7. 【届け出ないともらえない】ねんきん定期便には載っていない「加給年金」の仕組みとは?

モデルケースでは「配偶者や扶養家族がいない」前提で試算しましたが、要件を満たせば老後の年金が大きく増える制度が存在します。

それが、年金の家族手当とも呼ばれる「加給年金」です。

加給年金額と配偶者加給年金額の特別加算額(令和8年4月から)5/6

 加給年金額と配偶者加給年金額の特別加算額(令和8年4月から)

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

厚生年金に20年以上加入している人が65歳に到達した際、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者や、一定年齢以下の子どもがいる場合に、ご自身の老齢厚生年金に一定額が上乗せして支給されます。

とくに配偶者の加給年金額は、特別加算を含めると年間で約40万円にもなる非常に手厚い制度です(配偶者が65歳になるまで支給)。

しかし、この加給年金は自動的に振り込まれるわけではなく、ご自身で年金事務所等への届出を行う必要があります。

また、配偶者自身が厚生年金に20年以上加入している場合などは支給停止となるケースもあるため、年の差夫婦などはとくに受給要件をしっかり確認しておくことが大切です。

8. データで見るリアルな老後。夫婦世帯は「毎月約4.2万円」の不足に?

では年金生活に入った際、実際に生活費はどのくらいかかるのでしょうか。総務省の「家計調査報告(2025年)」のデータから、リアルな家計収支を見てみましょう。

65歳以上の「夫婦のみの無職世帯」の場合、年金を中心とした実収入から税金などを引いた手取り収入(可処分所得)は平均で月額約22.1万円です。

それに対し、食費や住居費、光熱費などの消費支出は平均で月額約26.4万円かかっています。つまり、年金などの収入だけでは生活費をまかなえず、毎月約4.2万円の不足(赤字)が生じている計算になります。

この毎月の不足分は、現役時代に蓄えた貯蓄などの金融資産を取り崩して補うことになります。

生活費はライフスタイルによって大きく変わりますが、「自分の年金見込額」と「理想とする老後の生活費」のギャップを早くから把握し、計画的に資産形成を進めることが重要です。

9. まとめにかえて

本記事では、日本の公的年金制度の基本を整理したうえで、「平均年収400万円・38年間勤務」という条件をもとに、将来の年金額目安を確認しました。

今回の試算では、国民年金と厚生年金を合わせた年金月額は約13万6000円となりました。

一方で、実際の受給状況を見ると個人差が大きく、15万円以上受け取っている人が約半数いる一方で、それ以下の人も一定数存在しています。

さらに、年金は額面どおりに受け取れるわけではなく、税金や社会保険料が差し引かれるため、手取りは10%〜15%程度少なくなる点にも注意が必要です。

こうした点を踏まえると、年金額は単なる額面金額だけでなく、制度の仕組みやご自身の働き方、実際の手取り額まで含めて総合的に把握することが重要でしょう。

10. 監修者コメント

 

熊谷 良子

8月のお盆休みは、まとまった時間が取りやすい時期です。

この機会にご家族と「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の年金見込額を確認したり、今後の働き方や老後の生活について話し合ったりしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

池上 翠