年始などの長い休みには、相続に関する話し合いが家族間で行われることがあります。
そこで、今回は多くの人が難しいと感じている「相続」について、政府広報オンラインが公開している情報を基に詳しく解説します。
家や貯金などの財産を引き継ぐ相続は、家族間で大きなトラブルに発展するケースも多い問題です。
トラブルを起こさないためや、自分が亡くなった時に大切な財産をトラブルなくスムーズに引き継ぐためにも、基本的なルールや仕組みを理解して準備をすることが大切。また、家族間で話し合いを持つことも重要です。
今回は「知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】」と題して、政府広報オンラインに記載されている情報を基に事例などを紹介します。
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1. 【相続の基本】相続人などの、複雑な相続に関するルールを簡単に解説
よく聞く「相続」ですが、基本的には亡くなった人の財産など権利・義務を、残された家族などが引き継ぐことです。亡くなった人を「被相続人」、財産などを引き継ぐ人を「相続人」とし、さまざまな処理を行う必要があります。
誰が相続人となり、何が遺産で、亡くなった人の権利義務がどのように承継されるかなど、相続のルールは民法で定められ「相続法」と呼ばれています。
法律に基づくと、相続は大きく分けて「法定相続」と「遺言相続」が存在。遺言書がある場合は、原則としてその内容が優先され、遺言書がない場合は民法ルールに従って遺産分割協議により、決められた人が決められた分を相続することになります。
法定相続は、民法に定められた相続人の範囲や順位、それぞれの相続分に従って相続することです。
相続人ですが、民法では相続できる人(相続人になれる人)の範囲を定めています。「法定相続人」とし、亡くなった人の配偶者と一定の血族(子や父母、兄弟姉妹など血縁関係のある人=「血族相続人」)が対象です。
子には養子や法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子も含まれます。胎児も死産の場合を除き相続人に含まれますが、内縁関係のように事実婚の状態にある人、離婚した元夫や元妻は法定相続人に含まれません。
相続人の範囲と順位については以下のとおりです。亡くなった人の配偶者は常に相続人で、血族相続人には民法で次のとおり相続人の範囲と順位が定められています。
子がいる場合は「配偶者と子」が相続人となり、子や孫などがいない場合は「配偶者と親」というように、先の順位の人がいない場合に限って後の順位の人が相続人となります。同じ順位の人が複数いる場合は、その全員が相続人です。
2. 【相続の基本】相続の順位は?「代襲相続」って何?
相続の順位は、第1順位「死亡した人の子(養子を含む)」、第2順位「死亡した人の親」、第3順位「死亡した人の兄弟姉妹」です。
また、「代襲相続」があり、相続人となる人がすでに死亡していた場合など、その人の子などが代わって相続人となります。
複数の相続人がいる場合は、相続財産は相続人全員で共有します。相続分は、相続財産に対する各相続人の持分(割合)のことで、「指定相続分」と「法定相続分」があります。
指定相続分は、亡くなった人が遺言によって相続分を指定したもので、法定相続分より優先されるもの。法定相続分は、民法で定められた相続分で、どの相続人がどれだけ遺産を相続するのかの割合が定められています。
なお、これは相続人同士の遺産分割の話合い(遺産分割協議)で合意ができなかったときに適用される遺産の分割割合で、必ずこの割合で遺産分割をしなければいけないわけではありません。
3. 【相続の基本】相続税に関する複雑な計算方法などを紹介
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遺産はプラスの財産だけでなく、借金などの負債も含まれます。相続人には亡くなった人(被相続人)の相続に際し、次の3つの選択肢が用意されています。
「単純承認」は、死亡した人(被相続人)の全ての財産を相続することです。「限定承認」は、相続によって取得した資産(プラスの財産)の限度で負債(マイナスの財産)を引き継ぐもの。「相続放棄」は、死亡した人(被相続人)の財産を全て相続しないやり方です。
遺産に関しては、生前に作成した遺言書が存在する場合は、その意思に基づいて財産が分配されます。遺言相続とし、法定相続のルールを当てはめると実質的な不公平が生ずるような場合に、遺言によってこれを修正することができ以下のメリットがあります。
- 遺言相続では、民法上相続人に含まれない人(内縁関係の人、血縁関係にない人や団体など)に遺産を分配することができる。
- 自分の意思で遺産の分配を決めることができる。
- 特定の遺産を特定の相続人に相続させることができる。
- 相続人同士の争いを避けることができる。
一般的には、遺言者が自ら手書きする「自筆証書遺言」と、公証人が遺言者から聞いた遺言の趣旨を記載し、公正証書として作成する「公正証書遺言」の2種類があります。
特に自筆証書遺言に関しては、偽造や改ざんを防ぐため、遺言書を保管していた人や遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、開封する前に家庭裁判所に遺言書を提出し、検認を受ける必要があるので注意です。
2020年7月からは、「自筆証書遺言書保管制度」が開始され、法務局で自筆証書遺言書をより安全・安心に保管できるようになりました。紛失やトラブルが防げるもので、積極的に利用する人が多いようです。
遺産分割協議についても説明します。遺産分割協議は、亡くなった人(被相続人)の相続人全員で、遺産の分け方を話し合って決める手続きです。法定相続分や遺言の内容と異なる割合で相続分を決めることも可能です。
遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成します。
4. 相続に関連する、複雑な用語などをまとめて紹介
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ここからは、より複雑な用語について解説します。
「遺留分」ですが、一定の相続人について、生前の贈与又は遺言によっても奪うことのできない、亡くなった人の一定の財産に対する一定割合の留保分のことを指します。
亡くなった人は、自身の財産の行方を遺言により自由に定めることができますが、遺族の生活の保障などのため一定の制約があります。これが遺留分の制度です。
遺留分の割合は、誰が相続人になるかによって異なり、遺留分を有する相続人が複数いる場合は、遺留分を法定相続分により分け合うことになります。相続人別の遺留分割合は複雑なので、政府広報オンラインなどを参考にしてください。
「遺留分侵害額の請求」は、亡くなった人が財産を贈与又は遺贈し、遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は、贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分を侵害されたとして、自身の遺留分の侵害額に相当する金銭の支払を請求できます。
なお、遺留分侵害請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年、又は相続開始の時から10年を経過したときに時効によって消滅します。
亡くなった人の生活費などの支払、相続債務の弁済など、被相続人に関するお金が必要になった場合でも、遺産に属する被相続人の預貯金は全相続人の共有となっているため、相続人は遺産分割が終了するまでは、払戻しを行うことは困難です。
ただし、葬儀費用など必要な支出に対応するため、相続人は遺産分割前でも一定の場合に預貯金の払戻しを受けることができます。
遺産分割前に預貯金の払戻しを認める制度としては、「家庭裁判所の判断を経ないで、一定額の限度で預貯金の払戻しを認める方策」と「家庭裁判所の判断を経て預貯金の仮払いを得る方策」の2つがあります。
5. 【相続の基本】残された配偶者が取得可能な「配偶者居住権」
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「配偶者の居住権」は、亡くなった人の配偶者が、相続開始時に亡くなった人が所有する建物や夫婦で共有する建物に居住していて、一定の要件を満たすときに、賃料の負担なくその建物に住み続けることができる権利です。
残された配偶者は、被相続人の遺言又は相続人同士の話合い(遺産分割協議)等によって、配偶者居住権を取得することができます。別段の定めがない場合、配偶者は亡くなるまでその建物に住み続けられますが、配偶者が死亡などすると配偶者居住権は消滅します。
また、残された配偶者が直ちに住み慣れた建物を出て行かなければならない場合、精神的にも肉体的にも大きな負担です。そのため、「配偶者短期居住権」が設定されています。配偶者が、引き続き一定期間、無償で建物に住み続けることができる権利です。
詳しくは、法務省が公開する情報を参考にしてください。
さらに、特別の寄与をした場合の金銭の請求が可能です。相続人ではない親族(子の配偶者など)は、亡くなった人の療養介護や看病などを長期間にわたって行っていた場合でも、遺産の分配にあずかることはできません。
しかし、無償で被相続人の療養介護等に貢献し、被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与した場合は、相続人に対して金銭の請求ができます。
不動産に関してですが、2024年4月1日から、相続(取得)したことを知った日(遺産分割が成立した場合には、その成立の日)から3年以内に、相続登記の申請をすることが法律上の義務になります。
2024年4月1日より前に不動産を相続(取得)した場合でも、相続登記がされていないものは義務の対象です。正当な理由がないのに相続登記の申請を怠った場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。
複雑な相続に関しては、「法定相続情報証明制度」で相続手続が簡単になります。
法定相続情報証明制度は、相続人が登記所(法務局)に対し、亡くなった人の戸除籍謄本等の束とともに相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出し、登記官が一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合致していることを確認した上で、その一覧図に認証文を付した写しを無料で交付する制度です。
相続が発生すると、それぞれの手続きを扱う窓口を何度も訪れる必要がありますが、登記官が交付する一覧図の写しを利用すると、戸除籍謄本等の束を何度も提出する必要がなくなります。
また、相続の手続きで、相続人となる親族の有無を確認するために、亡くなった人の出生から死亡までの全ての戸籍・除籍証明書が必要です。2024年3月1日以降には、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍・除籍証明書を請求できるようになりました。便利な制度なので、知っておくと手間を省くことができます。
いかがでしたでしょうか。
相続に関しては、財産が高額になるほど親族間で揉めるものです。また、複雑な制度や手続きがあることで混乱する人も多く存在します。
相続をスムーズにするためにも、手続きやルールを正しく理解して、遺言書の作成などを行っておくことが重要です。
参考資料
髙橋 マナブ