2026年も折り返し地点を過ぎ、下半期がスタートしました。筆者はFPとして数多くのお客様の家計や資産形成のご相談に応じる中で、いわゆる富裕層と呼ばれる方々とも接してきました。一体彼らはどのような運用を行っているのでしょうか。
今回は日本銀行や博報堂の調査結果をもとに、過去最高を更新し続ける日本の家計金融資産の現状や、富裕層の具体的な投資手法について解説します。
1. 【日本の家計金融資産】2386兆円の過去最高を突破!拡大を続ける投資シフトの現状
日本銀行が発表した「資金循環統計(速報)(2026年第1四半期)」によると、2026年3月末時点における日本の家計金融資産残高は、過去最高水準の2386兆円に達しています。資産の内訳を見ると、依然として「現金・預金」が1126兆円(構成比47.2%)と約半数を占めているのが特徴です。
具体的な内訳は以下の通り。※一部抜粋
- 現金・預金:1126兆円(全体の約半分を占める不動のベース)
- 株式等:398兆円(歴史的な株高の恩恵をダイレクトに受けて膨張)
- 投資信託:165兆円(新NISAなどの追い風を受けて存在感を拡大)
実際に前年同期比の伸び率を見ると、金融資産全体が7.1%増であるのに対し、投資信託は25.7%増、株式等は28.6%増と大幅な増加を記録しています。このデータは、近年の家計資産の急拡大が、主として投資関連資産の大幅な伸びによって牽引されていることを示しています。
2. 【年収3000万超】51.6%が資産1億円に?富裕層世帯のポートフォリオをみる
株式会社博報堂の博報堂富裕層マーケティングラボ(HAML)が発表した「新富裕層調査2025」によると、高い世帯年収(インカム)が着実に資産形成(ストック)へと結びついている実態が明らかになりました。
同調査では、世帯年収3000万円以上の層で51.6%、年収5000万円以上になると68.6%が「金融資産1億円以上」の富裕層に達しています。さらに年収5000万円以上の層では、金融資産5億円以上の超富裕層も50.7%と半数を超えており、高所得層のウェルスリッチ(資産富裕層)化が顕著です。
2.1 世帯年収別の保有資産(金融資産・現物資産)
株式やNISAは高所得層全体で広く普及していますが、年収3000万円以上になるとアクティブファンドや暗号資産、REIT(不動産投資信託)などの保有が目立ち始めます。
接着年収5000万円以上になると、FXやプライベートエクイティ(PE)といった代替資産に加え、時計・宝飾やアートなどの「現物資産」への投資意欲も大きく高まる傾向にあります。
3. 【FPは見た】資産1億超の人が実践する3つの手法「今日からマネできる」ヒントを紹介
筆者が日々の相談業務において、他士業の独占業務(税務や具体的な投資助言など)に触れない範囲で、一般的な資産配分のご相談やポートフォリオの見直しをお手伝いする中で見えてきた、彼らの運用手法の特徴があります。これから本格的に資産を築いていく方でも、今日から日々の運用に取り入れられるヒントは以下の3点です。
3.1 1. 「コア・サテライト運用」の徹底
資産を「世界分散のインデックス投資(守り)」と「個別株や代替資産(攻め)」に明確に色分けしています。土台となる守りの資産(全世界株式や全米株式などのインデックスファンドなど)を強固に築いた上で、余剰資金の範囲で攻めの資産を運用するバランス感覚が絶妙です。
3.2 2. 感情に左右されない「運用の仕組み化」
相場の乱高下に一喜一憂せず、自動積立や定期的なポートフォリオのバランス調整(リバランス)をルール通りに淡々と実行しています。市場の動きを予想するのではなく、あらかじめ決めた仕組みに運用を委ねることで、大崩れしない体制を作っています。
3.3 3. 理解できないものには投資しない堅実さ
流行りの商品や複雑な金融商品に盲従せず、自分がリスクやコスト、仕組みを完全に納得できる対象にだけ資金を投じています。「他人が儲かっているから」という理由だけで動かない一貫性を持っています。
特別な才能や裏技ではなく、こうした「シンプルなルールの継続」こそが、彼らが資産を増やし続けられる最大の理由と言えます。
※個別のインデックスファンドの選定や具体的な投資判断は、ご自身のリスク許容度に合わせて行ってください。
4. 【貯蓄から投資へ】大転換期を生き抜く、資産形成の方向性
今回は日本銀行や博報堂の調査結果をもとに、日本の家計資産の現状と富裕層の資産運用について解説しました。彼らが実践している手法は、コア・サテライト運用や自動積立といった、非常にシンプルで基本に忠実なものばかりです。大切なのは、背伸びをして複雑な金融商品に手を出すことではなく、自分がリスクやコストを理解できる範囲でコツコツと仕組み化していくことです。2026年後半戦のスタートに合わせて、将来の安心に向けた自分なりの資産形成をまずは少額からでもスタートさせてみませんか。
【ご留意事項】
- 本記事は、日本銀行および株式会社博報堂の公表資料、ならびに一般的な資産運用に関する情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を行うものではありません。
- 実際の資産運用や有価証券の選択、投資判断にあたっては、ご自身のリスク許容度や資金計画に基づき、慎重に行っていただきますようお願いいたします。
参考資料
- 日本銀行「資金循環統計(速報)(2026年第1四半期)」
- 日本銀行「参考図表(2026年第1四半期)」
- 国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について(報道発表資料)」
- 博報堂富裕層マーケティングラボ(HAML)「新富裕層調査2025」
村岸 理美