4. 持ち家なら安心?シニアが抱える「住まいへの不満・不安」のトップとは?
前述した総務省の家計調査を見ると、65歳以上の単身無職世帯のひと月の「住居費」は平均で約1万1400円と低く抑えられています。
これはシニア世帯の多くが持ち家であるためです。
「老後は家賃がかからないから、持ち家があれば安心」と考える方は多いかもしれませんが、実際はどうでしょう。
4.1 シニアが抱える「住まいへの不満・不安」
内閣府の「第10回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、日本の高齢者は欧米諸国と比べて、現在の住宅に対して不満や不安を抱えている割合が高いことが浮き彫りになっています。
現在の住宅に「何も問題点を感じていない」と答えた日本の高齢者は32.1%にとどまり、アメリカ(60.1%)、ドイツ(65.1%)、スウェーデン(77.8%)を大きく下回る結果となりました。
具体的に抱えている「住宅の問題点」の上位は以下の通りです。
- 住まいが古くなり、いたんでいる:30.1%
- 断熱性や省エネ性能が不十分である:16.9%
- 地震、火事などに対する防災設備が不十分:16.8%
- 家賃、税金、維持費など経済的負担が重い:13.9%
最も多かったのは「住まいの老朽化」に関する悩みでした。
さらに、「もし心身の機能が低下して、車いすや介助者が必要になった場合、現在の住宅は住みやすいか」という問いに対しては、日本の高齢者の7割以上(「多少問題がある」45.4%、「非常に問題がある」28.1%)が問題を感じていると回答しました。
4.2 持ち家世帯にかかる「維持費」とは
毎月の家計データ(消費支出の住居費)には表れにくいですが、持ち家特有の以下のような維持費が確実に発生します。
- 固定資産税(家計調査では非消費支出の「直接税」に含まれます)
- 火災保険・地震保険料
- 経年劣化に伴うリフォーム・修繕費用(外壁塗装、屋根の修繕、水回りの交換など)
「毎月の家賃がない」というメリットは大きいものの、築年数が経過した持ち家では、突発的な修繕や身体の変化に合わせたバリアフリー改修などで、数十万〜数百万円単位のまとまった資金が必要になるケースも珍しくありません。
日本の持ち家シニアは、見えにくい「住宅の維持・修繕リスク」とも隣り合わせの状況にあると言えます。
5. まとめにかえて
新しい金額が反映された年金が振り込まれる本日。ご自身の口座を確認し、これからのやりくりに思いを巡らせている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
データが示す通り、65歳以上の老齢年金シニア世代のうち、標準的な単身世帯の場合「ひと月約3万円」の不足を貯蓄で補うのが現状です。
働き盛り時代に取得したマイホーム、とりわけ戸建てであれば、30年後にバリアフリー改修や水回りの大規模な修繕が必要になるとは、購入当時にはなかなか考えが及ばないのも致し方ありません。
おひとりさまの持ち家世帯は、日々の生活費の不足分をカバーするだけでなく、こうした「住宅の修繕積立金」や「将来の介護費用」としてまとまった貯蓄を別途準備しておくことが不可欠です。
まずは今回振り込まれた年金額や「ねんきん定期便」「ねんきんネット」などでご自身の収入を正確に把握し、そこから算出される「年金だけでカバーしきれない見えない老後費用」に備えて、早めの生活設計を立てていきましょう。
