75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」には、2年ごとの保険料改定や所得に応じた負担割合など、生活に直結する重要なルールがあります。
2025年12月12日に開催された社会保障審議会(医療保険部会)では、2026年度および2027年度の保険料賦課限度額(年間上限)を、現在の80万円から85万円へ引き上げる方針が了承されました。
このような制度変更の背景には、膨らみ続ける医療費を現役世代だけでなく、所得のある高齢層にも相応に負担してもらうという狙いがあります。将来のマネープランを立てるうえで、こうした負担増の動向を把握しておくことは非常に重要です。
この記事では、現在の保険料がどのくらいなのかを、都道府県ごとに詳しく見ていきます。
1. 75歳から加入する「後期高齢者医療制度」の基本的な仕組み
日本では、すべての人がいずれかの公的医療保険に加入し、安心して医療を受けられる「国民皆保険制度」が導入されています。
加入する公的医療保険の種類は、主に個人の働き方によって次のように分かれています。
- 会社員:全国健康保険協会(協会けんぽ)や各企業の健康保険組合
- 公務員や教職員:共済組合
- 自営業者や無職の方:国民健康保険
そして、75歳になると、それまで加入していた保険の種類にかかわらず、自動的に「後期高齢者医療制度」へ移行することになります。
また、65歳以上の方で一定の障害があると認定された場合は、本人の希望によりこの制度に加入することも可能です。
障害認定の具体的な要件は以下の通りです。
【障害認定の主な要件】
- 障害年金:1級または2級
- 身体障害者手帳:1級、2級、3級、または「4級の一部」
- 精神障害者保健福祉手帳:1級または2級
- 療育手帳(東京都では愛の手帳):重度(1度または2度)
※身体障害者手帳の「4級の一部」には、「下肢障害4級1号(両下肢のすべての指を欠くもの)」「下肢障害4級3号(一下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの)」「下肢障害4級4号(一下肢の機能に著しい障害があるもの)」「音声・言語機能障害」が含まれます。
後期高齢者医療制度は、各都道府県に設置された「後期高齢者医療広域連合」が運営主体となり、その地域のすべての市町村が加入しています。
医療費の自己負担割合は原則として1割ですが、所得に応じて2割や3割になる場合があるため、ご自身の負担率を確認しておくことが大切です。
- 一般所得者等:1割負担
- 一定以上所得者:2割負担
- 現役並み所得者:3割負担
それぞれの所得要件は、課税所得を基準に以下のように定められています。
- 一般所得者:課税所得28万円未満
- 一定以上所得者:課税所得28万円以上145万円未満
- 現役並み所得者:課税所得145万円以上
では、実際に支払う後期高齢者医療保険料は、どのくらいの金額になるのでしょうか。
2. 後期高齢者医療制度の保険料、月額の全国平均は?
後期高齢者医療保険料は、原則として2年ごとに見直され、直近では2024年度に改定されました。
2026年度・2027年度の新しい保険料については、これまで通りであれば7月中旬ごろに「後期高齢者医療保険料額決定通知書」として各被保険者に郵送される予定です。
この制度の財源は、高齢者自身が納める保険料と、現役世代が負担する「後期高齢者支援金」で構成されています。しかし、少子高齢化の影響で、制度が始まった当初と比較して現役世代の負担は約1.7倍に増加しました。
この状況に対応するため、2024年度からは「高齢者の保険料の伸び」と「現役世代が負担する支援金の伸び」が均衡するよう制度が変更されています。
厚生労働省の資料「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」によると、全国平均の被保険者一人あたりの年間保険料は以下の通りです。
- 被保険者均等割額(年額):5万389円
- 被保険者均等割額(月額):4199円
- 所得割率:10.21%
- 平均保険料額(年額):8万6306円
- 平均保険料額(月額):7192円
2022年度から2023年度の平均保険料(月額)は6575円だったため、7.7%の上昇となります。
ただし、これらはあくまで全国平均の数値です。
実際の保険料は、次の2つの要素を組み合わせて計算されます。
- 均等割額:被保険者全員が等しく負担する部分
- 所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する部分
具体的な金額を見ることで、より保険料のイメージがしやすくなるでしょう。
次章からは、厚生労働省の資料を基に、年金収入が195万円の場合を例として、都道府県ごとに保険料がどのくらい異なるのかを解説します。
3. 【年金収入195万円の場合】後期高齢者医療保険料が高い都道府県ランキング
都道府県による保険料の違いを理解するため、年金収入が195万円のモデルケースで月額保険料を見てみましょう。
2025年度における都道府県別の保険料は、以下の通りです。
- 全国:5673円
- 北海道:6325円
- 青森県:5415円
- 岩手県:4808円
- 宮城県:5216円
- 秋田県:5042円
- 山形県:5283円
- 福島県:5056円
- 茨城県:5358円
- 栃木県:4991円
- 群馬県:5567円
- 埼玉県:5067円
- 千葉県:5008円
- 東京都:5355円
- 神奈川県:5440円
- 新潟県:4850円
- 富山県:5033円
- 石川県:5573円
- 福井県:5458円
- 山梨県:6003円
- 長野県:5156円
- 岐阜県:5400円
- 静岡県:5275円
- 愛知県:6117円
- 三重県:5475円
- 滋賀県:5371円
- 京都府:6180円
- 大阪府:6495円
- 兵庫県:6134円
- 奈良県:5833円
- 和歌山県:6125円
- 鳥取県:5892円
- 島根県:5618円
- 岡山県:5758円
- 広島県:5438円
- 山口県:6408円
- 徳島県:6033円
- 香川県:5892円
- 愛媛県:5719円
- 高知県:6100円
- 福岡県:6641円
- 佐賀県:6250円
- 長崎県:5792円
- 熊本県:6259円
- 大分県:6509円
- 宮崎県:5675円
- 鹿児島県:6592円
- 沖縄県:6410円
このケースでは、最も保険料が高いのは福岡県の6641円、最も低いのは岩手県の4808円で、両者の間には1833円の差があることがわかります。
4. 【年金収入82万円の場合】後期高齢者医療保険料が高い都道府県を比較
続いて、国民年金のみを受給しているようなケースを想定し、年金収入が82万円の場合の月額保険料を都道府県別に見ていきましょう。
2025年度の各都道府県における保険料は、以下の通りです。
- 全国:1260円
- 北海道:1316円
- 青森県:1170円
- 岩手県:1092円
- 宮城県:1183円
- 秋田県:1125円
- 山形県:1190円
- 福島県:1148円
- 茨城県:1183円
- 栃木県:1133円
- 群馬県:1225円
- 埼玉県:1142円
- 千葉県:1092円
- 東京都:1183円
- 神奈川県:1148円
- 新潟県:1100円
- 富山県:1167円
- 石川県:1269円
- 福井県:1242円
- 山梨県:1269円
- 長野県:1109円
- 岐阜県:1233円
- 静岡県:1175円
- 愛知県:1333円
- 三重県:1223円
- 滋賀県:1215円
- 京都府:1409円
- 大阪府:1429円
- 兵庫県:1320円
- 奈良県:1283円
- 和歌山県:1358円
- 鳥取県:1300円
- 島根県:1254円
- 岡山県:1250円
- 広島県:1241円
- 山口県:1425円
- 徳島県:1400円
- 香川県:1350円
- 愛媛県:1298円
- 高知県:1400円
- 福岡県:1500円
- 佐賀県:1425円
- 長崎県:1308円
- 熊本県:1450円
- 大分県:1480円
- 宮崎県:1292円
- 鹿児島県:1492円
- 沖縄県:1410円
この場合、最も高額なのは福岡県の1500円、最も低額なのは岩手県と千葉県の1092円となり、その差は408円です。
5. まとめ
後期高齢者医療制度の保険料は、今後も少子高齢化の影響で段階的に引き上げられる可能性があります。
お住まいの地域によって負担額に差があることを踏まえ、ご自身の居住地域の保険料率を確認し、より具体的な老後資金のシミュレーションを行っておくことが大切です。
※当記事は再編集記事です。

