4. 高額療養費制度、「見直し」への議論は現在も行われている

高齢化に伴い医療費が増える中、限られた財源で制度を持続させるため、負担能力に応じて公平に医療費を分け合うしくみが必要になってきます。

高額療養費制度の自己負担限度額の見直しについても検討されてきましたが、患者団体からの懸念を受け、当初予定されていた2025年8月の「見直し」は一旦見送られました。

現在は、全世代型社会保障を目指す改革の一環として、そして2028年度までに検討すべき取り組みとして議論が進められています。

そして、現在は国の設置する「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」において、制度方針について検討されている状況です。

委員会のヒアリングによれば、医療従事者・学識経験者の意見として、以下のようなことが述べられています。

これまで世代全体の自己負担割合の引上げは、医療費適正化に一定程度寄与し、患者の健康状況への影響は限定的であった ことが研究結果で示されている。一方で、高額療養費の自己負担限度額引上げは、特定の患者層の受診抑制や治療中断という 悪影響は否定できないのではないか。また、低所得者層などへの配慮も必要。

出所:厚生労働省「第4回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会資料」より引用

医療費の負担割合の引き上げの影響は限定的であっても、高額療養費の自己負担限度額の引き上げは、受診や治療にマイナスな影響をおよぼすのではないかという懸念も出ています。

制度方針は、今秋を目処に結論を出す予定となっています。

もし仮に引き上げるのであれば国からの丁寧な説明が求められますが、医療を受ける国民の間で大きな議論となることは避けられないでしょう。