1. 年収アップ転職は本当に可能なのか?最新データに見る現実

年内に転職を果たし、新しい環境でリスタートを切りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。転職を検討する際、多くの方が気になるのが「年収が上がるかどうか」という点です。

パーソルキャリア株式会社が発表した「転職サービス『doda』、転職前後の年収変動レポート(2026年度第1四半期版)」によると、転職後に年収が増加した個人の割合は59.2%となり、約6割の転職者が年収アップを実現していることが分かります。また、年収が増加した人に限ると、平均増加額は72.8万円に達しています。

このようにデータ上では「転職=年収増加」のチャンスが広がっているように見えます。しかし、長年正社員やパートの採用を担当してきた筆者の視点から見ると、求職者が抱く「これくらい年収が上がるだろう」という期待と、採用企業側の「なぜその年収を提示するのか」という評価基準の間には、決して小さくない視点のギャップが存在します。

年内の転職成功に向けて動き出す今だからこそ知っておきたい、採用現場のリアルと年収交渉のポイントをお伝えします。

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出典:転職前後の年収変動レポート(2026年度第1四半期版)/転職サービスdoda

出典:転職前後の年収変動レポート(2026年度第1四半期版)/転職サービスdoda

2. 採用担当が見ている「提示年収」の裏側と視点のギャップ

求職者の方からよくいただく希望の中に、「前職の年収が〇〇万円だったので、それ以上を希望します」「自分のスキルなら+100万円はもらえるはず」といった声があります。もちろん、自身の市場価値を高く評価することは大切です。

しかし、企業側の採用担当者が年収(決定年収)を決める際に見ているのは、「前職の年収」そのものではなく、「自社に入社した後にどれだけの再現性をもって貢献してくれるか」です。

ここに大きな視点のギャップが生じます。

求職者側は「これまでの実績と評価」を基準に希望年収を算出するのに対し、企業側は「自社の給与体系・既存社員とのバランス」および「入社後の想定成果」を基準に提示額を決定します。

実際、面接の場で「とにかく年収を上げたい」という思いが前面に出すぎてしまい、自社で発揮できる具体的な価値や根拠の提示が不足している場合、採用側としては「権利ばかりを主張する人物なのではないか」と警戒感を抱いてしまうことがあります。

柳 奈央子
正社員採用のみならずパート採用の現場でも同様ですが、「希望条件(給料や勤務時間)」の提示だけで終わる応募者よりも、「自分は何を提供できるか」を明確に語れる応募者の方が、結果として希望に近い条件を引き出しているのが現実です。