2. 「今の家計収支でみる」毎月の不足額はいくら?

では、現在、年金と物価の状況はどう変化しているのでしょうか。総務省の2024年(令和6年)の家計調査(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)を見てみましょう。

  • 実収入:25万2818円
  • 支出合計:28万6877円
  • 毎月の不足分(赤字):3万4058円

2.1 赤字額が約2万円減ったのはなぜ?

2017年の赤字約5.5万円に比べ、2024年の赤字は約3.4万円と小さくなっていますが、必ずしも暮らしが楽になったとは言い切れません。

主な理由は、年金額が物価の動きなどを反映して見直され、収入が増えたためです。一方、家計調査は一部の世帯を対象にした調査のため、調査対象の違いによって平均値が前後することがあります。加えて、支出項目の区分が年ごとに調整されることもあり、単純な比較は難しい面があります。

このため、赤字額は減っていても、年金収入だけで生活費をまかなうのが難しいという本質的な状況は依然として続いています。