2026年8月1日、高額療養費制度の自己負担限度額の見直しが実施されました。厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会が令和7年12月25日に決定した方針に基づくもので、医療費が高額になった際の自己負担の上限額が、所得区分に応じて段階的に引き上げられています。

75歳以上になると、原則として後期高齢者医療制度に加入し、医療費の窓口負担割合は所得に応じて変わります。

特に、単身世帯では収入金額が一定の水準を超えると3割負担となる可能性があるため、年金収入だけで該当する人がどのくらいいるのか気になるところです。

加藤 聖人
「現役並み所得」と聞くと自分には関係ないと感じる方が多いのですが、年金収入だけでも基準を超えるケースはあります。今回は判定基準を整理したうえで、実際にどれくらいの人が該当するのかをデータで確認していきましょう。

本記事では、後期高齢者医療制度の基本と「3割負担」の判定基準を確認し、厚生年金の受給額分布から該当者の割合を見ていきます。

なお、後期高齢者医療制度の窓口負担割合の判定基準に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説 要注意!医療費は「夫婦で半分ずつ」にはならない──窓口負担《1・2・3割》の早見表&資金計画のヒント
【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説 要注意!医療費は「夫婦で半分ずつ」にはならない──窓口負担《1・2・3割》の早見表&資金計画のヒント

1. この記事の3つのポイント

  •  後期高齢者医療制度の窓口負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割の3区分
  •  単身世帯で3割負担になる目安は、年金収入等が383万円以上
  •  厚生年金受給者のうち月30万円以上を受け取る人は約1万9000人。全体のごく一部にとどまる

2. 「後期高齢者医療制度」とは?

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人などを対象にした公的医療保険制度です。対象になると、それまで入っていた国民健康保険や会社の健康保険ではなく、この制度の被保険者として医療を受けます。

なお、65歳以上75歳未満でも、一定の障害があると認定を受けた人は後期高齢者医療制度の対象になります。

基本的に自分で加入申請をするものではなく、75歳になると自動的に切り替わります。

医療機関の窓口で支払う自己負担割合は、1割・2割・3割のいずれかです。現在は、一般的な所得の人は1割、一定以上の所得がある人は2割、現役並み所得者は3割とされています。

詳しい判定の流れは「3割負担」になる年収の判定基準を解説した記事でも確認できます。

また、保険証の扱いでは、後期高齢者医療制度の被保険者について、令和8年7月末までの暫定運用として、資格確認書が申請なしで交付されます。

つまり、マイナ保険証の有無にかかわらず、当面は受診方法が分かりやすいよう配慮されています。

加藤 聖人
75歳になった時点で自動的に切り替わる制度である分、切り替わったこと自体に気づきにくいという声も聞きます。資格確認書が届いたら、記載されている負担割合を一度確認しておくとよいでしょう。

3. 【後期高齢者医療制度】窓口負担割合が「3割」になる「年収383万円の壁」とは?

医療費の自己負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかが適用されます。それぞれの判定基準を見てみましょう。

後期高齢者医療制度について2/3

後期高齢者医療制度について

出所:厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」

3.1 現役並み所得者:3割

窓口負担割合が3割になるのは、同じ世帯の被保険者の中に課税所得が145万円以上の方がいる場合です。

上記に加えて、以下の収入等の要件を満たす人が対象となります。

  • 世帯内に被保険者が1人の場合:被保険者の収入金額の合計が383万円以上
  • 世帯内に被保険者が2人以上の場合:被保険者全員の収入金額の合計が520万円以上

3.2 一定以上所得のある人:2割

続いて、2割負担となるのは次の①と②の両方に該当する場合です。

①同じ世帯の被保険者の中に課税所得が28万円以上の方がいる。

②同じ世帯の被保険者の「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が以下に該当する。

  • 1人の場合は200万円以上
  • 2人以上の場合は合計320万円以上

3.3 一般所得者等:1割

上記の3割・2割に該当しない、以下のような世帯は1割負担となります。

  • 課税所得28万円未満
  • 世帯全員が住民税非課税
  • 課税所得が28万円以上あっても、収入基準を満たさず2割負担とならない方
加藤 聖人
退職金の受け取り方によって翌年度の所得区分が変わり、思わぬ負担増につながったというケースもあります。まとまった収入がある年は、翌年度の負担割合への影響もあわせて意識しておくとよいでしょう。