年末が近づき、資産形成の目標を立てる方が増える時期です。
特に新NISA制度が浸透し、50代から「老後資金のラストスパート」を意識して投資を始めるケースも珍しくなくなりました。
一方で、投資にはリスクがつきものであり、どれほどの成果が期待できるのか不安に感じる声も少なくありません。
そこで本記事では、50歳から65歳までの15年間、新NISAで月5万円を積み立てた場合のシミュレーション結果をご紹介します。
利回りごとの資産推移や、新NISAの6つのポイントを分かりやすく解説しますので、参考にご覧ください。
1. 【知っておいて損はない】新NISAを「活用するメリット」をおさらい
NISA(ニーサ)は、個人の資産形成を後押しする目的で2014年にスタートした制度で、2024年からは制度改正を経て「新NISA」として運用されています。
この制度の大きな特徴は、投資によって得た利益が非課税になる点です。
通常、株式や投資信託の売却益や配当金には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を利用すれば、これらの利益に税金が課されません。
そのため、運用で得た収益をそのまま手元に残すことができます。
ただし、NISAには投資できる金額や対象となる商品に一定の上限や条件が設けられているため、利用にあたっては制度の内容を十分に理解しておくことが大切です。
1.1 知っておきたい!「新NISA」の6つの注目ポイント
「新NISA」の主な特徴としては、次の6点が挙げられます。
- 非課税保有期間は無期限
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
- 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
- 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
- つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
- 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」
「投資」と聞くと、多額の資金が必要だというイメージを持つ人も少なくありません。
しかし実際には、500円や1000円といった少額から始められる商品も多く、NISAを活用すれば投資信託や株式を少額で購入することができるため、投資初心者でも取り組みやすいのが特徴です。
次章では、毎月積み立てを続けた場合に、将来どの程度の資産を形成できるのかについて、シミュレーション結果をもとに確認していきます。
2. 【利回り別でシミュレーション】50歳から65歳まで「毎月5万円」を積立投資
ここでは、NISAを活用して積立投資を行った場合に、どの程度の資産形成が見込めるのかを試算してみます。
以下の前提条件を設定したうえで、想定利回りを1%から5%まで変化させたシミュレーションを行います。
- 50歳から65歳までの15年間で老後資金をつくる
- 積立額は毎月5万円
- 投資先の想定利回りは年率1~5%
2.1 「毎月5万円」×15年×「年率1~5%」で積立投資した場合のシミュレーション結果
想定利回り:資産評価額(元本部分は900万円)
- 年1%:970万6000円
- 年2%:1048万6000円
- 年3%:1134万9000円
- 年4%:1230万5000円
- 年5%:1336万4000円
15年間にわたって毎月5万円を積み立てた場合、条件次第では総額で1000万円を超える資産を形成できる可能性があります。
積立元本は900万円ですが、想定する運用利回りによっては、利益として約70万円から最大で436万円程度が上乗せされる見込みです。
もっとも、投資には価格変動のリスクが伴い、一般的に高いリターンが期待できる商品ほどリスクも大きくなります。
その点を十分に理解したうえで、自身の家計の状況に合った形で活用していくことが大切でしょう。
3. 【積立額別でシミュレーション】15年間積立投資をして「2000万円」を作る
老後に必要となる資金額は、家族構成や生活スタイルによって大きく異なりますが、ここでは目標額を2000万円とするケースを想定します。
50歳から65歳までの15年間でこの金額を準備する場合、毎月どの程度の金額を積み立てる必要があるのか、シミュレーションで確認してみましょう。
3.1 「15年間」×3%で積立投資した場合のシミュレーション結果
毎月の積立金額:資産評価額
- 1万円:227万円
- 3万円:680万9000円
- 6万円:1361万8000円
- 9万円:2042万8000円
- 12万円:2723万7000円
※想定利回り:年3%
試算の結果、年利3%で15年間積み立てを行った場合、毎月9万円を拠出すれば、2000万円を超える資産形成が期待できます。
もっとも、月9万円という金額は家計への負担が大きく、加えて利回りは確約されているものではありません。
運用状況によっては想定どおりに資産が増えず、目標額に届かないリスクもあります。
こうした点を踏まえると、老後資金の準備はできるだけ早く始めることが重要です。
たとえば、30歳から65歳までの35年間、同じく年利3%で積み立てる場合、必要となる毎月の積立額は2万6971円まで抑えられます。
このように、時間を味方につけることで、月々の負担を軽減しながら、将来に向けた資産形成を進めていくことができるでしょう。
次は、税金が安くなるしくみとして「所得控除と税額控除」について解説します。
4. 税金が安くなる仕組みを図で理解「所得控除と税額控除」とは?
年末調整や確定申告で必ず耳にする「控除」は、税負担を軽減できるしくみです。大きく分けて「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。
この2つの違いを整理しておきましょう。
4.1 所得控除=収入から課税所得を減らす
所得控除とは「収入」から、課税のベースとなる「所得」を減らす仕組みです。
所得控除の種類
雑損控除(※)、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除(※)、基礎控除(※)
※非居住者(日本国内に住所などがない人)が適用できる所得控除は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3種類
所得控除の計算方法
課税所得金額=収入金額−《給与所得控除額》−【所得控除額の合計】
- 年収(給与総額)から「給与所得控除」などを差し引き、所得を計算する
- 「所得」から生命保険控除や扶養控除などの「所得控除」を差し引く
- 最終的に残った「課税所得」に税率をかけ、税額が決定する
所得控除の節税効果
税率をかける前の「課税所得」を減らすことで、結果的に税金が安くなります。所得が高い人ほど高い税率が適用されるため、節税効果は大きくなります。
4.2 税額控除=納税額から一定額を減らす
税額控除は、いったん決まった税額から一定額を差し引くしくみです。
税額控除の主な種類
配当控除、分配時調整外国税相当額控除、外国税額控除、政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(=住宅ローン)、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅等新築等特別税額控除
税額控除の計算方法
実際に納める税額=(課税所得金額×税率−税率に応じた控除額)−《税額控除額の合計》
- 所得控除と同様に「納めるべき税額」が計算される
- 「納めるべき税額」から、住宅ローン控除や配当控除などの「税額控除」が差し引かれる
- 最終的に残った金額が、実際に納める税額となる
税額控除の節税効果
税額そのものから直接引かれるため、誰もが等しく控除額と同じだけ、確実に税金が安くなります。
このように、所得控除は税率をかける前の課税所得を減らし、所得が高い人ほど節税効果が大きくなるのに対し、税額控除は算出された税額から直接差し引かれ、誰もが等しく確実に税金が安くなります。
4.3 税負担を効率的に減らすために:所得控除と税額控除の活用
このように、所得控除は税率をかける前の課税所得を減らし、所得が高い人ほど高い節税効果が得られるのに対し、税額控除は算出された税額から直接差し引かれるため、誰もが等しく税金が安くなります。(ただし、税額控除の合計額が算出された税額を超える場合は、その超過分は控除できません)
税負担を効果的に軽減するためには、この「所得控除」と「税額控除」の二つのしくみを正しく理解することが大切です。
年末調整や確定申告の際には、適用できる控除を漏らさず申告しましょう。
5. 将来に向けて「資産形成」について考えよう
今回は「新NISA」制度の概要と、積立投資の利回り別のシミュレーションを交えながら解説してきました。
新NISA制度ができたことにより、資産運用をはじめる方が年々増加傾向にあります。
資産運用には利益が期待できるだけでなく価格変動リスクなどが伴いますが、「長期・分散・積立」によってできる限りのリスクを軽減することが期待できます。
2025年も終わりを迎えているこのタイミングで、資産形成について考えてみてはいかがでしょうか。






