今年もあっという間に秋を迎え、年末年始の準備が視野に入ってくる頃となりました。老後の生活を考える上で、公的年金は最も重要な収入源の一つです。

一方で、老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況や働き方によって大きく異なり、人それぞれとなっています。

そのため、今のシニア世代の年金受給額分布や、ボリュームゾーンを把握しておくことも、働き盛り世代が老後資金計画を立てる上で役に立つでしょう。

この記事では、厚生労働省の公表データから、年金受給額の平均値、ボリュームゾーン、そして個人差といった「リアルな全体像」を解説します。

1. 【年金×仕事】働き方でこんなに違う!ライフコース別年金額《5つのパターン》

働き方や生き方が多様化する今、働き盛りの現役世代の多くが、「将来、自分はどのくらいの年金を受け取れるのだろう?」と気になっている人もいるでしょう。

厚生労働省は、2025年度の年金改定の公表時、「多様なライフコースに応じた年金額の例」を提示。

ここでは、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類し、「2025年度に65歳になる人」を想定した年金額の概算を示しています。

1.1 ケース①:男性・厚生年金期間中心

《年金月額》17万3457円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万8671円
  • 厚生年金:10万4786円

1.2 ケース②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心

《年金月額》6万2344円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8008円
  • 厚生年金:1万4335円

1.3 ケース③:女性・厚生年金期間中心

《年金月額》13万2117円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万566円
  • 厚生年金:6万1551円

1.4 ケース④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心

《年金月額》6万636円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万2151円
  • 厚生年金:8485円

1.5 ケース⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心

《年金月額》7万6810円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万7754円
  • 厚生年金:9056円

これらの年金額の例を見ても分かるように、厚生年金の加入期間や現役時代の平均収入によって、年金月額は大きく変動します。

特に、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかによって、老後の受給額は大きく変わることが見て取れます。

老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況や働き方によって大きく異なり、人それぞれとなっています。

そのため、年金受給額の全体像、個々人の受給額の幅(個人差)、そして最も多くの人が属する受給額の範囲(ボリュームゾーン)を把握しておくことが、自身の老後資金計画を立てる上で非常に重要となります。