6. 国民年金の受給額を増やす「付加年金」という選択肢
これまで見てきたように、国民年金のみを受給する場合、その額は厚生年金と比べて少なめです。働き方が多様化する現代では、厚生年金に加入しないフリーランスや自営業として働く方も増えています。
国民年金の受給額を増やす方法の一つとして、今回は比較的始めやすい「付加保険料の納付」についてご紹介します。
6.1 付加保険料の納付制度について
この制度は、定額の国民年金保険料(2025年度は月額1万7510円)に「付加保険料(月額400円)」を上乗せして納めることで、将来受け取る年金額を増やせる仕組みです。
付加保険料を納付できる方
- 国民年金第1号被保険者
- 65歳未満の任意加入被保険者
付加保険料を納付できない方
- 国民年金保険料の納付を免除されている方(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、学生納付特例を含む)
- 国民年金基金に加入している方
個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金は同時に加入できますが、iDeCoの掛金によっては併用できない場合もあります。
付加保険料を「20歳~60歳の40年間」納付した場合の試算
65歳以降に受け取れる「付加年金額」は、「200円×付加保険料納付月数」で計算されます。仮に20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納め続けた場合を考えてみましょう。
- 40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円×480カ月)
- 65歳以降に受け取れる付加年金額(年間):9万6000円(200円×480カ月)
この場合、毎年の年金受給額に9万6000円が上乗せされます。40年間の保険料負担は19万2000円なので、年金を受け取り始めてから2年で元が取れる計算です。
会社員として厚生年金に加入しながら副業をしている場合を除き、20歳から60歳までの自営業者やフリーランスの方は国民年金の加入対象となります。
7. まとめ:自分の見込額を確認して「資産形成」を検討しよう
本記事では、公的年金の仕組みから年齢別の平均受給額まで、最新のデータを基に詳しく解説しました。
厚生年金では月額14万円台、国民年金では月額5万円台がひとつの目安となりますが、これらはあくまで全体の平均値です。
実際の受給額は、現役時代の働き方や保険料の納付状況によって一人ひとり大きく異なりますので、まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の見込額を確認することが大切です。
その上で、公的年金だけでは理想の生活水準に届かないと感じた場合は、2024年から始まった新NISAなどを活用した資産形成を検討するのも一つの方法です。
まずはご自身の年金額を把握することから始め、豊かなセカンドライフに向けた具体的な計画を立ててみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 日本年金機構「国民年金付加年金制度のお知らせ」
和田 直子
