「人生100年時代」といわれる今、50歳代から60歳代は自分自身の老後資金を準備するだけでなく、「親の介護」や「相続」、そして「お墓」といった現実的な課題とも向き合う年代です。
FP(ファイナンシャルプランナー)として相談を受けていると、「実家のお墓を守っているが、将来は自分の子どもにこの負担を継がせるべきか悩んでいる」「いつかは墓じまいを考えたい」という声を多くの方から耳にします。
実際には、親の相続手続きやお墓の維持・管理には想像以上の費用や労力がかかるため、「子どもに同じ苦労をさせたくない」と考える人は年々増えている印象です。
今回は、リタイアが視野に入る50歳代・60歳代(二人以上世帯)の貯蓄状況を最新データで確認するとともに、子どもへ負担を残さないために知っておきたい「相続の現実」と「墓じまい」をめぐる最近の動向について解説します。
1. この記事の3つのポイント
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50歳代の貯蓄は平均1908万円・中央値700万円。60歳代は平均2683万円で世代差が大きい -
遺産分割トラブルの約78%は遺産総額5000万円以下。一般家庭にも身近なリスクといえる -
墓じまいへの関心は全体で42.8%、60代では53.2%。負担軽減を意識する人が増加中
2. 退職が迫る50歳代・60歳代の資産状況。平均額と中央値の大きなギャップ
まずは、セカンドライフを目前に控えた50歳代・60歳代のリアルな資産状況を、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」のデータから確認していきましょう。
※ここでいう金融資産には、日常生活の支払いに備える普通預金などは含まれていません。
筆者からのコメント
2.1 50歳代・二人以上世帯「約5世帯に1世帯が貯蓄ゼロ」の現実
- 金融資産非保有:18.2%
- 100万円未満:6.5%
- 100万〜200万円未満:6.4%
- 200万〜300万円未満:4.1%
- 300万〜400万円未満:3.5%
- 400万〜500万円未満:2.2%
- 500万〜700万円未満:6.7%
- 700万〜1000万円未満:7.7%
- 1000万〜1500万円未満:9.3%
- 1500万〜2000万円未満:6.1%
- 2000万〜3000万円未満:8.1%
- 3000万円以上:18.8%
- 無回答:2.2%
平均・中央値
- 平均:1908万円
- 中央値:700万円
老後を控える50歳代の金融資産額は平均約1900万円となっており、退職に向けた資産形成が進む世帯が一定数存在します。
しかし、「貯蓄ゼロ」の世帯が18.2%と、およそ5世帯に1世帯を占める事実も見逃せません。
教育費負担のピークや親の介護費用といった、50歳代ならではの支出増が家計に大きく影響していると推察されます。
2.2 60歳代・二人以上世帯「3000万円以上と貯蓄ゼロの二極化」
- 金融資産非保有:12.8%
- 100万円未満:4.7%
- 100万〜200万円未満:3.9%
- 200万〜300万円未満:3.0%
- 300万〜400万円未満:2.8%
- 400万〜500万円未満:1.8%
- 500万〜700万円未満:6.2%
- 700万〜1000万円未満:6.3%
- 1000万〜1500万円未満:8.9%
- 1500万〜2000万円未満:8.0%
- 2000万〜3000万円未満:12.4%
- 3000万円以上:27.2%
- 無回答:2.0%
平均・中央値
- 平均:2683万円
- 中央値:1400万円
60歳代では退職金などの影響もあり、50歳代と比べて金融資産は大きく増える傾向が見られます。
ただし、平均額の2683万円は高額な資産を保有する一部の世帯に引き上げられやすいため、実態を把握する際には中央値の1400万円もあわせて確認すると参考になります。
ここでも「3000万円以上」の世帯が27.2%に上る一方で、定年退職を迎える年代になっても約1割強(12.8%)の世帯は「貯蓄ゼロ」のままセカンドライフを迎えているという現実があります。


