秋が深まり、週末のドライブや日帰り旅行に出かけたくなる季節になりました。

車での移動時間は、音楽やラジオ、スマートフォンなど、さまざまなメディアと過ごすひとときでもあります。

近年、企業はこの「車内空間」に新たな広告チャネルとして注目しています。実際にドライバーはどんなメディアを利用し、車中広告にはどのように反応しているのでしょうか。調査データをもとに見ていきましょう。

1. 運転中に何を見聞きする?

株式会社オトナルが実施した「国内Z世代 音とメディアの利用実態調査」から、車中における利用メディア実態を見ていきましょう。

1.1 調査概要

  • 実施時期:2025年6月26日(木)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査地域:全国
  • 調査対象:15~79歳の男女、全体調査10,000人(人口構成比に準じてウェイトバック集計を実施)

1.2 運転中に最も利用されているメディアはラジオ

全年代における車を運転中の利用メディア1/6

全年代における車を運転中の利用メディア

出所:株式会社オトナル「車中における利用メディア実態」

全年代における車を運転中の利用メディア(複数回答)

  • ラジオ(AM/FM、radiko含む): 40.1%
  • テレビ(ワンセグ、TVer含む): 30.0%
  • CD・DVD: 22.6%
  • 音楽ストリーミングサービス: 22.2%
  • 動画サービスの音声(YouTubeなど): 16.0%

自動車の運転中に月1回以上利用するメディアについて、全世代で最も利用されているのはラジオ(AM/FM、radiko含むで40.1%という結果に。次いでテレビ(ワンセグ、TVer含む)が30.0%、CD・DVDが22.6%と続きます。

Z世代の筆者からすると、友人とドライブに行くときにはいつも必ず音楽ストリーミングサービスを使うため、この結果には驚きました。この認識の違いが生まれる理由として、Z世代とそのほかの世代で利用しているメディアが異なっているのだと考えられます。

次からは、世代ごとに利用するメディアを見ていきましょう。

2. 世代によって異なるメディア利用傾向を分析!

車を運転中の利用メディア2/6

車を運転中の利用メディア

出所:株式会社オトナル「車中における利用メディア実態」

2.1 車を運転中の利用メディア(複数回答)

10歳代

  • ラジオ(AM/FM、radiko含む): 18.7%
  • テレビ(ワンセグ、TVer含む): 28.3%
  • CD・DVD: 24.1%
  • 音楽ストリーミングサービス: 41.9%
  • 動画サービスの音声(YouTubeなど): 28.1%
  • ポッドキャスト: 10.0%
  • オーディオブック: 7.8%
  • 語学等の学習教材: 8.3%
  • その他: 0.0%
  • 特に利用しない: 8.1%

20歳代

  • ラジオ(AM/FM、radiko含む): 20.9%
  • CD・DVD: 15.0%
  • 音楽ストリーミングサービス: 53.7%
  • 動画サービスの音声(YouTubeなど): 27.6%
  • ポッドキャスト: 8.2%
  • オーディオブック: 5.3%
  • 語学等の学習教材: 4.9%
  • その他: 0.4%
  • 特に利用しない: 13.6%

30歳代

  • ラジオ(AM/FM、radiko含む): 26.8%
  • テレビ(ワンセグ、TVer含む): 29.2%
  • CD・DVD: 24.5%
  • 音楽ストリーミングサービス: 34.0%
  • 動画サービスの音声(YouTubeなど): 26.6%
  • ポッドキャスト: 5.6%
  • オーディオブック: 2.8%
  • 語学等の学習教材: 3.0%
  • その他: 1.0%
  • 特に利用しない: 16.1%

40歳代

  • ラジオ(AM/FM、radiko含む): 36.9%
  • テレビ(ワンセグ、TVer含む): 34.1%
  • CD・DVD: 16.6%
  • 音楽ストリーミングサービス: 22.4%
  • 動画サービスの音声(YouTubeなど): 18.2%
  • ポッドキャスト: 4.2%
  • オーディオブック: 2.5%
  • 語学等の学習教材: 1.6%
  • その他: 1.0%
  • 特に利用しない: 17.7%

50歳代

  • ラジオ(AM/FM、radiko含む): 45.2%
  • テレビ(ワンセグ、TVer含む): 32.3%
  • CD・DVD: 26.8%
  • 音楽ストリーミングサービス: 15.9%
  • 動画サービスの音声(YouTubeなど): 13.4%
  • ポッドキャスト: 2.0%
  • オーディオブック: 1.2%
  • 語学等の学習教材: 1.0%
  • その他: 0.9%
  • 特に利用しない: 15.7%

60歳代

  • ラジオ(AM/FM、radiko含む): 53.7%
  • テレビ(ワンセグ、TVer含む): 31.3%
  • CD・DVD: 25.0%
  • 音楽ストリーミングサービス: 10.6%
  • 動画サービスの音声(YouTubeなど): 8.7%
  • ポッドキャスト: 1.7%
  • オーディオブック: 1.2%
  • 語学等の学習教材: 0.5%
  • その他: 0.9%
  • 特に利用しない: 18.5%

70歳代

  • ラジオ(AM/FM、radiko含む): 52.5%
  • テレビ(ワンセグ、TVer含む): 28.2%
  • CD・DVD: 25.0%
  • 音楽ストリーミングサービス: 4.5%
  • 動画サービスの音声(YouTubeなど): 4.5%
  • ポッドキャスト: 1.2%
  • オーディオブック: 0.7%
  • 語学等の学習教材: 0.8%
  • その他: 0.7%
  • 特に利用しない: 21.8%

全世代ではラジオやテレビの利用率が高かったものの、世代別に見るとその傾向は大きく異なります。

Z世代のうち10歳代では、最も利用されているのは「音楽ストリーミングサービス」で41.9%と、唯一4割を超えています。次いで「テレビ」が28.3%、「動画サービスの音声」が28.1%と続き、デジタル配信サービスを重視していることがわかります。

20歳代では「音楽ストリーミングサービス」で53.7%とどの世代よりも多くなっています。一方で「ラジオ(AM/FM、radiko含む)」が20.9%とラジオが多いのは意外な点となっています。

30歳代も「音楽ストリーミングサービス」が最も利用されているものの、34.0%でZ世代ほどは利用率が高くないことがわかります。次いで「テレビ(ワンセグ、TVer含む)」が29.2%、「ラジオ(AM/FM、radiko含む)」が26.8%、「動画サービスの音声(YouTubeなど)」が26.6%となりました。

Z世代と似た傾向はあるものの、ラジオが25%超えであるのが違いとして現れています。

40歳代から70歳代では、全年代で「ラジオ」がトップを維持しており、年代が上がるにつれて他のメディアとの差を離しています。とくに60代では53.7%、70代では52.5%と過半数に達しています。

この結果から、Z世代は「聴きたいものを選ぶ」ストリーミング型を好む一方、上の世代であるほど「流れてくるものを聴く」ラジオ型を好むというメディア利用の意識変化が読み取れます。

3. 車中広告に接触後の「検索行動」?ポッドキャストの影響力とは

車中広告接触後の行動の変化【検索】3/6

車中広告接触後の行動の変化【検索】

出所:株式会社オトナル「車中における利用メディア実態」

車中広告接触後の行動の変化【検索】

3.1 ラジオ(AM/FM、radiko含む)[n=2,785]

10歳代-20歳代

  • よくある: 20.7%
  • ある: 41.0%
  • ない: 17.4%
  • 全くない: 20.9%

30歳代-70歳代

  • よくある: 7.5%
  • ある: 49.4%
  • ない: 24.4%
  • 全くない: 18.8%

3.2 テレビ(ワンセグ、TVer含む)[n=2,605]

10歳代-20歳代

  • よくある: 19.6%
  • ある: 44.3%
  • ない: 17.7%
  • 全くない: 18.4%

30歳代-70歳代

  • よくある: 8.8%
  • ある: 47.8%
  • ない: 23.7%
  • 全くない: 19.6%

3.3 動画サービスの音声(YouTubeなど)[n=1,111]

10歳代-20歳代

  • よくある: 18.1%
  • ある: 42.2%
  • ない: 18.6%
  • 全くない: 21.1%

30歳代-70歳代

  • よくある: 14.6%
  • ある: 50.1%
  • ない: 16.3%
  • 全くない: 19.0%

3.4 音楽ストリーミングサービス [n=1,542]

10歳代-20歳代

  • よくある: 11.5%
  • ある: 35.5%
  • ない: 20.0%
  • 全くない: 33.1%

30歳代-70歳代

  • よくある: 11.3%
  • ある: 43.9%
  • ない: 19.9%
  • 全くない: 25.0%

3.5 ポッドキャスト [n=254]

10歳代-20歳代

  • よくある: 29.1%
  • ある: 44.7%
  • ない: 17.3%
  • 全くない: 9.0%

30歳代-70歳代

  • よくある: 16.7%
  • ある: 53.8%
  • ない: 17.8%
  • 全くない: 11.7%

車中で広告に接触した後、「実際に検索したことがある」という行動変化に焦点を当てて見ると、全世代で「ポッドキャスト」が最も影響力が高いことがわかります。

Z世代(10歳代-20歳代)ではポッドキャストの広告に接触後、「よくある」が29.1%、「ある」が44.7%で計73.8%が検索行動を起こしています。

30歳代-70歳代ではポッドキャストの広告接触後の検索行動は「よくある」が16.7%、「ある」53.8%で計70.5%であり、Z世代とほぼ変わらない割合を示しています。

ラジオやテレビなどの他のメディアも高い検索行動につながっていますが、ポッドキャストは音声メディアでありながら、検索を促す力が強いことがわかります。

4. 「耳から始まる」購買行動とは?ポッドキャストの力を深堀り

車中広告接触後の行動の変化【店頭で購入】4/6

車中広告接触後の行動の変化【店頭で購入】

出所:株式会社オトナル「車中における利用メディア実態」

車中広告接触後の行動の変化【店頭で購入】

4.1 ラジオ(AM/FM、radiko含む)[n=2,785]

10歳代-20歳代

  • よくある: 12.2%
  • ある: 34.1%
  • ない: 28.6%
  • 全くない: 25.1%

30歳代-70歳代

  • よくある: 2.9%
  • ある: 30.2%
  • ない: 42.0%
  • 全くない: 25.8%

4.2 テレビ(ワンセグ、TVer含む)[n=2,605]

10歳代-20歳代

  • よくある: 11.2%
  • ある: 33.5%
  • ない: 31.3%
  • 全くない: 24.0%

30歳代-70歳代

  • よくある: 2.9%
  • ある: 31.6%
  • ない: 40.7%
  • 全くない: 25.2%

4.3 動画サービスの音声(YouTubeなど)[n=1,111]

10歳代-20歳代

  • よくある: 11.4%
  • ある: 37.0%
  • ない: 25.3%
  • 全くない: 26.3%

30歳代-70歳代

  • よくある: 4.8%
  • ある: 37.0%
  • ない: 33.0%
  • 全くない: 25.3%

4.4 音楽ストリーミングサービス [n=1,542]

10歳代-20歳代

  • よくある: 6.7%
  • ある: 23.9%
  • ない: 27.1%
  • 全くない: 42.3%

30歳代-70歳代

  • よくある: 3.6%
  • ある: 30.5%
  • ない: 33.3%
  • 全くない: 32.7%

4.5 ポッドキャスト [n=254]

10歳代-20歳代

  • よくある: 18.6%
  • ある: 44.8%
  • ない: 21.9%
  • 全くない: 14.7%

30歳代-70歳代

  • よくある: 8.7%
  • ある: 37.5%
  • ない: 34.7%
  • 全くない: 19.1%

広告接触後の行動を「実際に店頭で購入したことがある」という観点で見ても、同様にポッドキャストが大きな影響力を持っています。

Z世代(10-20代)ではポッドキャスト広告接触後、「よくある」が18.6%、「ある」が44.8%で計63.4%が店頭での購入行動を起こしています。30-70代でもポッドキャスト広告接触後、「よくある」が8.7%、「ある」が37.5%で46.2%が購入行動を起こしています。

ポッドキャスト広告が検索行動だけでなく、実際の購買行動にまで直結しやすい傾向が見られますね。

この背景には、ポッドキャストがリスナーとパーソナリティの間にある親密な関係性が挙げられます。そうした関係性を築きやすく、広告が信頼できる情報として受け止められやすいからだと考えられます。

ポッドキャストはZ世代を中心に世代を超え、ラジオ以上に双方向メディアとして受け入れられているのでしょう。

運転中に利用するメディアや広告から行動変容を促されるZ世代ですが、その購買行動に影響するものとして、物価高が挙げられます。こうした状況の中で家計全体がどのように支出を抑えているのか、その実態を見ていきましょう。

5. 物価高の中で節約が続く家計

支出額を減らしている分野5/6

支出額を減らしている分野

出所:内閣府「令和7年度年次経済財政報告(第2章1節)」

内閣府の調査によると、物価上昇が続くなかで、多くの世帯が支出を抑制しています。

支出額を減らしている分野(平均)を見ると、「食費(外食以外)」が最も高く、「外食」や「衣類・身の回り品」とほぼ同率で40%台となっています。次いで「旅行やレジャー」も30%台と高い割合で支出を減らす対象となっています。

生活に直結する食費に続いて、「衣類・身の回り品」や「旅行やレジャー」といった消費が節約の対象となっていることがわかります。とくにレジャーの節約は、運転の減少にも影響するかもしれませんね。

5.1 中高年層ほど支出抑制傾向が強い

支出額を減らしている分野(年代別)6/6

支出額を減らしている分野(年代別)

出所:内閣府「令和7年度年次経済財政報告(第2章1節)」

支出を減らしている分野を年代別に見ると、中高年層ほど支出抑制傾向が強くなっています。

とくに「衣類、身の回り品」の支出を減らしている割合は、50代で50%近く、60代で50%超と高水準にあります。

また「食費」や「外食」に関しても、20代や30代よりも50代、60代の方がより抑制していることがわかります。

6. まとめにかえて

自動車の運転中に利用されるメディアは、30代までが「音楽ストリーミング」を中心とするデジタル配信を好み、より上の世代が「ラジオ」を中心とする従来メディアを好むという違いが見られました。

一方で、車中広告の「行動変容」という視点で見ると、ポッドキャストが世代を問わず高い影響力を持っていることがわかります。

ポッドキャストを「ながら聴き」している状況下で広告が効果を発揮し、リスナーの次の行動を促しているようです。ドライブの合間や休憩時間などに広告に注目してみると、また違った発見ができるかもしれませんね。

参考資料

LIMO・U23編集部