10月は年金支給月でした。次回の支給日は12月15日(月)。2025年内の年金支給は、こちらが最後となる予定です。
2025年度は物価上昇を反映して1.9%の増額が行われ、支給額はわずかに上向きました。しかし、医療費や介護費などの支出増が続く中では、受け取れる年金額の“中身”を正しく理解しておくことが欠かせません。
今回は公的年金の基本構造と支給額の実態を整理し、家計の見通しを立てるための基礎知識と現状について確認します。
1. 【厚生年金+国民年金】公的年金は「2階建て構造」の仕組みを整理
日本の公的年金は、働き方によって受け取ることができる年金が異なります。そのことから2階建て構造、と呼ばれています。詳しく見ていきましょう。
1.1 年金制度は「国民年金+厚生年金」の2階建て構造
「2階建て構造」と呼ばれるそのしくみは、1階部分の「国民年金(基礎年金)」と2階部分の「厚生年金」から成り立ち、現役時代の働き方や過ごし方が、将来の年金水準を大きく左右する性質を持っています。
ここでは、「国民年金」と「厚生年金」の基本とあわせて、それぞれの「老齢年金の受給額」についても整理しておきましょう。
1.2 1階部分《国民年金》
加入対象者は?
- 原則として日本に居住する20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
年金保険料は?
- 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)
老齢年金の受給額は?
- 保険料を全期間(480カ月)納付すれば、65歳以降で満額(※2)の老齢基礎年金を受給できる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.3 2階部分《厚生年金》
加入対象者は?
- 会社員や公務員、またパート等で特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人(国民年金に上乗せで加入)
年金保険料は?
- 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)
老齢年金の受給額は?
- 加入期間や納付した保険料により個人差が出る
このように、国民年金と厚生年金では、加入対象となる人、年金保険料の決まり方、老齢年金額の計算方法などが異なります。
そのため、現役時代の年金加入履歴により、実際に受け取る老齢年金額にはおのずと個人差が出てくるのです。
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
1.4 2025年度は1.9%の増額改定!国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金の支給額目安
公的年金は、賃金や物価の動向を考慮して年度ベースで年金額を更新する制度です。2025年度の年金額は、昨年度より1.9%のプラス改定となりました。
国民年金(老齢基礎年金)は満額で月額6万9308円(1人につき)、厚生年金はモデル世帯(会社員の夫と国民年金のみの妻)で月額23万2784円(夫婦2人の合計)となっています。
もっとも、実際に受給できる年金額は、働いていたときの年金加入履歴によって個人ごとに違いが生じます。今のシニア層が実際に受け取れる年金額はいくらくらいなのでしょうか。