4. ネット銀行の口座はどうなるの?
昨今、多数の方がネット銀行を利用するようになっていますが、相続発生時の対応は従来型の銀行と相違点があるのでしょうか。ここでは、ネット銀行における口座停止や相続手続きについて説明します。
4.1 ネット銀行の口座も停止されるのか
ネット銀行の口座についても、名義人が逝去した事実を銀行側が把握した段階で停止されます。この仕組みは一般的な銀行と同様ですが、ネット銀行には実店舗や対面窓口が存在しないため、相続に関する手続きはオンラインまたは郵送で進める必要があります。
4.2 ネット銀行における相続手続き
相続手続きの流れについては、まず家族が銀行へ逝去の連絡を行い、指定された書類を揃えて提出します。通常、戸籍に関する証明書類や相続権利者の本人確認書類、遺産分割協議書(必要なケース)などの提出を求められます。
銀行によってはオンラインシステムで手続きを進行できる場合もありますが、郵送対応のみの金融機関も存在するため、事前の確認が不可欠です。手続きが完了した後、預金は相続権利者へ払い戻され、故人の口座は解約処理されます。
ネット銀行の場合、口座をそのまま承継することはできない仕組みとなっています。
4.3 ネット銀行の相続手続きにおける注意事項
ネット銀行の特性として、通帳が発行されないため家族が口座の存在に気付きにくい点も課題の一つです。メールの履歴や銀行からの郵送物を確認すると、どのネット銀行を利用していたか判明する可能性があります。
4.4 事前に実施できる対策について
事前の対策としては、口座情報を家族と共有したり、エンディングノートに記録しておくことが重要です。
ネット銀行は利便性に優れている反面、相続発生時の手続きが複雑化しやすい傾向にあるため、円滑な対応ができるよう準備をしておくと安心です。
5. スムーズな相続手続きのために
銀行口座は名義人本人が管理・使用するものであり、家族であっても無断で利用することはできません。
名義人が逝去した際には、法定相続権利者全員の合意のもと、その財産・債務を分配する流れとなります。
円滑に承継手続きが完結するケースも存在しますが、連絡が取りづらい相続権利者がいたり、生前に特定の相続権利者のみが贈与を受けていたりなど、手続きが長期化する状況は決して珍しくありません。
年末年始やお盆といった時期など、ご家族が集合するタイミングで全員が資産状況等を共有できれば理想的ですが、困難な場合には前述のとおりエンディングノートに記載しておくと手続きが円滑に進みます。
※この記事は2025年4月18日に公開された記事の再編集記事です。
参考資料
- LIMO「【元銀行員が解説】銀行に死亡届を提出する前にATMでお金を引き出すのはNG?役所から銀行に「口座凍結」するよう連絡するの?」
- 法務省「相続に関するルールが大きく変わります」
- e-Gov 法令検索「民法」
中本 智恵