2025年11月となり、朝晩の冷え込みが深まる季節となりました。 一方で、国際情勢の不安定さや資源価格の高騰などを受け、家計を直撃する物価上昇の流れは依然として止まりません。
特に年金生活を送るシニア層にとって、食費や光熱費の上昇は切実な問題となっています。 老後の生活は「ゆとりある暮らし」を送りたいと誰もが願いますが、現実には経済的な厳しさに直面している高齢者も少なくありません。
厚生労働省の調査では、高齢者世帯の半数以上が生活が「苦しい」と感じている実態が明らかになっています。 本稿では、この厳しい現実をデータに基づき深掘りしていきます。
70歳代の世帯の実際の収支状況や平均貯蓄額、そして年金受給額など、老後のお金に関する最新のデータを詳しく分析することで、なぜ多くのシニアが生活の苦しさを感じているのか、その構造的な背景を明らかにします。
さらに、データから見えてくる「ゆとりある老後」を実現するために今から取るべき具体的な行動についても考えていきましょう。
1. 5割超のシニアが「生活が苦しい」と感じている
まずは現代の高齢者の生活意識について、厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を参考に見ていきましょう。
上記調査によると、高齢者世帯の生活意識は以下のとおりです。
1.1 「高齢者世帯の生活意識」の調査結果を見る
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせた「苦しい」と感じている人の割合は55.8%に達しています。
また、「普通」と答えた人よりも生活が「苦しい」と感じている人のほうが多い状況です。
