4.2 2. 年金の家族手当「加給年金」とは
「加給年金」は、年金制度における家族手当や扶養手当のような位置づけの制度です。
老齢厚生年金を受け取っている人が、一定の条件を満たす年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、本来の年金額に上乗せして支給されます。
加給年金の支給要件
- 厚生年金の加入期間が20年(※)以上ある人が、65歳に到達した時点(または定額部分の支給が始まる年齢に達した時点)。
- 65歳到達後(または定額部分の支給開始後)に、厚生年金の被保険者期間が20年(※)以上になった場合は、在職定時改定時や退職改定時(または70歳到達時)。
※共済組合などの加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が、40歳(女性や坑内員・船員は35歳)以降に15年から19年ある場合も含まれます。
上記の時点で、「65歳未満の配偶者」や「18歳になった年度の末日までの子(または1級・2級の障害がある20歳未満の子)」がいる場合に、年金に加算されます。
ただし、配偶者自身が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金、または障害年金などを受け取れる場合は、配偶者加給年金の対象とはなりません。
加給年金の給付額
2025年度における「加給年金」の年金額の一例は以下の通りです。
- 配偶者:23万9300円
- 子ども(1人目・2人目):各23万9300円
- 子ども(3人目以降):各7万9800円
さらに、老齢厚生年金受給者の生年月日に応じて、配偶者加給年金には3万5400円から17万6600円の特別加算が上乗せされる場合があります。
なお、この加給年金は対象の配偶者が65歳になると支給が停止されますが、配偶者が自身の老齢基礎年金を受け取る際に、一定の条件を満たせば「振替加算」としてその配偶者の年金に加算される仕組みがあります。
5. 対象となる給付金や手当は忘れずに申請を
今回は、シニア世帯が対象となる「雇用保険に関する給付」と「公的年金に上乗せされる給付」について、5つ厳選して解説しました。
物価高が続くなかで、年金生活が厳しいと感じる世帯は増加傾向にあります。
もし、ご自身が対象となる給付金や手当がある場合は、忘れずに申請手続きを行いましょう。
また、まだ老後までに時間的な余裕がある世代の方は、ご自身で将来の収入源を確保する準備を進めることも大切です。
公的年金だけに頼るのではなく、物価上昇にも対応できるような資産形成の方法を検討してみてはいかがでしょうか。
まずは家計の状況をよく確認し、固定費の見直しや「理想とする老後の生活にいくら必要なのか」生活設計を立てておきましょう。
※この記事は再編集記事です。
参考資料
- LIMO「【申請しないと受け取れない】60歳&65歳以上のシニアが対象の「手当・給付金」5選!《雇用保険関連・年金関連》」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」
- 厚生労働省「再就職手当のご案内」
- 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
横野 会由子
