5. 「住民税」はどう決まる?年末の「源泉徴収票」が重要なワケ
住民税も基本的には所得税と同じプロセスで算出され、「課税所得」が確定した時点で、その金額をもとに計算が進むという点は共通しています。ただし、税率はお住まいの自治体によってわずかに異なる場合があり、自治体のHPなどでシミュレーションツールが用意されていることもあります。
ここで押さえておきたいのが、住民税には「翌年に課税される」というタイムラグがあるという点です。
たとえば、今年の収入が多いほど住民税も増えますが、それが反映されるのは「来年」です。前年の所得に対して翌年課税される、という仕組みになっています。
こうした毎月の給与や各種控除の情報を1年間まとめて確定させたものとして、年末に発行されるのが「源泉徴収票」です。
- 給与明細:毎月の結果(速報値)
- 源泉徴収票:1年間の支給額と控除額の「まとめ」(確定値)
篠田さんは「ふるさと納税や住民税のシミュレーションなど、さまざまなお金の手続きで源泉徴収票が必要になる」と強調します。自分のお金の状況を客観的に把握するためにも、内容を確認し、保存する習慣をつけておきましょう。
6. ポイントまとめ
- 控除とは「差し引かれるもの」
- 税金は「給与収入 → 給与所得控除 → 給与所得 → 所得控除 → 課税所得 → 所得税額 → 税額控除 → 納付税額」の流れで決まる
- 節税で工夫できるのは主に「所得控除(物的控除)」。iDeCoやふるさと納税がこれにあたる
- 住宅ローン控除は「税額控除」で、計算された税金そのものから引かれる
- 「源泉徴収票」は1年間のまとめ表。様々なお金の手続きに必要。
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ミライド
執筆者
ミライド powered by モニクル総研
YouTube channel powerd by Monicle Institute of Research
「ミライド」は、モニクルグループのシンクタンクであるモニクル総研が運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。証券アナリストの泉田良輔、木村敬子、ファンドアナリストの篠田尚子が研究員として在籍し、金融や経済ジャンルを中心に、ビジネス、テクノロジー、キャリア、ヘルスケア、スポーツに関わる話題などをアナリスト視点で深堀り解説します。データ分析やキーマンへのインタビューを通じて、ビジネスパーソンや一般投資家に役立ていただけるようなコンテンツを配信しています。(最新更新日:2025年12月5日)
監修者
慶応義塾大学法学部卒業。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行にて個人向け資産運用相談業務を経験した後、2006年ロイター・ジャパン(現LSEG)入社。傘下の投信評価機関リッパーにて、投資信託業界の分析レポート執筆や評価分析業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所に入所。2025年5月、株式会社モニクルに参画し、モニクル総研所属。当社ではファンドアナリスト業務や金融教育に関連する情報発信に従事。楽天証券経済研究所 客員研究員。ピクテ・ジャパン・ファンド・アドバイザリー・コミッティーメンバー。CFP®、1級FP技能士。
著書に『本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』、『銀行も証券会社もFPも教えてくれない 新しい!お金の増やし方の教科書』、『NISA & iDeCo完全ガイド 2024年新制度対応版』『新NISA完全ガイド FP&投資信託のプロが教える』(いずれもSBクリエイティブ)、共著に『一生楽しく浪費するためのお金の話』(イースト・プレス)他。