本格的な夏が始まる7月を迎え、今後のマネープランを再確認したい時期ではないでしょうか。2026年度の年金額は引き上げが行われ、先月の支給分から新基準での振込が始まっています。

しかし、今年は税制改正の影響で源泉徴収のルールも変更されており、手取り額がどう変動するのか確認しておく必要があります。今回は、厚生労働省や日本年金機構の調査結果をもとに、最新の年金受給額や税負担が軽くなる仕組みについて解説します。

1. 2026年度の国民年金1.9%増額「満額は7万608円」厚生年金2.0%「夫婦2人分」いくら?

2026年度の年金額は前年度から引き上げられ、国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%の増額となりました。この改定後の年金額は、4月・5月分を合算して支給される6月支給分から実際に反映されています。

  • 国民年金(老齢基礎年金の満額1人分):7万608円(+1300円)
  • 厚生年金(夫婦2人分の標準モデル):23万7279円(+4495円)
    ※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
    ※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況により人それぞれです。ここでは、60歳~90歳以上のすべての受給権者について、厚生年金と国民年金の受給額分布を見ていきます。

1.1 「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布

厚生年金の平均額(全年齢)1/6

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。

1.2 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布

国民年金の平均額(全年齢)2/6

国民年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどですが男女差が見られます。「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。

2. 年金の源泉徴収ルールが変更、所得税が天引きされない「年金の基準額」をみる

令和8年度の税制改正により、公的年金にかかる税金のルールが変更されました。基礎控除額が引き上げられたことで、税負担が軽減される年金受給者が増える見込みです。特に押さえておきたい主な変更点3つをみていきましょう。

2.1 ①年金の基準額、税負担が軽減される年金受給者が増える?

令和8年分の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎的控除額の表3/6

出所:日本年金機構「令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項」

所得税が天引き(源泉徴収)されない年金の基準額が、65歳以上の方で「214万円未満」、65歳未満の方で「164万円未満」へとそれぞれ引き上げられました。

2.2 ②令和8年12月の精算と税金の還付「払いすぎた税金が12月に戻ってくる仕組み」

令和8年度分の所得税の源泉徴収と還付イメージ4/6

令和8年度分の所得税の源泉徴収と還付イメージ

出所:日本年金機構「令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項」

令和8年中の年金については、11月の支払い分までは改正前のルールのまま税金が天引きされます。その後、12月の年金支払時に新しいルールを用いて1年分の税額が再計算され、払いすぎた税金が生じた場合には原則として(12月の年金支給額に上乗せされる形で)還付される仕組みになっています。(※対象となるのは、実際に税金を納めすぎていた方に限られます)

2.3 ③住民税に関する「扶養親族等申告書」対象者拡大

扶養親族等申告書の提出対象の範囲拡大イメージ(65歳以上の方の場合)5/6

出所:日本年金機構「令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項」

所得税の源泉徴収対象でなくても、個人住民税の課税対象になり得る金額の年金を受け取っている方(例えば65歳以上で年金148万円以上など)には、新たに「扶養親族等申告書」が送付されることになりました。

さらに、ご家族の所得要件が62万円以下に引き上げられたため、新たに扶養控除等の対象となる場合は、日本年金機構から送られてくる「扶養親族等申告書」に必要事項を正しく記入して期日までに提出しましょう。この手続きを行うことで、確定申告をせずとも年金から天引きされる税額が正しく抑えられるようになります(※他に一定の所得がある場合などを除く)。

これらの変更点を正しく理解し、ご自身の状況に合わせた手続きや還付の確認を漏れなく行いましょう。

3. 20歳~60歳未満の年金保険料、全員一律「月額1万7920円」

日本の公的年金には、老齢年金、障害年金、遺族年金という3つの保障機能があります。年金制度は、1階部分の「国民年金」と2階部分の「厚生年金」からなる2階建て構造です。厚生年金と国民年金の仕組み

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出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

国民年金は20歳から60歳未満の全員が対象で保険料は一律、2026年度の満額は月額1万7920円です。一方、厚生年金は会社員や公務員などが対象で、保険料や受給額は収入や加入期間に応じて変動します。そのため、現役時代の働き方や加入履歴によって、将来受け取る年金額には個人差が生まれます。

3.1 【2026年の年金カレンダー】次の年金支給日はいつ?

2026年 年金支給日カレンダー6/6

2026年 年金支給日カレンダー

出所:日本年金機構「Q.年金はいつ支払われますか。」

  • 年金支給日:支給対象月
  • 2026年2月13日(金):2025年12月・2026年1月分
  • 2026年4月15日(水):2月・3月分
  • 2026年6月15日(月): 4月・5月分
  • 2026年8月14日(金): 6月・7月分
  • 2026年10月15日(木): 8月・9月分
  • 2026年12月15日(火): 10月・11月分

公的年金は原則として偶数月の15日に、前月と前々月の2カ月分がまとめて支給される仕組みです。支給日が土日・祝日の場合は、その直前の平日に前倒しされて振り込まれます。このため、次回の支給日は、8月14日(金)になります。

4. 所得税源泉徴収と12月還付のスケジュール、自分の年金額が基準に当てはまるか確認を

今回は2026年度の年金支給額の引き上げと税負担軽減の仕組みについて解説しました。今年度は標準モデルの年金額が増えただけでなく、所得税が天引きされない基準額が引き上げられています。対象となる受給者には住民税に関する申告書が送られるなど、手続きの範囲も拡大しています。

ご自身の受給額がどの基準に当てはまるのかを、この機会にしっかり把握しておくことが大切です。送られてくる重要書類を見落とさずに手続きを進め、大切な年金を賢く受け取りましょう。

参考資料