毎月の給与について、額面(総支給額)と手取り(差引支給額)の差を見て、「なぜこんなに引かれるの?」とモヤモヤしている人も多いのではないでしょうか。

ファンドアナリストでCFP資格を持つ篠田尚子さんは、その原因として、税金の仕組みが複雑で分かりにくい点を指摘します。

本記事では、多くの人が疑問に思う「税金(所得税・住民税)」について、篠田さんに金融経済YouTubeチャンネル「ミライド」で篠田さんに解説いただいた内容からお伝えします。

1. 給与明細をチェック!「控除=引かれるもの」とイメージしよう

給与明細を見ると、「控除」の欄に「所得税」や「住民税」といった項目が並んでいます。

給与の基本的構成1/6

給与明細の基本的な構成

出所:金融経済Youtubeチャンネル「ミライド」

篠田さんによると、この「控除」とは、シンプルに「支給額から差し引かれるもの」と理解すれば良いとのこと。

支給する会社側や徴収する役所側から見た言葉なので少し分かりにくいですが、まずは「引かれるもの」というイメージを持ちましょう。

2. 所得税額が決まるまでの「3ステップ」

「額面(給与収入)」から実際に納める税額が決まるまでには、大きく分けて「3つのステップ」があります。

所得税額の決まる流れ2/6

所得税額の決まる流れ

出所:金融経済Youtubeチャンネル「ミライド」

2.1 【ステップ1】給与所得控除

まず「給与収入」から「給与所得控除」が引かれ、「給与所得」が決まります。

収入金額レンジでの給与所得控除額3/6

収入金額レンジでの給与所得控除額

出所:金融経済Youtubeチャンネル「ミライド」

この控除額は、収入レンジに応じて計算式が決まっています。

2.2 【ステップ2】所得控除

次に「給与所得」から「所得控除」が引かれ、「課税所得」が決まります。

課税所得レンジにおける税率4/6

課税所得レンジにおける税率

出所:金融経済Youtubeチャンネル「ミライド」

この「課税所得」に対して税率がかけられ、所得税額が計算されます。

2.3 【ステップ3】税額控除

計算された「所得税額」から、さらに「税額控除」を差し引きます。こうして、最終的に納付する所得税額が決定します。

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3. 「所得控除」は2種類ある!節税の重要ポイントを解説

ステップ2の「所得控除」は、税額を左右する重要なポイントです。所得控除は大きく2つのグループに分けられます。

3.1 所得控除のグループ1:人的控除

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 扶養控除 など

人的控除は、その人の家族構成や状況によって決まる控除です。これらには自分で工夫をして増減させることが難しいという特徴があります。

3.2 所得控除のグループ2:物的控除

  • 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)
  • 生命保険料控除、地震保険料控除
  • 寄付金控除(ふるさと納税)
  • 医療費控除(※確定申告が必要) など

iDeCoが「節税効果の高い制度」とされるのは、掛金が「物的控除」にあたり、課税所得を直接減らす仕組みを持っているためです。所得が小さくなるほど納める税金も少なくなるため、結果的に節税につながります。

一方、NISAにはこの所得控除のしくみはありませんので、両者の違いとして押さえておきたいポイントです。

4. iDeCoと住宅ローン控除とでは「控除の種類」が異なる

節税の代表例として「住宅ローン控除(減税)」がありますが、これはiDeCoとは性質が異なります。iDeCoが所得から差し引く「所得控除」であるのに対し、住宅ローン控除は計算後の税額から差し引く「税額控除」です。

  • iDeCo(所得控除)

ステップ2:税金を計算する前の「所得」から引かれる。

  • 住宅ローン控除(税額控除)

ステップ3:税金を計算した後の「税額そのもの」から直接引かれる。

では、住民税はどう決まるのでしょうか。次の章で確認していきましょう。

5. 「住民税」はどう決まる?年末の「源泉徴収票」が重要なワケ

住民税も基本的には所得税と同じプロセスで算出され、「課税所得」が確定した時点で、その金額をもとに計算が進むという点は共通しています。ただし、税率はお住まいの自治体によってわずかに異なる場合があり、自治体のHPなどでシミュレーションツールが用意されていることもあります。

ここで押さえておきたいのが、住民税には「翌年に課税される」というタイムラグがあるという点です。

たとえば、今年の収入が多いほど住民税も増えますが、それが反映されるのは「来年」です。前年の所得に対して翌年課税される、という仕組みになっています。

こうした毎月の給与や各種控除の情報を1年間まとめて確定させたものとして、年末に発行されるのが「源泉徴収票」です。

  • 給与明細:毎月の結果(速報値)
  • 源泉徴収票:1年間の支給額と控除額の「まとめ」(確定値)

篠田さんは「ふるさと納税や住民税のシミュレーションなど、さまざまなお金の手続きで源泉徴収票が必要になる」と強調します。自分のお金の状況を客観的に把握するためにも、内容を確認し、保存する習慣をつけておきましょう。

6. ポイントまとめ

  • 控除とは「差し引かれるもの」
  • 税金は「給与収入 → 給与所得控除 → 給与所得 → 所得控除 → 課税所得 → 所得税額 → 税額控除 → 納付税額」の流れで決まる
  • 節税で工夫できるのは主に「所得控除(物的控除)」。iDeCoやふるさと納税がこれにあたる
  • 住宅ローン控除は「税額控除」で、計算された税金そのものから引かれる
  • 「源泉徴収票」は1年間のまとめ表。様々なお金の手続きに必要。

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