就職氷河期世代と呼ばれる人々も40代半ば〜50代半ばを迎え、キャリアの中盤・終盤に差し掛かっています。キャリアアップの選択肢として、国家公務員への転職を考える人もいるでしょう。

2026年度からは、就職氷河期世代支援プログラムの一環として、氷河期世代限定の国家公務員の採用試験が再開されます。

とはいえ、倍率は高く、決して簡単に転職できるわけではありません。また、転職後の給与も気になるところです。

この記事では、就職氷河期世代の国家公務員の採用試験について解説します。

1. 氷河期世代の採用は2026年度から再開

氷河期世代の国家公務員の採用試験は、2026年度から再開されます。この試験は2024年度まで実施されていましたが、今年度は実施されていませんでした。

しかし、2025年6月に公表された「新たな就職氷河期世代等支援プログラム」では、2025年度は実施されなかった公務員採用の再開が決定したのです。

これにより氷河期世代のキャリアアップ・キャリアチェンジの選択肢が広がり、現在の仕事やキャリアに悩みや不満を抱えている人が挑戦しやすい状況になりました。

人事院では、すでに採用試験の概要が公表されています。

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就職氷河期世代の中途採用試験の概要

出所:人事院「2026年度 国家公務員 中途採用者選考試験(就職氷河期世代)」をもとに筆者作成

  • 受験資格:1966年4月2日~1986年4月1日に生まれた人(※)
  • 試験区分:事務、技術、刑務官
  • 採用予定数:約150名
  • 試験地:札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、高松市、福岡市、那覇市
  • 試験種目
    ・第1次選考【全区分共通】
     (1)基礎能力試験(多肢選択式)
     (2)作文試験
    ・第2次選考
     ①事務区分及び技術区分:採用面接等
     ②刑務官区分:身体検査、身体測定、体力検査、採用面接等
    ※日本の国籍を有しない人や改正前の民法の規定による準禁治産の宣告を受けている人などは受験不可

事務に加え、技術職なども募集する予定です。また、第1次選考の試験問題は、高等学校卒業程度の問題が出題されます。

試験のスケジュールは、以下のとおりです。

  • 受験申込受付期間:2026年5月下旬(インターネット申込)
  • 第1次選考日:2026年9月6日(日)
  • 第1次選考通過者発表日:2026年10月中旬
  • 第2次選考期間:2026年10月下旬~11月上旬
  • 合格者発表日:2026年11月中旬

初夏から秋にかけて実施される予定です。

次章では、採用試験の倍率を確かめてみましょう。

2. 国家公務員試験の倍率は?

国家公務員は安定したイメージや充実した福利厚生などから、どの世代でも人気のある職業です。国家公務員の「一般職試験(大卒程度試験)」を例に、合格者数や倍率を見てみましょう。

行政

  • 申込者数:1万7558人
  • 受験者数:1万2916人
  • 合格者数:5846人
  • 倍率:2.2倍

技術系

  • 申込者数:2896人
  • 受験者数:1919人
  • 合格者数:1206人
  • 倍率:1.6倍

教養

  • 申込者数:4983人
  • 受験者数:3571人
  • 合格者数:1763人
  • 倍率:2.0倍

合計

  • 申込者数:2万5437人
  • 受験者数:1万8406人
  • 合格者数:8815人
  • 倍率:2.1倍

本府省や国の機関で働く一般職の倍率は1.6〜2.2倍と、やや高めです。

次は、2024年度に実施された氷河期世代の採用試験の合格者数や倍率を見てみましょう。

2024年度採用試験の合格者数・倍率4/6

2024年度採用試験の合格者数・倍率

出所:人事院「2024年度 国家公務員 中途採用者選考試験(就職氷河期世代) 実施結果」をもとに筆者作成

  • 申込者:3909人
  • 受験者数:2370人
  • 合格者:151人
  • 倍率:15.7倍

氷河期世代の採用試験の倍率は15.7倍と、一般職の倍率を大きく上回る数字となっています。人気の高い職業である分、国家公務員に転職するのは決して簡単ではないことがわかります。

次章では、国家公務員の収入を確かめてみましょう。

3. 国家公務員の収入はいくら?

国家公務員は、どれくらいの収入を得ているのでしょうか。まずは、国家公務員の平均給与月額を見てみましょう。

国家公務員の収入5/6

国家公務員の収入

出所:人事院「令和7年 国家公務員給与等実態調査」をもとに筆者作成

  • 平均給与月額:42万4979円
  • 俸給:34万5458円
  • 地域手当等:4万4336円
  • 俸給の特別調整額:1万1810円
  • 扶養手当:8573円
  • 住居手当:7227円
  • その他:7575円

全体平均は、42万円台です。俸給は約35万円ですが、地域手当をはじめとした各種手当が手厚く、給与を底上げしています。

では、氷河期世代といわれる年齢の職員の平均給与月額を見てみましょう。

氷河期世代の平均給与月額6/6

氷河期世代の平均給与月額

出所:人事院「令和7年 国家公務員給与等実態調査」をもとに筆者作成

  • 44〜48歳未満:46万7753円
  • 48〜52歳未満:48万7877円
  • 52歳〜56歳未満:50万3995円

上記の金額は平均であり、誰もがこの金額が受け取れるとは限りません。しかし、中途採用の国家公務員には、それまでの職歴などを加味して給与が決定する「職歴加算」の仕組みがあるため、新卒の初任給レベルまで給与が下がる可能性は低いでしょう。

次章では、氷河期世代が国家公務員になるメリットと注意点を解説します。

4. 氷河期世代が公務員になるメリット・注意点

氷河期世代が国家公務員に転職した際のメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

  • 雇用が安定する
  • 手厚い福利厚生を受けられる
  • 退職金が受け取れる

国家公務員になれば、倒産やリストラの心配がなく、60歳以降も再雇用される可能性があります。在職中は、休暇制度や健康診断などの手厚い福利厚生を受けられるのも利点です。また、退職時には退職金が受け取れるため、老後生活の貴重な資産として活用できるでしょう。

一方、氷河期世代が国家公務員に転職する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 人間関係を再構築する必要がある
  • 組織文化に慣れる必要がある
  • 転勤の可能性がある

配属先では、上司や同僚の多くが年下になる可能性があり、うまくコミュニケーションを取れない可能性があります。転職直後は、年齢は上でも公務員歴は浅いですから、謙虚に学ぶ姿勢が求められます。

また、前例踏襲や文書主義のような公務員特有の文化にもいち早く馴染まなければなりません。採用される職種によっては転勤の可能性もあるため、持ち家や家族の介護といった特殊な事情を抱える際は、勤務地をよく確かめておく必要があります。

5. まとめ

氷河期世代の国家公務員の採用試験は、2026年度から再開されます。直近の試験を見ても倍率が高いように、次年度の試験も合格は狭き門となるでしょう。

また、試験の再開が氷河期世代の支援としてどのような結果をもたらすかも、今後注目していく必要がありそうです。

参考資料