2026年を迎え、長寿化がさらに進む日本。令和6年簡易生命表によれば、65歳時点の平均余命は男性19.47年、女性24.38年となっています。65歳からの平均余命を考えると、食事や睡眠を除いたセカンドライフの自由時間は「約11万時間」にも達すると言われています。

セカンドライフは長い1/6

セカンドライフは長い

出所:厚生労働省「令和6年 簡易生命表」等を参考にLIMO編集部作成

これは現役時代の労働時間を大きく上回るほどの膨大な時間です。この長いセカンドライフを安心して楽しむためには、健康だけでなく「判断能力の低下」への備えが欠かせません。今回はFPの視点から、老後の安心を支える「成年後見制度」の現状と活用ポイントを解説します。

1. 成年後見制度、利用者25万人以上!申立件数は年間で4万件以上「何が心配で利用する?」

成年後見制度とは、認知症や障害などにより、一人での判断が難しくなった際に、本人の権利や財産を守り、自分らしい暮らしを継続できるよう支援するしくみです。

成年後見制度の利用例2/6

成年後見制度の利用例

出所:厚生労働省「成年後見はやわかり」

利用前は、たとえば高額な買い物をしてしまう、キャッシュカードの暗証番号を忘れて手続きができなくなる、といった問題が起こることもあります。成年後見制度を利用すると、成年後見人などが本人に代わって銀行手続きや契約を行ってくれるなど、法律行為や財産管理をサポートし、経済的な安心を支えます

1.1 制度の利用状況と目的

最高裁判所の統計(令和6年)によると、制度の利用を申し立てる件数は年間4万1841件に達し、前年比で約2.2%増加しました。利用者は全国で25万人を超え、今や老後の備えとして一般的な選択肢になりつつあります。

※申立件数とは、「成年後見制度を利用したい」と家庭裁判所に申し込んだ手続きの数を指します。

内訳は以下の通りです。

  • 後見開始:2万8785件(最も多い)
  • 保佐開始:9156件
  • 補助開始:3026件

また、令和6年12月末時点での制度利用者数(成年後見・保佐・補助・任意後見の合計)は25万3941人に上ります。

1.2 制度利用の目的「どんなことが心配?」

なぜ、これほど多くの人が制度を利用するのでしょうか。その動機の第1位は「預貯金の管理や解約」で、全体の約92.7%を占めています。判断能力が衰えると、たとえ本人の生活費であっても銀行口座が凍結され、引き出せなくなるリスクがあるからです。

2. 法定後見制度、3つの法定後見「補助」「補佐」「後見」とは?

すでに判断能力が不十分な場合、家庭裁判所が支援者を選ぶ「法定後見制度」を利用します。本人の状況に応じて、以下の3つの区分が用意されています。

補助

重要な手続き・契約の中で、ひとりで決めることに心配がある方が対象です。一部の限定された手続きなどについて、一緒に決めてもらったり、代わってしてもらったりします。

保佐

重要な手続き・契約などを、ひとりで決めることに心配がある方が対象です。財産にかかわる手続きなどについて、一緒に決めてもらったり、代わってしてもらったりします。

後見

多くの手続き・契約などを、ひとりで決めることがむずかしい方が対象です。判断が非常に難しい場合に、ご本人の不利益にならないよう広範囲のサポートを行います。

家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(補助人・保佐人・成年後見人)は、本人の利益を考え、本人を代理して法律行為をしたり、同意を与えたり、不利益な行為を取り消したりすることで保護・支援します。

3. 成年後見制度、後見人の8割以上が「プロ」に。大半を占める3つの専門職とは?

成年後見人等(成年後見人、保佐人及び補助人)の担い手は、親族よりも親族以外、つまり専門職が多数を占めています 。

現在、親族が後見人に選ばれる割合は約17.1%にとどまり、残りの約82.9%は専門職が選任されています。具体的な内訳は司法書士(34.7%)が最も多く、弁護士、社会福祉士と続きます。

このように、より複雑化する財産管理を正確に行うため、法律や福祉の専門家に委ねる「社会的なサポート」が主流となっているのが現状です。

4. まとめにかえて

今回は、最高裁のデータをもとに、長寿時代のセカンドライフを守る成年後見制度の現状をわかりやすく解説しました。膨大な時間があるセカンドライフを豊かに過ごすためには、経済的なリスク管理が欠かせません。

法定後見制度には、ご本人の状況に合わせた「補助・保佐・後見」という3つのサポート体制があることを知っておくだけでも、将来の安心感は変わります。もし「自分一人の判断に自信がなくなったら」と不安を感じたら、まずは地域包括支援センターや市町村の相談窓口などへ、相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美