1月も終わりが見えてきました。今年1年の家計予算は立てましたか。

今年は4月分から「子ども・子育て支援金」の徴収が始まります。金額は数百円程度ですが、決して負担は小さくありません。

しかし、政府はこの支援金徴収については「実質負担なし」と説明しています。なぜ、実質的な負担はないといい切れるのでしょうか。この記事では、子ども・子育て支援金の徴収額や、負担なしの理由について解説します。

1. 子ども・子育て支援金、どこから引かれる?

子ども・子育て支援金は、新たに税金として設けられるわけではありません。私たちが毎月支払っている公的医療保険料に上乗せする形で徴収されます。

会社員であれば健康保険料、個人事業主や年金受給者などは国民健康保険料、75歳以上の人は後期高齢者医療保険料に、支援金が上乗せされます。つまり「子育て世帯かどうか」「結婚しているかどうか」といったことは関係なく、全世代が等しく負担することになるのです。

4月以降は給与明細の社会保険料欄や国保・後期高齢者医療保険料の通知書を確かめ、金額がどれくらい増えているかチェックしてみましょう。

次章では、実際に徴収される金額を確かめていきます。

2. 【年収別】引かれる金額はいくら?

実際に徴収される子ども・子育て支援金の金額は、年収・所得に応じて変わります。また、2026年度は金額が比較的抑えられており、2028年度には標準の金額にまで引き上げられる予定です。

まずは、支援金の平均負担額を見てみましょう。

加入者1人当たりの金額
平均額

  • 2026年:250円
  • 2027年:350円
  • 2028年:450円

協会けんぽ

  • 2026年:250円
  • 2027年:300円
  • 2028年:450円

健保組合

  • 2026年:300円
  • 2027年:400円
  • 2028年:500円

共済組合

  • 2026年:350円
  • 2027年:450円
  • 2028年:600円

国民健康保険

  • 2026年:250円
  • 2027年:300円
  • 2028年:400円

後期高齢者医療保険

  • 2026年:200円
  • 2027年:250円
  • 2028年:350円

では、収入金額別に、想定される負担金額を見てみましょう。以下に紹介するのは2028年度以降の標準的な金額のため、2026年度の負担額はこの金額よりも多少低くなる可能性があります。

収入金額別・負担金額(想定)2/5

収入金額別・負担金額(想定)

出所:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度の概要について」をもとに筆者作成

被用者保険

  • 年収200万円:350円
  • 年収400万円:650円
  • 年収600万円:1000円
  • 年収800万円:1350円
  • 年収1000万円:1650円

国民健康保険

  • 年収80万円:50円
  • 年収160万円:200円
  • 年収200万円:250円
  • 年収300万円:400円
  • 年収400万円:550円
  • 年収600万円:800円
  • 年収800万円:1100円

後期高齢者医療保険

  • 年収80万円:50円
  • 年収160万円:100円
  • 年収180万円:200円
  • 年収200万円:350円
  • 年収250万円:550円
  • 年収300万円:750円

※いずれも2028年の想定負担額

100円以下の負担額で済むケースもあれば、1000円以上の負担となる場合もあるようです。たとえ毎月数百円〜1000円ほどの負担額であっても、年間では数千円〜1万円以上支出が増えます。支援金の徴収は、家計に多少なりとも影響を及ぼすと考えられます。

次章では「実質負担なし」のロジックについて解説します。

3. なぜ政府は「実質負担なし」といい切れるのか?

政府が「実質負担なし」と説明する理由は、社会保障全体の「負担率」を上げない仕組みにあります。

高齢化に伴い、医療・介護費は本来なら今後も増え続け、保険料も上昇の一途をたどるはずでした。しかし政府は、以下の2点を進めることで、追加負担を相殺するとしています。

  1. 歳出改革による抑制:医療の効率化などの改革によって「本来増えるはずだった保険料」を抑制。その浮いた枠(2026年度で約0.6兆円)の範囲内で支援金を徴収するため、全体の負担率は増えないという計算です。
  2. 賃上げによる相殺:賃上げによって所得が増えれば、手取り全体における支援金の割合は実質的にカバーされるという考え方です。

子ども・子育て支援金の負担について3/5

子ども・子育て支援金の負担について

出所:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度のQ&A」

ただし、これらはあくまで国全体の経済指標に基づく理屈です。

個人の給与明細上では、「支援金」という新たな控除項目が加わります(企業による)。直接的な手取り額にはマイナスの影響が出ます。政府の言う「実質」と、家計が感じる「実感」にはギャップがある点に注意が必要です。

次章では、社会保障改革と賃上げの現状について確かめます。

4. 社会保障改革と賃上げの現状

ここからは、社会保障改革と賃上げの現状を振り返っておきましょう。

社会保障改革について、政府はこれまで薬価の改定や薬価制度の見直しにより、負担軽減を続けてきました。直近では、薬価改定で減額した分を診療報酬や介護報酬の引き上げに回しており、業界の賃上げも進んでいる状況です。

社会保障改革と賃上げの現状4/5

社会保障改革と賃上げの現状

出所:こども家庭庁「「こども未来戦略」における社会保険負担の軽減に向けた取組」

そして、2026年度は以下のような取り組みを予定しています。

  • 薬価等改定
  • 高額療養費の見直し
  • 食品類似医薬品の薬剤給付適正化
  • 長期収載品の選定療養拡大

昨年見直しを凍結した高額療養費の見直しなども含め、複数の事柄を見直し、負担を軽減する予定です。

賃上げについては、現状なかなか実感を得られていない人が多いでしょう。2025年の春闘では、2024年に引き続き5%以上の賃上げを実現できたものの、物価高の影響から賃金が増えたことを感じにくくなっていました。

連合は、今年度の春闘において、物価の影響を考慮した賃金指数であり、現在もマイナスの数値を記録している「実質賃金」を1%上昇軌道に載せることを目標としています。賃金の伸びが物価上昇を上回る状況を実現できれば、日々の支出にも多少のゆとりができるでしょう。

5. まとめ

子ども・子育て支援金は、月数百円〜1000円程度が徴収される見込みです。

2026年度は、いよいよ高額療養費の見直しが正式に進む可能性があります。

今後の社会保障改革は私たちが納める社会保険料にも影響するため、動向をよく確かめる必要があるでしょう。

参考資料

石上 ユウキ