近年「推し活」という言葉が一般化しており、多くの人々が様々な「推し」に熱中しています。

しかも、Z世代を中心としたブームというわけでもなく、経済に対する大きな影響もあるようです。

そこで今回は、推し活の市場規模や、お金を費やす人々のリアルな実態に迫ります。

1. 【最新】推し活による「経済効果」の実態とは?

株式会社A3が実施した「推し活とお金のリアル実態調査」を見ていきましょう。

1.1 調査概要

  • 調査名:推し活とお金のリアル実態調査
  • 調査対象者:全国の15歳~69歳の男女
  • サンプル数:23,445人
  • 総務省統計局「人口推計」2023年(令和5年)10月1日人口の性年代構成比に基づきウェイトバック集計実施
  • 調査会社:株式会社ネオマーケティング
  • 調査期間:2025年4月15日(火)~2025年4月17日(木)
  • 調査手法:インターネット調査

※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。また、人数・金額は小数点第1位を四捨五入して表示しています。

1.2 推し活をしている回答者の「約3人に1人」

推しがいる人の割合1/7

推しがいる人の割合

出所:株式会社A3「推し活とお金のリアル実態調査」

推しがいる人の割合(n=23445)

  • 推しがいる: 34.8%
  • 推しがいない: 65.2%

推し活を行っている人の割合を見ると、調査対象全体の34.8%という結果でした。約3人に1人が「推しがいる」と回答しており、推し活が一般的になりつつあることがよくわかります。

では、経済規模としてはどのくらいになるのか見ていきましょう。次の章からみていきましょう。

2. 推し活市場は推計3.9兆円に迫る巨大市場

推しがいると回答した人のうち、70.6%が実際に「推しにお金を使っている」ことが明らかになりました。

推しにお金を使っている人の割合2/7

推しにお金を使っている人の割合

出所:株式会社A3「推し活とお金のリアル実態調査」

2.1 推しにお金を使っている人の割合(n=8159)

  • 推しがいる: 34.8%
  • 推しがいない: 65.2%
  • 推しにお金を使っている: 70.6%
  • 推しにお金を使っていない: 29.4%

推しに関して使う平均的な月額(n=1000)3/7

推しに関して使う平均的な月額(n=1000)

出所:株式会社A3「推し活とお金のリアル実態調査」

2.2 推しに関して使う平均的な月額(n=1000)

  • 1円〜5千円未満: 46.5%
  • 5千円〜1万円未満: 22.9%
  • 1万円〜3万円未満: 18.5%
  • 3万円〜5万円未満: 7.0%
  • 5万円〜10万円未満: 3.5%
  • 10万円〜30万円未満: 0.7%
  • 30万円以上: 1.0%
  • (中央値加重平均) 平均消費月額: 16,356円
  • 「推しにお金を使っている」推定人数: 約1,997万人
  • 推定国内推し活市場: 約3.9兆円

推しにお金を使う人に、その利用額の平均的な月額を尋ねると、平均消費月額は16,356円でした。内訳を見ると「1円~5千円未満」が46.5%と最も多くなっています。

金額が多くなるにつれて割合は減少していますが、30万円以上利用している人が1.0%存在しており、消費行動には大きな幅があります。

この結果を基に推計された国内推し活市場の規模は、なんと約3.9兆円に上ります。

3. IPリアル経済圏市場規模:3.9兆円の内訳は?

IPリアル経済圏市場規模4/7

IPリアル経済圏市場規模

出所:株式会社A3「推し活とお金のリアル実態調査」

  • 推定 国内推し活市場: 約3.9兆円
  • 非リアル領域: 約1.0兆円
  • IPリアル経済圏: 約2.9兆円

約3.9兆円にも及ぶ巨大市場のうち、約2.9兆円を占めるのがグッズ・日用品、イベント、遠征費など「IPリアル経済圏」です。

また、書籍やファンクラブ、投げ銭などの「非リアル領域」も約1.0兆円を占めており、推し活が単なるコンテンツ消費ではなく、広範な経済活動に影響を与えていることがわかります。

4. 各年代別の平均的な消費額と「男性30代」の意外な存在感

ここからは性別・年代別に推し活にお金を使う割合やその金額を見ていきましょう。

4.1 【性別・年代別】推しがいてお金を使う割合

性年代別 推しがいてお金を使う割合5/7

性年代別 推しがいてお金を使う割合

出所:株式会社A3「推し活とお金のリアル実態調査」

合計 n=23445

  • 推しがいる: 34.8%
  • 推しにお金を使っている: 24.6%

男性15歳〜20歳代 n=2701

  • 推しがいる: 51.0%
  • 推しにお金を使っている: 34.5%

男性30歳代 n=1980

  • 推しがいる: 33.7%
  • 推しにお金を使っている: 24.9%

男性40歳代 n=2469

  • 推しがいる: 28.6%
  • 推しにお金を使っている: 20.1%

男性50歳代 n=2600

  • 推しがいる: 21.8%
  • 推しにお金を使っている: 13.4%

男性60歳代 n=2102

  • 推しがいる: 18.1%
  • 推しにお金を使っている: 9.2%

女性15歳〜20歳代 n=2551

  • 推しがいる: 63.7%
  • 推しにお金を使っている: 51.6%

女性30歳代 n=1891

  • 推しがいる: 42.5%
  • 推しにお金を使っている: 31.3%

女性40歳代 n=2400

  • 推しがいる: 31.9%
  • 推しにお金を使っている: 23.0%

女性50歳代 n=2573

  • 推しがいる: 28.5%
  • 推しにお金を使っている: 20.0%

女性60歳代 n=2178

  • 推しがいる: 24.4%
  • 推しにお金を使っている: 14.8%

 

性年代別 推し活に使う平均月額6/7

性年代別 推し活に使う平均月額

出所:株式会社A3「推し活とお金のリアル実態調査」

4.2 性年代別 推し活に使う平均月額

  • 全体 n=1000: ¥16,356
  • 男性15歳〜20代 n=162: ¥15,016
  • 男性30代 n=86: ¥22,958
  • 男性40代 n=86: ¥21,216
  • 男性50代 n=61: ¥15,287
  • 男性60代 n=34: ¥13,838
  • 女性15歳〜20代 n=228: ¥19,516
  • 女性30代 n=103: ¥15,818
  • 女性40代 n=96: ¥8,026
  • 女性50代 n=89: ¥14,375
  • 女性60代 n=56: ¥10,808

女性の10〜20代は、「推しがいる割合」が6割以上と極めて高く、推し活の中心的な担い手であることがわかります。私の周りでも推し活が流行っているため、感覚的にもよくわかります。

一方で「男性30代」は「推しがいる割合」自体は女性若年層に劣り3割程度であるものの、平均消費月額が22,958円と全ての性・年代の中で最も高いという意外な結果になりました。

可処分所得が増えた30代の男性が、趣味や推し活にまとまった金額を費やす傾向にあるようで、推し活市場の重要な購買層となっていることがわかります。

5. 日本の「推し活」と音楽産業の関係は?

録音原盤市場上位10か国の録音原盤市場のデジタル化比率(2018-2022)7/7

録音原盤市場上位10か国の録音原盤市場のデジタル化比率(2018-2022)

出所:経済産業省「音楽産業の新たな時代に即したビジネスモデルの在り方に関する報告書」

世界の録音原盤市場(音楽の売上)を見ると、サブスクリプションサービスの普及により、デジタル化が急激に進んでいます。日本を除く世界の録音原盤市場上位10か国のデジタル化比率は、すべて50%を超えています 。

特に中国は95%を超え、米国も81%に達しているのに対し、日本のデジタル化比率は2022年時点で37%と、相対的に低い水準に留まっています 。

韓国はデジタル化比率が66%ですが、2019年から比率が下がっている傾向が見られます 。

一方、日本市場ではデジタル化が進まず、CDなどのフィジカルディスクの存在感が依然として強いのには、推し活と深く関わる構造的な理由があります 。

まず、音楽を「所有する手段」としての需要です。ストリーミングサービスの普及によって、音楽を聴く手段としてのフィジカルディスクの需要は減少しましたが、「音楽を所有する手段」や「グッズの一種類」としての需要が高まっています 。

また、CDなどの購入はアーティストの応援に直結する行動と見なされているようです。ストリーミングはアーティストへの還元率が低いという情報が一人歩きしたため、ファンにとって応援の動機につながりにくい状況が続いています 。

音楽のデジタル化が進まない理由には、推し活をする人々の「推しに貢献したい」という熱量があるようです。ここでも推し活が、デジタル化が進まない音楽市場という世界的に見ても特殊な経済構造の一端を担っていると言えるでしょう。

6. まとめ

推し活は、もはや一部の熱狂的なファン文化ではなく、約3人に1人が参加し、市場規模3.9兆円に迫る巨大な経済圏を形成しています。

「Z世代の当たり前」というだけでもなく、男性30代のような購買力の高い層も推し活の消費を牽引しており、その影響はグッズ、イベント、遠征など多岐にわたります。

推しへの情熱が、現代日本の経済を力強く動かしていると言えるでしょう。

参考資料

LIMO・U23編集部