5. 【相続の基本】残された配偶者が取得可能な「配偶者居住権」

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相続の基本

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「配偶者の居住権」は、亡くなった人の配偶者が、相続開始時に亡くなった人が所有する建物や夫婦で共有する建物に居住していて、一定の要件を満たすときに、賃料の負担なくその建物に住み続けることができる権利です。

残された配偶者は、被相続人の遺言又は相続人同士の話合い(遺産分割協議)等によって、配偶者居住権を取得することができます。別段の定めがない場合、配偶者は亡くなるまでその建物に住み続けられますが、配偶者が死亡などすると配偶者居住権は消滅します。

また、残された配偶者が直ちに住み慣れた建物を出て行かなければならない場合、精神的にも肉体的にも大きな負担です。そのため、「配偶者短期居住権」が設定されています。配偶者が、引き続き一定期間、無償で建物に住み続けることができる権利です。

詳しくは、法務省が公開する情報を参考にしてください。

さらに、特別の寄与をした場合の金銭の請求が可能です。相続人ではない親族(子の配偶者など)は、亡くなった人の療養介護や看病などを長期間にわたって行っていた場合でも、遺産の分配にあずかることはできません。

しかし、無償で被相続人の療養介護等に貢献し、被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与した場合は、相続人に対して金銭の請求ができます。

不動産に関してですが、2024年4月1日から、相続(取得)したことを知った日(遺産分割が成立した場合には、その成立の日)から3年以内に、相続登記の申請をすることが法律上の義務になります。

2024年4月1日より前に不動産を相続(取得)した場合でも、相続登記がされていないものは義務の対象です。正当な理由がないのに相続登記の申請を怠った場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。

複雑な相続に関しては、「法定相続情報証明制度」で相続手続が簡単になります。

法定相続情報証明制度は、相続人が登記所(法務局)に対し、亡くなった人の戸除籍謄本等の束とともに相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出し、登記官が一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合致していることを確認した上で、その一覧図に認証文を付した写しを無料で交付する制度です。

相続が発生すると、それぞれの手続きを扱う窓口を何度も訪れる必要がありますが、登記官が交付する一覧図の写しを利用すると、戸除籍謄本等の束を何度も提出する必要がなくなります。

また、相続の手続きで、相続人となる親族の有無を確認するために、亡くなった人の出生から死亡までの全ての戸籍・除籍証明書が必要です。2024年3月1日以降には、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍・除籍証明書を請求できるようになりました。便利な制度なので、知っておくと手間を省くことができます。

いかがでしたでしょうか。

相続に関しては、財産が高額になるほど親族間で揉めるものです。また、複雑な制度や手続きがあることで混乱する人も多く存在します。

相続をスムーズにするためにも、手続きやルールを正しく理解して、遺言書の作成などを行っておくことが重要です。

参考資料

髙橋 マナブ