定できます。
この条件で試算すると、厚生年金の受給額は年額約83万円となります。
3.2 「国民年金」の受給額を試算
厚生年金加入者は第2号被保険者に該当するため、老後には厚生年金に加えて国民年金も受給します。
国民年金は、次の計算式で求められます。
84万7300円 ×(保険料納付済み月数 ÷ 加入可能年数〈12カ月換算〉)※昭和31年4月2日以後生まれの人が対象
22歳から60歳までの38年間(456カ月)保険料を納付した場合、国民年金の受給額は年額約80万円となります。
厚生年金約83万円と国民年金約80万円を合計すると、年間の受給額は約163万円です。
月額に換算すると、およそ13万6000円となります。
4. 現在のシニアは「厚生年金+国民年金」をどのくらい受給している?
ここまで、「平均年収400万円・38年間勤務」という条件で受給額を試算しました。
では、実際に年金を受給しているシニア世代は、どの程度の金額を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金を含む厚生年金受給者の分布は次のようになっています。
- 10万円未満の割合:19.0%
- 10万円以上の割合:81.0%
- 15万円以上の割合:49.8%
- 20万円以上の割合:18.8%
- 20万円未満の割合:81.2%
- 30万円以上の割合:0.12%
国民年金と厚生年金を合わせた受給額が月15万円以上となっている人は49.8%で、全体の約半数です。
一方、今回試算した「月額約13万6000円」を下回る受給者も、分布からみると全体の約38.7%を占めています。
なお、これらはいずれも支給額ベースの金額であり、実際に受け取る手取り額は、税金や社会保険料などが差し引かれる点に留意しておく必要があります。
5. 年金からも「税金・社会保険料」が天引きされているので注意
試算した受給額はあくまで「額面」です。年金も現役時代の給与と同様に、所得税や住民税、健康保険料、介護保険料などが天引きされます。
総務省の家計調査(2025年)によると、65歳以上の単身無職世帯では、年金などの実収入に対しておよそ10%の非消費支出(税金・社会保険料)が差し引かれています。
居住地や収入水準によって異なりますが、目安として額面から10%〜15%程度が引かれた金額が実際の手取りになると考えておきましょう。
6. 監修者のコメント
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」。実は50歳を境に記載されている見込額の前提条件が変わるのをご存じでしょうか。
50歳未満の方には「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されますが、50歳以上になると「現在の働き方(収入水準)が60歳まで続くと仮定した、より現実的な見込額」が表示されます。
年齢によって見方が変わるポイントを押さえて、より精度の高い老後の資金計画を立てるきっかけにしてみてください。




