3. なぜ政府は「実質負担なし」といい切れるのか?
政府が「実質負担なし」と説明する理由は、社会保障全体の「負担率」を上げない仕組みにあります。
高齢化に伴い、医療・介護費は本来なら今後も増え続け、保険料も上昇の一途をたどるはずでした。しかし政府は、以下の2点を進めることで、追加負担を相殺するとしています。
- 歳出改革による抑制:医療の効率化などの改革によって「本来増えるはずだった保険料」を抑制。その浮いた枠(2026年度で約0.6兆円)の範囲内で支援金を徴収するため、全体の負担率は増えないという計算です。
- 賃上げによる相殺:賃上げによって所得が増えれば、手取り全体における支援金の割合は実質的にカバーされるという考え方です。
ただし、これらはあくまで国全体の経済指標に基づく理屈です。
個人の給与明細上では、「支援金」という新たな控除項目が加わります(企業による)。直接的な手取り額にはマイナスの影響が出ます。政府の言う「実質」と、家計が感じる「実感」にはギャップがある点に注意が必要です。
次章では、社会保障改革と賃上げの現状について確かめます。
